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社会・労働関係サイト探検(9)
OISR-Watch2000年1月12日号

二村 一夫


Labour Website of the Year 1999
        (LabourStartが選んだ1999年最優秀労働サイト)



                                   二村 一夫


 皆さま、明けましておめでとうございます。個人的な事情で、何回か休載してしまい、申し訳ありません。さて、2000年の最初の探検の旅をどこにしようか迷っていたのですが、1月4日に LabourStartが「1999年度の最優秀労働サイト」の投票結果を発表しましたので、それについて紹介することにします。
 LabourStartそのものについては、本コラムの第4回で紹介しています(http://oisr.org/lesson/watch_nk04.html)ですから、あらためて申し上げることもないと思いますが、世界の労働運動関係者がインターネットでまず最初にアクセスすべき「国際労働運動のホームページ」を目指しているサイトです。
 The Labour Movement and the Internet; the New Internationalism(労働運動とインターネット−−新たな国際主義)の著者エリック・リーによって制作、運営されています。なお、この本と著者のことは、つぎの私の紹介文をご参照ください。
http://oisr.org/nk/brlmandinternet.html

 LabourStartは、毎週、労働運動関係の注目サイトを選んでいるほか、年1回、その年の注目サイトを一般の投票によって選出しています。1999年の最優秀サイトに選ばれたのは、なんとなんとあのIWW(Industrial Workers of the World=世界産業労働者同盟)でした。ご承知のとおり、IWWは、1905年にアメリカで生まれた急進的な労働組合です。「労働者階級と使用者階級の間に共通するものはなにもない=The working class and the employing class have nothing in common」とする立場から「賃金制度の廃絶」を要求し、全世界の労働者をOne Big Unionに組織することを目指した、労働運動史上ではたいへん有名な組織です。すでに消滅してしまった歴史的な存在だと思っていましたが、現存していたのです。どうやら、インターネットがこの歴史的な組織を国際的に復活させつつあるようです。URLはつぎの通りです。
http://iww.org

 組織はアメリカが中心ですが、イタリア、オーストラリア、カナダ、フィンランドにもあり、それぞれつぎのように独自のホームページをもっています。
イタリア
http://web.tiscalinet.it/andbene/
オーストラリア
http://www.iww.org.au/
カナダ
http://iww.ca/
フィンランド
http://www.saunalahti.fi/~ravelre/solid/

 さすがに全世界の労働者階級をうって一丸としようとする組織らしく、規約の前文は英語のほかに、スペイン語、フランス語、イタリア語、ブルガリア語、スウェーデン語、フィンランド語で読むことができます。
 多言語であるだけでなく、テキスト、画像、音声など多様な形式での発信もこのサイトの特色です。IWWラジオ・ネットワーク( http://jones.iww.org/radio/ )などというものさえあります。
 また、産業別組織のサイトや支部のサイトだけでなく、Wobblies、つまりIWWの組合員個人のサイトもけっこう内容豊富で、なんとかのノーム・チョムスキー(http://www.zmag.org/chomsky/index.cfm)もこのなかに含まれているのを発見しました。

 LabourStartの年次最優秀サイトは、読者の投票によって選出されるので、組織票的な投票が行われる可能性もあるわけですが、IWWの場合は、全サイト網の制作に関与している人の数が他よりはるかに多いのではないかと想像されます。
ちなみに、LabourStartのLabour Website of the Year 1999 の第2位から9位はつぎのとおりでした。いずれも、世界の労働運動に関する優れたサイトですから、訪問されてみてはいかがでしょうか。

2)ICEM North American Regional Office−−国際化学・エネルギー・鉱山・一般労連北米地域事務所
http://www.icemna.org/

3)GMP Local 238−−正式名称は、Glass, Molders, Pottery, Plastics & Allied Workers International Union−−1842年設立という古い歴史をもつガラス瓶製造工だそうです。第238支部はインディアナ州ココモにあります。
http://www.gmp238.org/

4)Chelmsford and District Trades Union Council−−イギリス労働組合会議の地域組織です。チェルムスフォードはイギリス南部エセックス州の州都です。
http://wkweb5.cableinet.co.uk/maljan

5)Workers Online−−オーストラリア・ニュウ・サウス・ウエールス州労働組合評議会が制作提供しているLaborNetの週刊のオンラインジャーナルです。これはすごい。
http://labor.net.au/workers/magazine/latest

6)Public Services International Research Unit−−国際公務員労連が資金を出し、公企業の民営化に関係している多国籍企業に関する研究や情報提供をおこなう機関。あのCyber Picket Lineを運営しているスティーヴ・デイヴィーズも参加している。今年の4月からはイギリスのグリニッジ大学に所属することになるらしい。Cyber Picket Lineについては、私の「インターネットと労働運動」(http://oisr.org/nk/internetandlm.html)を参照してください。
http://www.psiru.org/

7)American Federation of State, County and Municipal Employees−−AFL-CIOに所属するアメリカの地方公務員組合連盟
http://www.afscme.org/

8)LabourStart−−本稿の冒頭参照。
http://www.labourstart.org/

9)GPMU−−The Graphical, Paper & Media Union−−イギリスおよびアイルランドで印刷、出版、新聞などメディア関係の労働者20万人を組織。
http://www.gpmu.org.uk/




(にむらかずお・名誉研究員)


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