八八年八月五日、労働省は「労働基準法研究会(労災補償関係)の中間的な研究内容について」という文書を発表した。関係各審議会の意見を聴いたうえ、法案作成にとりかかり、一二月からの通常国会に提出する動きがあった。
総評弁護団は、一〇月一二日、この研究会報告は、労働者の諸権利をふみにじる重大な問題をふくんでいるとして、法案作成の作業を断念するよう労働大臣に意見書を提出した。これと前後して労働組合、弁護士、労働法学者、医師、医療従事者、労災・職業病に関係する諸団体等による研究会やシンポジウムが数多く開かれるようになった。労働基準法第八章の削除や休業補償給付の一年半での打ち切りをはじめ、各項目に反対の意見が強く、現在、労働省は法案作成の準備をさしひかえている状態である。
医療保険や医療制度の改定と民間活力の活用が問題になっているとき、そのモデルとされているアメリカに、中央社保協が医療調査団を派遣し、『重症・アメリカ医療の最前線』という報告書をまとめ発行した。各方面から大きな反響を呼んでいる。
水俣病やじん肺、アスベスト粉塵や各種の公害被害者のたたかいがねばり強く展開されている。勝訴の判決も出され、勇気づけられているのも最近の特徴の一つである。【参考資料】 (1)中央社保協『八八〜八九年度中央社保協第三二回総会議案書』、『社会保障』、(2)社会保険法規研究会『週刊社会保障』、(3)日本生活協同組合連合会医療部会『社保闘争ニュース』、『医療生協運動』、『虹のブックレット一九号』、(4)障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会『障全協新聞』、(5)全国生活と健康を守る会連合会『第二七回全国大会決定集』、『生活と健康を守る新聞』、『生活と健康』、『生存権侵害の実態・実例集』、『第二七期・全国理事会の決定』、(6)全日自労建設一般労組『第五二回定期大会決定集』、『じかたび』、(7)中高年雇用・福祉事業団「じぎょうだん』、(8)全国福祉保育労組『第三回定期大会議案書』、『福祉のなかま』、(9)日本医療労働組合連合会『第三七回定期大会議案書』、(10)全国老後保障地域団体連絡会『高齢期とくらし』、『連絡会ニュース』、(11)神奈川労災職業病センター『労基法・労災法改悪問題資料集』、(12)全国建設労働組合総連合『全建総連』。
日本労働年鑑 第59集
発行 1989年6月26日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2000年2月22日公開開始