人事院は、八七年度に四週六休制の本格実施を求める勧告をおこない、あわせて土曜日閉庁方式によることが望ましいとする姿勢を示した。これを受けて八八年には、公務員の四週六休制が実施された。また、人事院は、右の給与勧告とともに「週休二日制・勤務時間制度に関する勧告」をおこなった。八八年度は、土曜日閉庁問題をふくめて公務員の週休二日制をめぐる一連の措置がとられ、公務員の労働時間制度にとって大きな転換の年となった。
政府、四週六休制の本格実施と土曜日閉庁を決定前年度の四週六休制勧告を受けた政府は、週休二日制・閉庁問題関係閣僚会議を設置(八七年九月二五日)し、検討を進めた。八七年末の段階において、四週六休制についてはその実施を決定していたが、土曜日閉庁に関しては検討課題とされていた。この結果、四週六休制は、開庁方式により八八年四月一七日から本格実施されることになった。
閉庁問題は、総務庁において具体的検討が進められ、行政サービスを低下させないことを条件にして実施方針が練られた。五月三一日、政府は、第二、第四土曜日を原則として閉庁とする方針を閣議で決定した。この方針では、土曜閉庁の対象としない官署として、交替制で事務をおこなう必要のある官署、週末に利用率がとくに高い官署、その他各行政機関の長がとくに事務をおこなう必要があると認める官署をあげ、国立学校、国立病院(外来部門)等については当面閉庁対象とせず、さらに検討するとしている。また、地方公共団体においても、国との均衡をとりつつ土曜閉庁を導入するよう要請し、特殊法人でもそれぞれの事業の性格に応じ適切な措置をこうじるよう指導することとした。これによって、公的部門での土曜日閉庁の準備が具体的に進められることになった。
人事院、閉庁方式による四週六休制と九二年度までに完全週休二日制の実現を提言こうした政府の方針を受けて、人事院は、土曜閉庁方式による四週六休制の形態を「勤務を要しない日」とすること、週休日の振替制度の新設など、週休制度の整備をはかるように求める勧告をおこなった。この整備は、週休にあたる土曜日を現行の「勤務を要しない時間」ではなく、通常の休日と同じ扱いにするものである。そして、公務運営上の必要から休日に勤務した場合には、勤務日との振替制度を設けることによって、「閉庁方式の円滑な実施と職員の休日の確保及び実勤務時間の短縮」をはかろうとしている。勧告部分の全文は、つぎのとおりである。
【週休二日制・勤務時間制度に関する勧告】
次のように四週六休制の実施方法等を改定するため、一般職の職員の給与等に関する法律(昭和二十五年法律第九五号)を改正することを勧告する。
1 日曜日及び四週間につき二の土曜日は勤務を要しない日とし、勤務時間は、月曜日から金曜日まで及び勤務を要しない日とされた土曜日を除く土曜日において割り振るものとすること。
2 1により難い職員については、人事院規則の定めるところにより、一週間につき一日以上の割合で勤務を要しない日を設けることを条件として、勤務を要しない日及び勤務時間の割振りについて別に定めることができるものとすること。
3 各庁の長は、公務の運営上特に必要がある場合には、人事院規則の定めるところにより、勤務を要しない日を勤務時間が割り振られた日と振り替えることができるものとすること。ただし、振替えが困難な場合には、人事院規則の定めるところにより、勤務時間が割り振られた日の勤務時間の一部を勤務を要しない日に割り振ることができるものとすること。
4 勤務を要しない時間の指定による四週六休制は廃止するとともに、その他の規定について所要の整備を行うこと。
この改定は、行政機関の土曜閉庁の実施に合わせて実施すること。
また、人事院は、勧告にともなう報告において、完全週休二日制の実現へむけた努力を求めている。人事院の調査によれば、なんらかの形で週休二日制を導入している事業所の割合は七九・九%、隔週または月二回以上の週休二日制の事業所は六四・九%であり、前年よりさらに増加している。完全週休二日制の事業所も、すでに一八・七%にのぼっている(三七四ページの図参照)。人事院は、こうした民間の動きや、改正労働基準法で週四〇時間制が目標として規定されたこと、さらに八八年度から九二年度の経済運営五ヵ年計画において週四〇時間制の実現と年間総労働時間一八〇〇時間への短縮という目標が設定されていることを考慮し、公務員についても、行政サービスに配慮しつつ勤務時間短縮や週休二日制の積極的推進が必要であるとしている。そして、政府にたいし、民間における週休二日制の推進・拡大の動きや土曜閉庁の国民生活への影響をふまえて、「国全体の労働時間短縮の計画期間内にすみやかに実現することを目標に、そのための施策を計画的にこうじる」こと、すなわち九二年度までに完全週休二日制を実現するよう求めている。また、同時に、公務能率の向上や勤務時間管理の厳正化へのとりくみの必要性も指摘している。
第二・第四土曜日の閉庁実施政府は、人事院勧告を受け、八八年九月二二日、土曜日閉庁関連四法案を国会に提出した。同法案は、一二月九日参議院本会議での可決によって成立し、八九年一月一日施行された。こうして、八九年一月一四日から、土曜日閉庁がスタートすることになったのである。
日曜日を休日、土曜日を半日勤務としてきた国家公務員の週休制度は、一八七六年以来のものである。隔週休とはいえ土曜閉庁による四週六休制が本格実施されたことによって、わが国の週休制度の慣習がようやく大きな転換を迎えたといえよう。その意味では、八八年度は日本の労働時間制度のうえで一つの区切りを示す年となった。
【参考資料】 (1)『賃金通信』、(2)『労働基準』、(3)『賃金事情』、(4)『労働基準広報』、(5)『人事院月報』日本労働年鑑 第59集
発行 1989年6月26日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2000年2月22日公開開始