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ウェッブ・スタイリストの生活と意見[15]
OISR-Watch2000年4月13日号

野村一夫


■やはりトップページはむずかしい

3月末に自分の個人サイト「ソキウス」(http://socius.org)のトップページを 大幅に改修しました。タグの変更などは日常的に変えていますが、全体のレイアウト 原則を変えたのはほぼ三年ぶりです。下位のページとの関係があるので、なかなか トップはいじりにくいものなんです。

これまでのソキウスのトップページは典型的な第1世代のオーサリングでして、縦 長のレイアウトでだらだら流れるものでした。私は一覧性にこだわりをもっていまし て、かなり長いスクロールが必要でした。もちろんクリックだけであちこち飛べるよ うにしてありますが、なかなか気づいてもらえなかったようですね。

じつはその前に「大原デジタルライブラリー」(http://oisr.org/dglb/)のレイ アウトを改編しまして、それでちょっと思いつきでやってみたのです。こういうこと はヒマなときにやるものですが、案外締切であたふたしている合間にやりたくなるも の。まあ、試験直前の学生さんたちの立ちふるまいを笑える立場ではないです。

というわけで、全体をテーブル仕様にし、説明のフォントを小さくして、なるべく コンパクトにしてみました。ちょっと老眼には辛くなりましたが、一般の企業サイト や検索サイトもフォントをスモールにしているので、ブラウザで調節してもらうとい うことにしました。

一般にトップページのデザインについては、好みが大きく分かれます。できるだけ シンプルにして構造をはっきり意識させるようなデザインにするか、それともコンテ ンツの詳細をこと細かく説明して賑々しい印象にするか。この選択は意外に難問で、 これしだいでサイトの運営方法が左右されてきます。

選択すべき大きな軸はふたつあります。ひとつは「シンプル」にするか「饒舌に語 るか」の選択です。説明の度合いの取り方を大きくするか小さくするかです。ふたつ めは「構造的」にするか「動態的」にするかの選択です。サイトの表現に時間軸をど の程度取り入れるかの選択です。この二つの軸は似ていますが、じっさいにはかなり 異なります。

シンプルにするか饒舌にするかは、ウェッブマスターの好みのはっきりでるところ で、それゆえ個人ページでは最初のスタイルがそのまま維持されるケースが多いよう です。私の場合は少なくともネット上では口数が多い方ですのでシンプルにはなりま せん。しかし饒舌に説明すると、急ぎ足のビジターにはうるさく感じられます。まさ に五月の蠅のようにジャマなのです。逆にシンプルにするとオシャレ度が増すのです が、怖がり屋さんの初心者はなかなかクリックしてくれません。また、クリックした 先が思い通りのものでないときは、元に戻って選択し直すことになるわけで、意外に ムダが多いものです。

そして第二の軸。まず構造的に構成するやり方は一見まっとうなやり方ですが、コ ンテンツが増えてきますと、それだけで「なにがなにやら」状態になります。ソキウ スの場合も、書き物をどんどん追加していますので、それらを一通り形式論理的に提 示すると、どこに焦点があるのかがわからなくなります。

それに対して、動態的にやるやり方というのは、いきなりトップページに最新のも のが提示されるスタイルで、これはこれで最新のコンテンツだけを読む「日記物」な どには適しています。当研究所では「五十嵐仁ホームページ」 (http://oisr.org/iga/home.htm)がそれで成功していますし、ソキウスのおかれ ているhonya.co.jpのコンテンツである廣瀬克哉さん(法政大学教授)の "ALMOST DAILY honya" (http://www.honya.co.jp/contents/khirose/daily/index.html)もいきなり最 新コンテンツにでます。あるいはトップにWhat's Newの項目がずらっと並んでいる企 業サイトも動態的といえるでしょう。ただし、これはこれで複数コンテンツが同時並 行的に進行しているサイトには使いにくいところもあります。読者が全体の見取り図 を描けないのでは、おつきあいもその場かぎりになりがちです。

さて、問題はメンテです。シンプルなのはメンテが楽です。しかし、トップページ に来た人は変化を感じないので新しいところに来てくれません。トップがシンプルだ と、第二水準のページに中心が移ります。たとえば、トップページにリンクされなく なって、各コーナーのところに直接リンクが張られることになります。もちろんこれ はこれで意味があるのですが、他のコーナーの更新に読者は気づかないままになりま す。トップページを動態的にしておくメリットは、そういう人をていねいにナビゲー トできることでしょう。そのかわりメンテがたいへんになります。毎日か毎週か、こ まめに更新する必要があります。ある程度ホスピタリティというものが必要ですか ら、ある程度はきちんと文章にすることが大事です。そうでないと官僚的に感じてし まうものです。

というわけで、今回の改編はこのあたりの落としどころを探ってみたものでした。 しかし結局、それぞれについて妥協するしかないというのが結論。やはりトップペー ジはむずかしい。試行錯誤はつづきます。

じつはOISR.ORGのトップページのデザインもまもなく変わります。ここに書いたこ とは、それについてメーリングリスト上で議論したことでもあります。より使いやす いページにしたいと考えています。今月中にはなんとかなるでしょう。

参考文献
(1)上木真一ほか『Web制作の仕事術』毎日コミュニケーションズ。
(2)Raymond Pirouz『INTERNETびっくりHTMLデザイン』エムディエヌコーポレー ション。
(3)デビッド・シーゲル『WEBサイト・デザイン(改訂版)』日経BP社。

(のむらかずお・兼任研究員・社会学 nom@socius.org)

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