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ウェッブ・スタイリストの生活と意見[13]
OISR-Watch2000年2月13日号

野村一夫


■サイバー・テロリスト参上?

 大学では学年末試験が終わり入試のシーズンに入りました。採点評価で窒息しそうなひと月が終了して、ほっと一息。いろいろ懸案の課題にとりかかろうとしているところです。今回は近況をご報告しておきましょう。

 ここのところ大騒ぎ(?)している「OISR.ORG20世紀ポスター展」(http://oisr.org/poster/)ですが、その後じわじわと反響があり、早くもヤフー・ジャパンからサングラスマークをつけていただきました。この2月10日付け読売新聞多摩地域版ではカラー写真付きの記事も掲載されました。また『季刊 本とコンピュータ』誌にこれに関する短いエッセイを書きました。2000年春号(12号)に掲載される予定です。ポスター展については、これからも少しずつ手を入れて完成度の高いものにしていきたいと思います。

 namazu.cgiを使用した労働サイト検索(コードネーム「大ナマズ」)については、年末に主要サイトの全コンテンツのインデックスと全労働サイトのトップページのインデックスを作成しましたので、一応見通しがつきました。「OISR.ORG全文検索」(http://oisr.org/cgi-bin/namazu.cgi)をご覧ください。ただし、その後、インデックスを作成するためのダウンロード・ツールが壊れてしまい、再インストールも不可能な状態なまま、更新が止まっています。なかなかすんなりとはまいりません。しかし、これが完成し自動更新できるようになりますと、インターネット上での労働関連団体の動きが一目瞭然になるはずで、早いうちになんとか完成させたいと考えています。

 停滞している「社会問題研究リソース」は、しかし、少しずつ動いてはいます。外部スタッフを動員するプロジェクトですので、専用のイントラネット・サーバーとしてコバルト・キューブを導入し、すでに一部のサービスを始めています。しかし、ここまでが長かったですねえ。私は基本的にフリーで動いてきましたので、組織の手続きがどうなっているのかよくわからないだけに、なんとも歯がゆい思いをしています。そういうものなのでしょうか。

 ちなみにコバルト・キューブはかわいいです。お手軽なLinuxサーバーとしておすすめです。最近のTurboLinuxにもウェッブでコントロールできるのがついていますが、コバルトはインストールさえいりません。また、お金持ちのみなさんは株式公開されたら株も買っておきましょう。まだ知る人ぞ知る製品ですが、安価な常時接続が実現した段階で日本でもブレイクすることでしょう。

 ところで世間では官庁サイトが軒並みハッカー(正確にはクラッカー)にアタックされていますね。アメリカではヤフーやアマゾン・コムなどもやられています。この種のアタックに対する防御には限界があり、守る側よりも攻撃する側の方が有利なようです。上級ハッカーにねらわれたらおしまいということです。しかし、官庁サイトの乗っ取られ方を見ていますと、初級ハッカーでも十分アタックできそうな感じです。まず、技術的にできることをやっていない、サイト管理専任の常勤担当者(グループ)がいない、そしてなにより情けないのは即座に対応するべきときなのに組織の危機意識が薄い。

 情報公開の理念を実現するためには、さまざまなコスト(人・物・時間・予算・学習)がかかることをまだまだ組織で働く人びとがきちんと理解していないように思います。これは要するに、情報公開の理念そのものが実践的に理解されていないということなんでしょうね。

 その点でいうと、日本の大学サイトはどこもかしこも脆弱そのもので、大きな事故でも生じないかぎり、きちっとした対策がなされず、今後もその脆弱性がねらわれつづけることでしょう。まあ、小さな事故でしたら「ほら見ろ、よけいなことはしないほうがいいんだ」と、むしろ陰口たたかれるのが落ちでしょうが。しかし、それでは新しい文化構築の一翼など担えるわけがありません。

 

 TBSの『新・調査情報』no.19に『Internet Magazine』で有名なインプレスの社長のインタビューが載っていましたが、そのなかにこういう指摘があります。

「自社内に情報ネットワークが構築されず、未だに紙と鉛筆でやっているのに、窓口だけインターネットでビジネスをやるというのが一番の失敗のパターンなんですよ。(中略)お客様係があっても、メールで受け付ける態勢がないとか、受け付けてもそれを担当部署、あるいは社長に回送できないとします。もう、その段階で嘘つきの会社になる。」(28ページ)

 

 インターネット発信の前に組織そのものがイントラネット的に機能していることが必要だということです。もちろんそこで働く人びとが対応できていないと話にならない。ビジネスだとドラスティックに結果が出ますから、それなりに反省しないではいられないわけですが、冬の時代の大学も本質的には同じではないでしょうか。部門ごとの分権化をふくめた組織論的再検討が必要だと感じます。

 

 というようなしだいで、脆弱きわまりない "OISR.ORG" ができることはゲリラ的な先制攻撃しかないのではないかと、清瀬商店街で買ってきた「カフェオレ大福」をほおばりながら、しみじみ思う物騒なスタイリストなのでした。

(のむらかずお・兼任研究員・社会学 nom@socius.org)

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