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『人事評価と労働組合』の刊行にあたって
OISR-Watch2000年4月13日号

五十嵐 仁


このたび、法政大学大原社会問題研究所調査報告No.9として、『人事評価と労働組合』が刊行されました。これは、文部省の98〜99年度科学研究費補助金(基盤研 究(B)(2))研究成果報告書でもあります。この研究は、大原社会問題研究所の 研究プロジェクトであるQWL(労働生活の質的向上)研究会を母体とし、その中に 設置された「人事評価と労働組合」研究班によるものです。この研究班は、QWL研 究会の従来のメンバーの中から希望者を募ると共に、この問題に関心を持つ新たな参加者を加えて発足しました。

この研究班の母体となったQWL研究会は、従来から研究活動を行ってきており、 すでに『労働の人間化』(総合労働研究所、1986年)と『労働の人間化の新展開』 (総合労働研究所、1993年)という2冊の大原社会問題研究所叢書を刊行していま す。この研究会は、働く人々の自律性や職場における自己実現という観点から、日本 の労使関係における人事評価のあり方や労働組合の関わり方を明らかにするため、従来の研究に加えて新しいプロジェクトを立ち上げました。これが「人事評価と労働組 合」研究班です。

こうして、「人事評価と労働組合」研究班は、文部省の科学研究費の交付を受け、 単位組合に対する通信調査、これを補足する形での訪問調査、調査結果の分析や最近の成果の研究のための研究会などを実施しました。通信調査は、98年10月に行われ、主要都道府県の2,080組合に調査票を送付し、605組合から有効回答を得ることができました。この集計結果についての一応の分析は、すでに、田中勉「人事考課と労働組合(調査中間報告)」『大原社会問題研究所雑誌』第487号(1999年6月)として公表されています。

郵送による通信調査と並行して、調査班メンバーによる個別企業や労働組合への訪問調査も実施されました。このようにして直接訪問して調査された21の事例が、こ の報告書に収録されています。それだけでなく、99年度には全労連系組合についての補足調査を行い、全日本金属情報機器労働組合(JMIU)本部の協力も得て、傘下の10組合を訪問して調査することができました。

この報告書は、以上のような活動を行ってきた「人事評価と労働組合」研究班の 最終報告書です。ここには、通信調査の結果の分析、訪問調査の事例報告、これらの調査から得られた知見とその分析、および今後の課題などをまとめた総括、さらに資料として、通信調査の調査票と集計票が収録されています。 以下に、目次を掲げておきましょう。



  はじめに
  第1部  アンケート調査
    I. 調査の目的と概要
    II. 組合の団結と課題
    III.人事制度と組合
    IV.結語
  第2部 自由回答の内容と特徴
    I. 団結強化についての自由回答
    II.人事考課や能力主義・業績主義などについての自由回答
  第3部 訪問調査
    I. 訪問調査の概要
    II.事例報告

一、一般的な事例

二,JMIU関係の事例


    第4部 総括
    第5部 資料
     I. 通信調査の調査票
     II.通信調査の集計表


この研究プロジェクトは2年間という短い期間ではありましたが、日本の労使関係 における人事評価・人事考課が大きく変わりつつある中での実態調査となりました。 そのためにこの調査は、激しく変化する人事評価とそれへの労働組合の対応を、リア ルタイムに記録することになり、この点で誠に貴重なものとなりました。これもひと えに、企業、人事担当者、労働組合、およびその役員の方々のご協力の賜物であり、 この機会に厚くお礼申し上げます。

この報告書で明らかにされた興味深い事実や新たな知見は、日本における人事評価のあり方や労働組合の役割に関心を持つ全ての人々に示唆を与えるところが大きいと思われます。これらの問題に関心のある研究者の方々に本報告書を読んでいただき、活用していただくために、研究所では無料で報告書を差し上げることにしました。ただし、部数に限りがありますので、先着30名様とさせていただきます。必要な方 は、直接、研究所までお申し込みいただければ幸いです。

(申し訳ありませんが、申し込み受付は終了させていただきました)



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