| ●ドメスティック・バイオレンスとは
ドメスティック・バイオレンス―Domestic Violence(以下DVと略す)とは一般的には、「夫やパートナーが、妻や恋人に対してふるう暴力」と定義される。 しかし、この定義に対しては、いくつかの説明が必要であろう。 第一は、なぜなじみの薄いカタカナを使用するのか、という問題に関わっている。 確かに、DVは直訳すると「家庭内・家族内の暴力」となるが、この直訳的定義は、家庭・家族成員間の暴力を意味することになり、問題領域は拡散する。成員間の関係という視点から考えるならば、垂直的関係にある成員間の暴力と水平的関係にある成員間の暴力を区別することができるかもしれない。 「家庭内・家族内の暴力」といえば、これまで日本の社会学はもっぱら垂直的関係にある成員間の暴力を問題視してきた。 垂直的関係にある成員間の暴力とは、日本社会の場合、「嫁いびり」が最も伝統的なパターンであるが、「イエ」制度の解体と少子高齢化の進展にともなって「高齢者虐待」などの「現代的」現象も顕在化するようになっている。他方、幼児・児童虐待は伝統的でもありまた現代的でもある「家庭内・家族内の暴力」である。 いずれにしろこれらの問題群は、家庭・家族における権力や資源のあり方と深く関わっており、家庭・家族内強者から家庭・家族内弱者への暴力ないしは虐待である。そういう意味では「家庭・家族における弱い者いじめ」という側面を持っている。 しかし1980年代頃より、子から親への暴力が社会問題として注目されるようになり、日本では、それを「家庭内暴力」と表現してきた。ドメスティック・バイオレンスというあえてなじみの薄いカタカナ表記を使用するのは、上記のような問題領域との区別を明確にする意図があってである。 第二に、問題が家庭内・家族内にとどまらないことである。恋人や愛人は制度的には家族成員ではない。DVは、家庭・家族の水平的関係成員間を含みつつ、より広く「親密な関係にある」あるいは「パートナー関係にある」人間間における暴力ないしは虐待問題に焦点を当てた表現である。 第三に、DVはそれらの人間間における「暴力ないしは虐待」という現象形態だけを問題にするものではない。ここで詳説は出来ないが、DV問題で活動しているアメリカの団体の間では、以下の定義が共通に採用されつつある。 「表面上『親密』な人間関係において、一方のパートナーが継続して他方をコントロールするパターン。またそのパターンを作り出し、維持するための仕組み」本リンク集でも、この定義にしたがって、サイト採録をおこなった。 ●DVサイト採録の基準 本リンク集は、DV当事者(広くは支援者も含めて)の利用便宜を優先的に考えて編集した。DVにしても、それ以外の社会問題にしても、ネット上では情報は無数にあり、それ自身は歓迎すべき事態ではあるのだが、問題当事者にとってはかえって問題解決の手段としては使いにくい事態になっているのではないかという、懸念が一方では存在する。 本リンク集は、DVという社会問題に関する実用的なリンク集でありたいと思っている。 こうした趣旨から、本リンク集では、DVに特化したWEBサイトの採録を第一とし、DVに触れたWEBページは、基本的に採録の対象外とした。DVに触れたWEBページの収集には、検索エンジンでのキーワード検索の方がむしろ便利である。研究者にはこうした方法をお勧めしたい。 さて、DV問題の当事者にとって有用なWEBサイトも、大別すれば以下の三つに区分することができる。
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