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『日本労働年鑑』第70集(2000年版)について
OISR-Watch2000年6月13日号

五十嵐 仁


 1920年以来毎年(戦時中10年間を除く)、大原社会問題研究所から刊行されている『日本労働年鑑』の2000年版が、6月25日に刊行されます。本書は、1999年1年間の日本の社会・労働問題および運動の動向、それらとかかわる政治動向、労働・社会政策などを中心に、できるだけ客観的に記録した日本唯一の労働年鑑です。

 本書が対象としている1999年は、景気低迷が続くなか、1月には自民党と自由党が連立し、10月にはこれに公明党を加えた自自公三党の連立政権が成立しました。通常国会では、事実上、この三党の連携によって、新ガイドライン関連法案、国旗国歌法案、通信傍受法案などの重要法案が、相次いで成立しました。

 

 長期不況のなかで、景気対策に重点をおいた政府は、過去最大規模の予算と二度にわたる補正予算によって積極財政政策を実施しました。しかし、民需は伸びず、消費は回復せず、経済成長率は、実質では若干のプラスとなったものの、名目では二年連続のマイナスとなりました。大規模なリストラによって雇用情勢はさらに悪化し、完全失業率は過去最悪の4.7%となって、アメリカの失業率を上回りました。

 労働政策の面では、女性労働について大きな制度変更が実施され、四月から雇用の全分野での女性に対する差別が禁止されました。同時に、女性の休日労働や深夜労働などに対する規制も解除されました。また、労働分野での規制緩和策として、改正労働者派遣法と改正職業安定法が成立し、労働者派遣事業と有料職業紹介事業が、一部を除いて原則的に自由化されました。

 これらの法改定には労働組合の反対が強く、労働者派遣法の改定反対運動では、連合や全労連などの事実上の共同行動が実現しています。また、新ガイドライン法案反対運動では、連合や全労連傘下の交通・運輸関連の労働組合が共闘し、国旗国歌法案反対運動でも、異なるナショナルセンターに属する組合の共同闘争の動きが見られました。さらに、暮れの臨時国会の焦点となった年金改革関連法案への反対でも、連合と全労連などの足並みがそろい、法案は継続審議となりました。このような99年の日本を、本書は対象としています。

 この第70集も、13年前から採用した5部構成をとっています。すなわち、序章と特集を別にして、全体を、(1)労働経済と労働者の生活、(2)経営労務と労使関係、(3)労働組合の組織と運動、(4)労働組合と政治・社会運動、(5)労働・社会政策の5部に分けています。

 特集では、労働・社会問題のなかでも今の日本が対応を迫られている最大の課題である雇用・失業問題を取り上げ、「現代日本の雇用変動と雇用・失業問題」をテーマとしています。この特集では、90年代の雇用・失業問題の特質が明らかにされ、その背景としての雇用構造の変化と雇用の流動化が分析されています。さらに日本経済の構造転換に伴う雇用管理の変化が明らかにされ、このような状況への政策的対応と雇用創出に向けての新たな可能性が検討されています。

 なお、当研究所では、本年鑑に関連する資料や論文を、当研究所の月刊誌『大原社会問題研究所雑誌』に収録しています。本年鑑とともに、活用していただければ幸いです。

年鑑の目次は、こちらをご参照ください。

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