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日本労働年鑑 第59集 1989年版
The Labour Year Book of Japan 1989

特集 日本における外国人労働者問題


2 外国人労働者の受入れ問題をめぐる政・労・使の対応

3 労働組合の動向
(4) その他の労働組合

外国人労働者への国内労働市場の開放,とりわけいわゆる「単純労働者」という概念で理解されているアジア諸国からの不熟練労働力の導入にたいして,現時点では多くの労働組合が「導入反対」または「原則反対」の立場をとっている。とくに,アジア諸国からの不法就労外国人男子労働者の多くが集中している建設業などではこうした傾向が強い。

 〔全建総連〕八七年五月一九〜二〇日,全国建設労働組合総連合(全建総連)は,「建設労働者・職人の賃金引き上げ,労働条件改善に関する要望書」のなかで,「違法な外国人労働者の現場就労を防止するとともに,それをおこなう不正・不良業者は排除すること」をかかげている。建設業界における不法就労外国人労働者増加の背景には,日本の建設産業における重層的な元請・下請関係のもとでの低賃金労働の残存,および建設労働という職場環境から規定される相対的に悪い労働条件が労働力不足現象を生みだし,それはいわゆる建設ブームと呼ばれる業界の状況によってさらに拡大されつつあるという現実がある。全建総連の「外国人労働力導入原則反対」の背後には,安い外国人労働力が大量に導入されれば,そうでなくても低賃金・劣悪な労働条件はますます悪化することにならざるをえないという国内労働者の危惧がある。

 〔造船重機労連〕造船重機労連は,八八年二月二四日,「構造不況にあえぐ企業が安い労働力として外国人労働者を雇い入れること」にたいする恐れを表明し,「外国人労働者の導入に断固反対する態度」を表明している。その後,八九年二月二日には,「外国人労働者の受け入れ判断基準」を決めている。そこでは「(1)一般技能系労働者の受け入れは,公正労働基準を乱し,技能系の職場を失い,また造船業の基幹産業への再生を妨げるので,認められない。 (2)研修生などについては,労使事前協議で対応する。(3)外国人労働者の不法就労は,絶対認められない。(4)外国人労働者の受け入れには,後世に禍根を残すことのない政策判断が求められている。(5)企業から受け入れの提案があった場合は,事前に労連本部へ報告する」(以上,要旨)などを指摘している。

 〔全日本海員組合〕全日本海員組合は,八八年一二月,「船員コスト削減を目的とした外国人船員の導入は,失業船員の数を増加させ,また安全輸送にも重大な影響を及ぼすものであり,断固反対する」という姿勢を表明した。

 ここにかかげたいくつかの労働組合の外国人労働者の受け入れにたいする立場は,構造不況業種,不法就労外国人をかかえる好況業種,正規の外国人労働力受け入れに直面する業種というように,それぞれの状況のちがいはあるが,「断固反対」という点では共通している。そこには,安い外国人労働力の導入は国内労働者の職場を奪い,したがって失業の増加をもたらし,国内労働者の低賃金・劣悪な労働条件を維持し,さらにはよりいっそう悪化させることになるという共通意識がある。

日本労働年鑑 第59集
発行 1989年6月26日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2000年2月22日公開開始


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