最初の計画は一九五八年に公表され、以降五ヵ年計画が繰り返されてきた。今回は、八七年一〇月二八日、労働大臣から中央労働基準審議会に諮問し、同審議会労働災害部会で実質審議がなされた。八八年一月二九日、審議会は諮問に一部修正意見を添えて適当であると答申した。その後各省間の連絡を経て、三月四日の閣議に報告され、三月一八日の官報に掲載された。審議会答申にあたり、この計画の実施については法令改正が必要であるとの建議があり、これは法律改正となって実現することとなった。
「計画」は、労働災害防止のための主要対策等を定めるものであり、この分野の行政の基本を示している。「計画」の概要は、以下のとおりである。
(1) 「計画」のねらい
「計画」のねらいとしては、つぎの四項目をあげている。このうち、(2)にみられる心身の健康増進は、計画の副題にもあるように新しい重点であり、また(3)で、危険予知活動に言及がなされていることも注目される。
(1) 職場における潜在的な危険有害性の予測とその結果に基づく安全衛生対策の徹底を図ること
(2) 労働者の心身両面にわたる積極的な健康の保持増進対策を実施することにより、労働者の職場適応能力の向上を図ること
(3) 機械設備等のフェールセーフ化等ハード面の対策に加え、危険予知活動等の安全衛生活動、安全衛生教育の充実等ソフト面の対策の充実を図ること
(4) 関係行政機関、労働災害防止団体、関係事業者団体等との幅広い連携を図ることにより事業者の自主的な安全衛生活動を支援し、労働災害防止活動が国民的運動として定着するよう促進すること
この項目のはじめに、労働災害の絶滅と快適で健康な職場環境の形成に向けて最大限の努力をする必要があるとし、この「計画」は、従来からの問題と新しい局面にともなう課題への対策の方向を示すものであると結んでいる。
(2) 計画期間「計画」の目標としては、「労働災害の絶滅に向けての努力により、死亡災害、重大災害及び重篤な職業性疾病の大幅な減少を期するとともに、労働災害の総件数の概ね三〇%の減少を図り、労働者の安全と健康を確保すること」であるとのべている。
この目標達成の重点として、つぎの五項目をあげている。これは網羅的な施策のうちで、とくに重視するものであろう。(1) 安全衛生に係る事前評価体制の確立
(2) 心身両面にわたる積極的な健康の保持増進
(3) 適正な作業環境管理の推進
(4) 機械・設備の安全化の促進
(5) 中小規模事業場における安全衛生活動の促進
日本労働年鑑 第59集
発行 1989年6月26日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2000年2月22日公開開始