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ハングルサイトを日本語で読む──韓日自動翻訳サイト紹介
OISR-Watch2002年6月7日号

二村 一夫


 

 韓国が世界有数のインターネット大国になりつつあること、とくにブロードバンドの普及ではトップを独走していることは良く知られています。ただ残念ながらハングルを読めない私には、その内容を知ることができず、もどかしい思いをしてきました。

 もっとも、韓日自動翻訳ソフトを使えば、ハングルサイトでも、ある程度までその内容が分かることは、数年前に買った高電社の「iソウル/KJ」で体験済みでした。ところが、最近「iソウル/KJ」はなぜか機能しなくなりました。おそらくIE がver.5から、またWindowsも MEから韓国語のフォントが標準で入るようになったからではないかと推測しています。ハングルが文字化けせずに表示されるようになったのと引き替えに「iソウル/KJ」は使えなくなってしまったのです。
 新しいソフトを買おうかどうかと、何度も売り場の前を行ったり来たりしましたが、「iソウル/KJ」が1万円弱だったのに、「j・Seoul2001KJ」は標準価格で 49,800円、実売価格でも4万円はするので、けっきょく買わずじまいでした。ところが、なんとこうした悩みを無料で解決してくれるサイトがあるのを発見しました。それも複数のサイトがあります。

 ひとつは韓国の検索サイト・ネイバーの日本法人が運営するウェッブ翻訳サイト・チングー(友達) (http://chingu.friend.jp/) です。もうひとつは「All Korea」 (http://www.allkorea.co.jp/cgi-bin/allkorea.front) で、韓国の三星物産と三星電子の子会社、日本サムスン株式会社が運営しています。どちらも韓国系企業が運営しているわけで、韓日自動翻訳では日本は明らかに立ち後れているようです。この2つのサイトは、それぞれ特色があり、両者を使えば、韓国のインターネット事情を直接体験することができます。

 チングーは、日本語の件名でハングル・サイトやファイルの検索ができます。試しに「労働」「研究」の2つの件名で検索すると4サイトと7007のファイルが出てきました。これをたどって行くと、それぞれのサイトが日本語に翻訳されて出てきます。ただ、翻訳は比較的早いのですが、質はかならずしも良いとはいえないようです。会員登録といった面倒な手続きなしにすぐ使える点は便利ですが、性能的にはAll Koreaに一歩譲る感があります。

 一方、All Koreaの方は、URLを入れれば翻訳してくれるウエッブ翻訳のほか、e-mail翻訳、テキスト翻訳、ファイル翻訳などがあり、韓日だけでなく日韓の双方向の翻訳をしてくれます。ただし、こちらは会員登録の必要があり、またIE4.0以上、cookieのセットが可能であることが必要で、Macやネットスケープでは不具合が出る場合があるとの断り書きがあります。
 さっそくウエッブ翻訳から試して見ました。まずは ソウル大学校 (http://www.snu.ac.kr/) と仁荷大学校 (http://inha.ac.kr) を試してみました。どちらも十分理解可能な日本語で出てきました。問題があるとすれば、「仁荷大学校」のようにまとまった言葉は間違わないのですが、「仁荷」(これは仁川とハワイの頭文字を組み合わせた言葉だそうです。仁川出身のハワイ在住者が資金を出してつくった大学なのです)といった単独では意味をなさない言葉は翻訳できず、「引下」といった意味不明の語になります。しかし、これは辞書登録がすすめば解決する問題ですし、パズルを解くように考えれば推測可能です。
 そこで次に旧知の仁荷大学校尹辰浩(ユン・ジンホ)教授のホームページ (http://dragon.inha.ac.kr/~ecoyoon/main.htm) を試して見ました。実は尹教授のホームページのなかに私のサイトのURLが記されていることを前から気づいていたので、何とかその内容を知りたいと思っていたのです。ところが、これは失敗でした。トップページはなんとかなったのですが、現在MITに留学中の尹教授が延々と書き続けている「ボストン日記」は意味不明の漢字の文字列になってしまいます。どうやらウエッブ翻訳は、短い文章はこなせても、ちょっと長文になるとダメらしいのです。
 そこで、今度はテキスト翻訳を試みました。まずハングルの「ボストン日記」に行って、右クリックで「すべてを選択」→「コピー」ついで、これを韓日テキスト翻訳のページの左側にある「ここで韓国語を入力してください」とある枠内に貼り付けて、翻訳させてみました。だいぶ時間はかかりましたが、今度は成功しました。なお、画面上の自動折り返しがなく、そのままでは読みにくいので、これも右クリックで「すべてを選択」→「コピー」して、ワープロソフトかエディターに貼り付けると良いでしょう。意味不明の箇所もありますが、全体的にみればかなり質の良い日本語が出てきました。意味不明のなかでも、漢字語源の言葉はかなり推測がつきます。たとえば、「法廷大学」は「法政大学」のことだな、とか、「婦人」となっているのは「夫人」に違いないといった具合です。このサイトで使われている翻訳エンジンなら、辞書を鍛えさえすれば、ほぼ実用レベルに達しているのではないかと感じました。

 ただ問題は、バナーやボタンなど画像中心につくられているサイトは、当然のことながら日本語になりません。それに、これはおそらく韓国でブロードバンドが普及していることと関連があるのでしょうが、日本に比べても、トップページであまりテキストを使わず画像だけで構成しているサイトが多いようです。日本でも、ブロードバンドの普及とともに画像を多用するサイトが増えるだろうと思います。しかしこうした傾向は、日本語を知らない海外の閲覧者にはマイナスになることを知っていて欲しいと思います。これは、なにも海外の閲覧者だけでなく、視覚障害者が音声読み上げで見る場合も起こることなので、見栄えだけ考えて、画像を多用することは避けるべきではないでしょうか。


                    

(にむら かずお・名誉研究員)

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