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日本労働年鑑 第57集 1987年版
The Labour Year Book of Japan 1987

第四部 労働組合と政治・社会運動

III 政党の動向


4 公明党

4 政策・方針
八六年活動方針

 第二三回党大会で採択された八六年活動方針は、中曽根内閣について、「防衛費の国民総生産(GNP)比一%枠の撤廃、スパイ防止法の制定、靖国神社公式参拝の強行など、平和にかんする問題だけでなく、教育改革、税制改革でも危険な意図が明白」と指摘し、新たに項目を設けてはっきりとした対決姿勢を打ち出した点に特徴がみられる。また連合問題では、「八五年活動方針」で打ち出した二条件が満たされるのであれば、「すみやかな対応を考えなければならず、その際には全国大会に準ずる機関で決断することもあり得る」と、党執行部が連合政権参加のフリーハンドを持つことを初めて明記した。とくに、新たな状況が生まれた場合には、「固定的、限定的な目標にとどまるのではなく、基本は基本としつつも、あらゆる可能性に挑戦し、追求する重層的なとりくみが必要である」として、チャンスがあれば「自民党との連合に踏みきる可能性」(『朝日新聞』八五年一〇月二一日付)をも示唆するものとなっている。他党との関係では、民社党には意識的に「友党」の文字を入れ、社会党の「現在の政策の大転換の可能性」に期待をかけている。

八七年活動方針

 八六年一〇月一九日付で発表され、第二四回全国大会で採択された八七年活動方針は、(1)内外の諸情勢、(2)政治転換への展望と課題、(3)統一地方選挙の勝利と次期国政選挙への磐石な基礎づくりを、(4)党活動の目標、の四章から成っており、連合論議を当面タナ上げし、党の主体性強化に活動の力点をおいている点を特徴としている。活動方針は、同日選の結果を分析し、自民多数の政治状況から「差し当たり『連合』問題の生ずる状況になく、自民党主導型政治への警戒感が強まっている」と判断し、情勢依存の姿勢ではなく、「党の主体性強化」とつぎの国政選挙での「伯仲再現」を」第一義とすることを明記している。土井・社会党にたいしては、「今後を強い関心を持って見守りたい」として現実的対応への注文をつけ、「大枠としての社・公・民」路線については、国会において一致できるテーマで共闘する「選択的政策連合」により野党結束を図ることに限定している。また、党としては、日常活動、地域活動を強化し、党勢の基盤をより固め、(1)統一地方選での「大勝利」をめざす、(2)次期総選挙で六〇台の議席を獲得し、保革伯仲の再現をめざすなどの目標を掲げた。

八六年基本政策

 第二三回全国大会で採択された「八六年基本政策」は、八五年とほとんど同様の一六の柱で構成されている(八五年基本政策については、本年鑑第五六集、四〇三ページ参照)。このなかで、新たに打ち出されたり、より内容が拡充されたものとしては、スパイ防止法案反対、靖国神社公式参拝と国家護持に反対、指紋押捺制度の廃止、私的諮問機関の乱用防止、貿易摩擦の緩和と保護貿易主義の阻止、一千カイリ・シーレーン防衛とその洋上防空に反対、防衛費のGNP比一%枠撤廃と五九中業の政府計画への格上げに反対、地方自治体への国の負担転嫁に反対、単身赴任減税の実施、国鉄改革の推進などがある。

八七年基本政策

 八七年基本政策も、従来と同様の一六の柱で構成され、大きな変更はないが、アメリカの戦略防衛構想(SDI)への研究参加にたいして「慎重に対処すべき」ことなどを新たに加えている。また、「自民党の新スパイ防止法案には強く反対」を表明し、GNP比一%枠撤廃にも反対の態度を明らかにしている。一方、円高問題では差益還元の項を新設し、中小企業対策としては、円高にともなう特別貸付制度の拡大など緊急金融対策を盛り込んでいる。福祉政策では国民年金の基礎年金に上乗せする〃二階建て年金〃として新地域年金制度(国民年金基金)の創設を提唱し、国鉄改革については、長期債務問題や離職者再雇用などの対策を提示し、また、教育改革についても、条件整備を前提に学校五日制導入などを打ち出した。さらに、農業政策では「食管制度の在り方を検討する」とし、科学技術振興では「老化研究の総合的な体制整備」を新たに加えている。なお、基本政策(案)の全文は『公明新聞』八六年一〇月二〇〜二七日付に連載されている。

二一世紀トータルプラン

 八五年五月九日、竹入委員長は党総合政策委員会(委員長・正木政審会長)がまとめた「二一世紀トータルプラン」の中間報告を発表した。これは七六年に発表した「福祉社会トータルプラン」の考え方をうけつぎながら、福祉だけでなく経済や教育など政策全般についての独自の施策を打ち出したもので、二一世紀までの社会変動を織りこんだうえで七つの改革案を提示し、日本の社会と生活の将来像とその実現の具体的プランを示している。同時に、政府の財政再建計画は破たんしていると指摘し、三年間を目途に五%成長を軌道にのせ、国際協調・内需主導型経済への転換を求めている。「トータルプラン」の提示した七大改革案は、(1)住宅・住環境の整備、(2)社会保障制度の改革、(3)就業システムの改革、(4)教育改革の推進、(5)国土・環境の改革、(6)経済社会の国際化への積極的対応、(7)行政システムの改革の七つ。

国鉄改革で五項目修正要求

 国会審議が大詰めを迎えた一〇月二二日、公明党は国鉄改革法案にたいする修正要求項目を発表し、衆院国鉄改革特別委理事会に提出した。修正要求は、(1)民営に力点をおいた分割、(2)国鉄の五分割、(3)民営・分割スタート以降、五年間にわたる国会報告、(4)売却用地の有効かつ適正な利用を図る「用地利用計画委員会」の設置、(5)安全確保および災害防止への特別の配慮と資金確保、の五項目。このうち、五分割案は、政府案の東海会社を西日本会社に含めて本州を東日本と西日本の二分割とする点で、政府案の六分割案と異なっている。

日本労働年鑑 第57集 1987年版
発行 1987年6月25日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2001年8月1日公開開始


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