OISR.ORG へようこそ 法政大学大原社会問題研究所

日本労働年鑑 第59集 1989年版
The Labour Year Book of Japan 1989

第三部 労働組合の組織と運動

V 労働者福祉運動


1 労働金庫運動

労働金庫の事業概況

 八八年三月末現在の会員および間接構成員(労働組合等の利用者)の組織状況は、団体会員数は対前年同月比一三〇五会員増加し、五万八六八九会員となり、ひきつづき増加傾向にある。また、個人会員数は、過去二年間増加傾向を示していたが、対前年同月比八四五一会員減少した。この結果、会員総数は、七一四六会員減少し、二八万八五七〇会員となった(第53表参照)。

 事業概況については、預金(譲渡性預金ふくむ)は、八八年三月末現在において、五兆六五二〇億円、対前年同月比三一四二億円の増加にとどまり、増加率も一・九ポイント減の五・九%と過去最低であった前期(七・九%)を下回る結果となった。

 一方、融資の面では、対前年同月比四六六億円増加して、二兆六五六八億円となり、増加率では過去最低であった前期を〇・五ポイント上回り一・八%となった。

 使途別貸出区分では、マイプラン(新型カードローン)、カーライフローン等を中心とした融資伸長のとりくみの成果として、生活資金残高は、前期比一一八八億円(一二・六%)増加して一兆五九六億円となり、貸出金全体に占める割合も三・九ポイント上昇して三九・九%となり、多目的資金の需要の強さが反映された結果となっている。

八八年度事業計画
 第二期中期計画(八七〜八九年度)の中間年度となる八八年度の事業計画は、第二期中期計画でかかげた「全国労金が一体となって取り組みを進めるべき主要政策課題」を遂行する観点から、つぎのように決定された。
 (1)基本方針
  ・総合力の発揮
  ・本来業務の徹底
  ・新たな関係の形成
 (2)主要政策課題(要旨)
  ・全国労金一本化の推進
  ・財務体質の強化・拡充
   ・リスク管理体制の確立とALMソフトの開発
   ・資金運用の適正化
   ・手数料政策の見直し
   ・出資配当自主基準の策定
  ・機械化システムの充実・強化
   ・新システム移行計画の推進体制確立
   ・CD提携の拡充と稼働時間の延長
  ・金融機能の拡充
   ・国債窓販・両替業務の販売促進
   ・制度改善の要望(後述)
  ・推進体制の充実・整備
  ・社会的役割の発揮
 (3)結集目標
  ・会員 一五〇〇会員(八九年三月末、五万八五八四会員、年間二・二六%増)
  ・預金六九一〇億円(八九年三月末残高六兆三四二八億円、年間一二・二三%増)
  ・融資 三三六四億円(八九年三月末残高二兆九九三三億円、年間一二・六六%増)

金国労金一本化へのとりくみ
 全国労金一本化へのとりくみについては、八八年五月に開催された労金協会総会において、つぎの課題および今後のとりくみについての方向性が確認された。
 (1)労働金庫自らの手で一本化をふくむ将来構想を早急に構築すること
 (2)金融制度調査会第一委員会における審議に労金の主張を反映し、実現すること
 (3)一本化計画の補強・修正および今後の全国労金の合意形成に向けたとりくみについては、金庫内外の力量を結集してとりくんでいくこと

 あわせて、具体的な展開にあたっては、労金協会理事会の特別委員会として「基本政策委員会」を設置し、長期的な視野に立って総合的な検討と方針の確立をはかっていくことが確認された。
 また、この基本政策委員会での一本化にかかわるおもな検討課題はつぎのとおりとされた。

 (1)金融・経済、労働情勢および勤労者の生活と意識の変化等を踏まえた一本化の意義の再構築
 (2)一本化計画の再構築
  ○金庫間の経営格差に関する認識の統一
  ○一本化による経営効果の実現方策とその効果測定
  ○会員還元をふくむ一本化後の事業計画の策定
 (3)一本化の実現に向けた法・制度面における理論整理

 以上の検討課題について現在具体的な作業を進めているが、ひきつづき作業の進捗状況に応じてその成果を基本政策委員会に反映しつつ、今後のとりくみを展開していくこととしている。

制度改善へのとりくみ

 八七年一二月、金融制度調査会・制度問題研究会は、「専門金融機関制度のあり方について」報告をおこなったが、これを受けて、八八年二月に「金融制度第一委員会」と「同第二委員会」が設置された。「第一委員会」は、(1)相互銀行制度、(2)協同組織金融機関制度のあり方および業務制度を審議の対象としている。

 こうした金融制度の見直しの動きへの対応として、労働金庫は、八八年四月労金協会に政策推進室を設置し、(1)全国労金一本化の推進、(2)労金制度改善、(3)労金ビジョンの具体化と関連諸課題への対応、などの主要課題へ積極的なアプローチをかけるための体制整備をはかるとともに、八八年五月の労金協会総会において金融制度第一委員会に関する対応方針について確認をおこなった。

 八八年一〇月には、金融制度第一委員会は、労働金庫、信用金庫、信用組合等の「協同組織金融機関のあり方」を全面的に見直す観点から、各業態の考え方を参考にしつつ、具体的な審議に入った。ここでの審議結果が労働金庫の将来のあり方を直接・間接に方向づける、きわめて重要なものになることは間違いのないところであることから、労金協会理事会は、八八年五月に設置した基本政策委員会での審議を経て、労働金庫の「あり方」について基本的な考え方をとりまとめた。

 そして、労働金庫は、今後とも経営の健全性・効率性を確保しつつ、協同組織の金融機関として、労働者の多様な金融ニーズに応えていくという基本的な考え方のうえに立ち、八九年一月に主としてつぎの点を制度改善に関する要望事項として、第一委員会の場で労働金庫業界としての意見陳述をおこなった。

 (1)員外貸出しの拡大
  (1)労働金庫が出資した関連会社に対する貸出し
  (2)労働組合、生活協同組合、その他労働者の団体によって設立された株式会社等に対する貸出し
  (3)地方公共団体に準ずる団体に対する貸出し
  (4)個人員外貸出し額の引き上げ
  (5)間接構成員であったものとの継続取引
  (6)中小企業に働く未組織労働者の福利厚生のための貸出し
 (2)金融機能の拡充
  (1)国債等の窓販並びに公共債のディーリング業務の取り扱い
  (2)外国為替業務の取り扱い
 (3)労働金庫連合会の機能の拡充
 前述の2の(1)、(2)のほか、(7)貸出し先範囲の拡大、(3)債券(労働金庫債)の発行

 以上の要望事項のほか、現在、その具体化に向けて検討を進めている「労働金庫の合併」について、あわせて第一委員会においてその審議を要望した。
 金融制度第一委員会は、これらの審議結果等について、八九年五月に中間報告をおこなう予定である。

日本労働年鑑 第59集
発行 1989年6月26日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2000年2月22日公開開始


■←前のページ  日本労働年鑑第59集【目次】 次のページ→■
日本労働年鑑【総合案内】

法政大学大原社会問題研究所(http://oisr.org)