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日本労働年鑑 第59集 1989年版
The Labour Year Book of Japan 1989

第四部 労働組合と政治・.社会運動

II 社会運動の動向


1 第五九回メーデー

労戦統一をめぐる対立が新たな暗雲を落とす
 第五九回メーデーは、八八年二月八日に実行委員会が発足して準備が進められた。常任実行委員会を担当したのは総評、連合、新産別、友愛会議、中連、東京地評、東京同盟、東京中連、新産別東京の九団体である。

 八八年三月四日に開かれた第二回実行委員会ではメイン・スローガンから「団結」の字句が削除されたことにたいして、統一労組懇系の労働組合を中心として批判が出され紛糾した。結局「団結」を「連帯」に代えた原案が承認され、前年度は削られた「権利の拡大」の語句を復活させることになった。サブ・スローガンでは、前年度にひきつづき当面の焦点となった税制改革に関して不公平税制の是正・減税の早期実施、「国民合意をみない新型間接税」の導入反対が第一にかかげられた。この点についても統一労組懇系の組合は、新型間接税反対があいまいであるとして、その姿勢を明記するよう迫った。全体として、労働戦線統一をめぐる差し迫った対立状況が、メーデーの統一開催にも新たな暗雲をなげかける状況に立ちいたっているとの印象を深めた。

統一集会、史上最高の三八都道府県
 第五九回メーデーの全国的な開催状況は、会場数一二二〇ヵ所、参加者三六〇万人であった。

 統一集会は、新たに秋田、岩手、山形、宮城、茨城、山梨、岡山、島根、徳島、大分、熊本の一一県を加えて三八都道府県となり、史上最高を更新した。分裂開催となったのは、青森、静岡、京都、山口、福岡、佐賀、長崎、宮崎、沖縄の九府県である。

 中央式典は、代々木公園を会場に三五万人が参加して開かれた。式典後は六コースに分かれてのデモ行進がおこなわれ、同時に国立競技場と明治公園を会場にスポーツ祭典「サン&グリーンフェスティバル」が開催され、一〇万人が参加した。

 【第五九回メーデーのスローガンと宣言】
 〔メイン・スローガン〕
  働くものの連帯で、権利の拡大、雇用と生活の安定・向上をはかり、自由で平和な日本をつくろう。
 〔サブ・スローガン〕
 一 不公平税制の是正・減税の早期実施、国民合意をみない新型間接税の導入反対
 二 完全雇用の実現・内需拡大で雇用確保、失業対策の強化、職業訓練制度の充実、中高年労働者・障害者の雇用拡大など総合雇用政策の確立
 三 労働時間の短縮、週四〇時間労働、完全週休二日制の早期実現、「太陽と緑の週」の法制化・正月三が日の休業化実現、有給休暇の完全取得
 四 労働者の心身の健康維持・向上と文化活動の積極推進
 五 賃上げ要求の貫徹、実効ある最低賃金制の確立、人事院勧告・仲裁裁定の即時完全実施、中小企業労働者・パートタイマー・派遣労働者などの雇用の安定と格差是正
 六 労働基本権確立、労働者の諸権利を擁護するILO条約の早期批准
 七 男女平等の確立、母性保護制度の充実、育児休業法の制定
 八 医療・年金改善、労働者・高齢者福祉対策の充実など、社会保障制度の拡充
 九 国・自治体の責任による地価引き下げ、宅地・住宅の早期大量供給
一〇 公害絶滅、水と空気と緑の保全、環境保護、災害対策の強化
一一 国民のための行政改革・教育改革の推進
一二 憲法擁護、軍縮、核兵器の廃絶、非核三原則の厳守、防衛費の突出反対、被爆者援護法の制定、北方領土四島早期返還
一三 国民の知る権利をうばい、言論・報道の自由をおかす「国家秘密法」の国会再上程に反対
一四 未組織労働者の組織化、労働界全体の統一
一五 国際労働組織との連帯、発展途上国との連帯、南アフリカの人種隔離政策反対、人権・労働組合権の回復
〔メーデー宣言(部分)〕

 〔略〕いま日本は世界最大の債権国となったが、労働者の実質賃金は伸び悩み労働者の生活は改善されていない。四月一日実施の新労基法も労働者の要求からはほど遠く、社会保障制度も後退を強いられている。国家予算は防衛費のみが突出し統けているが、平和憲法を守り、生活と権利を高め平和を築いていかねばならない。

 このような状況の中で労働者の団結は前進を遂げ、労働組合の共同闘争は年々拡大している。労働戦線統一は、着実に進んでおり労働界全体の統一は目前となった。

 われわれは、労働者の生活を高めるうえで解決すべき数々の課題をかかえている。不公平税制の是正と大幅減税の実現、総合雇用政策の確立、全ての労働者の労働時間短縮をかちとるため、週四〇時間労働、完全週休二日制の獲得、「太陽と緑の週」の法制化、正月三が日休業の実現、有給休暇の完全取得の運動に最大の力を注がねばならない。〔略〕

 竹下内閣は、国民の合意をみない新型間接税の導入をはかろうとするなど、その政治姿勢は目にあまるものがある。われわれは数におごれる自民党政治に終止符を打つ体制を整え、次の闘いに備えて労働者の力を結集していく。

 さらに、防衛費の突出に反対し、核兵器の廃絶、全面軍縮の早期実現を求めると同時に、発展途上国との連帯、南アフリカの人種隔離政策反対など世界各地の人権弾圧にさらされている人々と連帯していくものである。〔略〕

日本労働年鑑 第59集
発行 1989年6月26日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2000年2月22日公開開始


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