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日本労働年鑑 第59集 1989年版
The Labour Year Book of Japan 1989

特集 日本における外国人労働者問題


2 外国人労働者の受入れ問題をめぐる政・労・使の対応

4 その他の動き
(2) 地方自治体の提言

 在日外国人居住者の増加とともに地域社会の国際化がすすむなかで、東京や神奈川をはじめとして、国籍の制限条項を撤廃して外国人を地方公務員に採用する動きは急速に拡大されつつある。たとえば神奈川県では、八八年度の職員採用試験から、日本国籍を必要としない職種をそれまでの七職種から六一職種へと拡大した。

 東京都では、八八年五月には外国人住民向けに英文の手引書を発行し、七月には外国人相談所を開設している。
 同時に、自治体の国際化政策が問われている今日、京京と神奈川のそれぞれの研究会報告には、今日の外国人労働者問題にたいする自治体側の積極的な姿勢が示されている。

 神奈川県の報告書では、不法就労の単純労働に従事する出稼ぎ外国人労働者を中心に、彼らが増加した背景や地域における実態を明らかにしている。「また、これらの外国人労働者の就労を否定的にとらえる見解を批判し、結論として、つぎのような四つの提言をまとめ、それぞれについての理由をのべている。

 〔外国人労働者に関する提言−−神奈川県〕
一、外国人労働者受け入れの見直しにあたっては、職種による制限を設けない「入管法」の改正が望ましい
 二、外国人労働者の受け入れを段階的に緩和していく方向が望ましい
 三、現在、事実上無権利状態に置かれている出稼ぎ外国人労働者に対して、人権擁護の見地から対策を講じる必要がある
 四、出稼ぎ外国人労働者問題の根底には、同質社会を維持することの是非が問われていることを認識する必要がある

 東京都の報告書では、「単純労働力の受け入れ」に関して、この問題の焦点は、非人問的な就労実能ににあり、取り締まって強制送還をくり返しても問題は解決しないこと、また、経済格差が、あるかぎり流入阻止は不可能であるとして、これらの労働力の「秩序ある受け入れに進む体制の整備が必要である」と指摘している。

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 以上、一九八〇年代を中心とする日本の外国人労働者問題の状況およぴ受け入れのあり方をめぐる動向を概観した。外国人労働者問題は、日本の将来にわたっての国際化のあり方を問うものである。いいかえれば、それによって一般に「人的鎖国体制」「同質化社会」ともいわれている日本の戦後社会体制のあり方が問われているのであり、その意味で、現在はひとつの歴史的転換期にあるということができる。外国人労働者問題は広範にわたり、複雑であるがゆえに安易な対応策は避けられるべきであるが、他方、早急な対策を迫る多くの課題が提起されていることも事実である。

今後、わが国がどのような国際化社会をめざしていくべきであるのかという点を基軸にして、外国人労働者の就労にともなう諸問題を考察していく必要があると思われる。

【参考資料】(1)『週刊労働ニュース』、(2)『「外国人の就職・雇用Q&A』、『外国人労働者問題への対応』(法務省入管局編、一九八八年)、(3)『国際人流』(入管協会)、(4)『我が国における外国人雇用と国民生活に関するアンケート調査』(経済企画庁、一九八八年)、(5)五野井博明『出稼ぎ外人残酷物語』(エール出版社、一九八九年)、(6)『今後における外国人労働者受け入れの方向』、『「外国人労働者問題に関する調査検討のための懇談会」における意見の整理について』(労働省職業安定局、一九八八年)、(7)『昭和

六三年版海外労働白書』(日本労働協会、一九八八年)、(8)「欧州元・下請関係等調査報告」(日建連)、(9)「雇用対策基本計画(第六次)」(労働省編)、(10)「国民生活の国際化」(経済企画庁)、(11)「外国人の受け入れに関する調査」、「外国人労働者の受け入れ問題に関する中間意見について」(東商)、(12)「労働問題研究委員会報告」(日経連、一九八九年)、(13)「外国人労働者受け入れの提言」(二一世紀経済基盤開発国民会議)、(14)「外国人労働者問題への対応について」(連合)、(15)『八八年版総評政策集』、(16)大島静子/C・フランシス『HELPから見た日本』(朝日新聞社、一九八八年)、(17)「外国人労働者の合法化にむけて」(「カラバオの会」編)、(18)「外国人の入国と在留に関する世論調査」(総理府、一九八八年)、(19)『地球化時代の自治体』(神奈川県自治総合研究センター、一九八八年)、(20)『世界に開かれた都市の形成へ向けて』(東京都企画審議室、一九八八年)

日本労働年鑑 第59集
発行 1989年6月26日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2000年2月22日公開開始


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