答申された目安額は、景気が回復してきたことを多少反映して、前年度より〇・八ポイント高い三・〇%の引き上げであり、三年ぶりに引き上げ率は前年を上回ることとなった。金額でみても三年ぶりの水準であるものの、八五年にくらべ一〇〜一二円低い。目安制度が導入された七八年度以降の目安額の推移は、第61表のとおりである。
中賃では、目安に関する小委員会が三回開催され、公益委員と労使各側委員との個別会議もそれぞれ数回にわたっておこなわれた。使用者側委員は、据え置きを主張した前年とは異なり、有額の引き上げを認めたものの、引き上げ幅については労働側委員との一致にはいたらなかった。
使用者側委員からだされた意見は、特定の地域・業種においてはなお好景気の波及を受けていないこと、賃金改定状況調査によれば賃上げを実施していない事業所の割合がいまだ高い水準にあること、国際的にみれば最低賃金の水準が高くなっていること、経済の先行きは不透明であることなどであった。
これにたいし労働側は、一般労働者と中小企業に働く未組織労働者との賃金格差を縮小すること、新産業別最低賃金への移行にともなう現行産業別最低賃金からの年齢・業務・業種などについての適用除外が進められていることを考慮して、各ランク四・七%の引き上げをおこなうべきだと主張した。
結局、八八年度も、目安に関する公益委員見解の提示という形で、右の目安額を地方最低賃金審議会に示すことが全会一致で決定されることになった。このような形は八一年度以降八年連続であり、今後の中賃において、目安制度の再検討をおこなうことが確認された。
地域別最低賃金、四三都道府県で目安と同額の引き上げ地方最低賃金審議会(以下、地賃と略記)は、中賃の目安提示を受け、各都道府県労働基準局長の諮問により改定審議をおこなった。八八年八月五日から九月二八日のあいだに、すべでの地賃での審議が終了し、第62表のとおり地域別最低賃金が改定された。中賃の目安どおりに増額されたのは四三都道府県で(前年より二減)、上回ったのが三県(奈良、神奈川、滋賀)である。なお、京都については、南北一本化のため前年にひきつづき、南部で目安より下回り、北部で上回る改定をおこなった。
全国加重平均額は、日額三七七六円(引き上げ率三・〇%)、時間額四七四円(同二・八二%)である。日本労働年鑑 第59集
発行 1989年6月26日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2000年2月22日公開開始