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日本労働年鑑 第56集 1986年版
The Labour Year Book of Japan 1986

第二部 労働運動

XI 労働組合と平和・社会運動


5 その他の運動

全斗煥来日反対運動

 八四年九月六〜八日の全斗煥韓国大統領の日本公式訪問にたいし、総評・社会党は八月三〇日、藤波官房長官に「朝鮮半島の緊張緩和に逆行するもの」として「招請取り止め」の申し入れをおこなった。さらに、九月四日、社会党・総評・護憲連合などの共催で、「全斗煥大統領の来日に反対する中央集会」を日比谷野外音楽堂で開催し、七〇〇〇人が参加した。

 一方、統一労組懇・日朝協会など四一団体で結成された実行委員会が主催する「全斗煥の来日に反対する集会」は、同日千代田区公会堂において一五〇〇人の参加で開催された。九月八日には全学連・都学連が主催する学生集会が東大教養学部で開かれ二五〇人が参加している。

 このほか、九月二日には「全斗煥来日に反対する日韓連帯会議」主催の集会が港区芝公園で三五〇〇人の参加で開かれたのをはじめ、朝鮮総連(八・三〇)、韓国民主回復統一促進会議・在日韓国青年同盟・同学生同盟(九・一)、朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会(九・一)、朝鮮の自主的平和的統一支持日本委員会(九・三)などの抗議集会がおこなわれた。

 同盟は、八月二七日「来日を心から歓迎する」との書記長談話を発表している。

池子弾薬庫跡地問題と逗子市長リコール運動と選挙

 一九八二年防衛施設庁が、神奈川県逗子市の米軍池子弾薬庫跡地に米軍住宅一三〇〇戸を建設することを一方的に通告して以来、同市では市あげての反対運動が展開されてきた。だが、八四年三月、当時の三島虎好市長が従来の態度を一転して建設計画のうけ入れを表明、六月には「残された用地を自然公園とする」など三三項目を前提条件に政府との交渉に入った。

 このため、米軍住宅建設に反対する住民組織「池子の自然と子供を守る会」は、七月八日、「逗子市長リコール宣言」を発表し、八月一四日から成立に必要な有権者の三分のー、約一万四四〇〇人の署名集めに入った。逗葉地区労や社会党は三島市長を支持していたが、「守る会」の働きかけで推薦を取り消し「リコール」運動支持にまわり、県評や共産党も支持を表明する一方、同市在住の渡辺保男国際基督教大学長ら七九人がリコールを支持する文化人アピールを発表した。一ヵ月間に有権者の四三%にあたる一万八六一二人の署名が集められたため三島市長は一〇月六日、解職請求暑名数の確定を待たずに辞意を表明し、市長選挙に再出馬した。一一月一一日投票の市長選では、「リコール運動」の勢いに乗った富野暉一郎氏が、一万票余の僅差で現職を敗り当選した。その後八五年三月一六日には、弾薬庫周辺の住民八人が国を相手どり、弾薬庫敷地内にある土地の所有権と共同持ち分権の確認・明け渡しを求める訴訟を横浜地裁に提起した。

東京・中野区の教育委員準公選をめぐる運動

 全国で唯一の教育委員準公選の制度をもつ東京・中野区で、任期切れを迎えた三人の教育委員を補充するための住民投票が、八五年二月一三日から二五日までおこなわれた。発足時には同制度を支持した自民党は、従来の態度を一変させ、民社党もまた同様の態度を表明した。ことに、自民党は「投票ボイコット」を呼びかけるビラを全戸配布したりするなどかつてない運動を展開した。これにたいして一三日の、青山良道中野区長抗議声明発表、青島幸男参議院議員ら「教育委員候補者選び区民投票を成功させる中野区在住の学者・文化人」一〇〇人連名の自民党ビラ批判アピール発表、一五日の「第二回教育委員候補者選びの区民投票を成功させる中野区民連絡会」(会長松原昭早大教授)」の宣伝活動などがくり広げられた。さらに、候補者の一人、黒田洋一氏と支援団体「草の根共育委員会」のメンバー一六人が、中山正暉自民党国民運動本部長ら自民党三議員を偽計業務妨害容疑で東京地検に告発するなどの動きもあった。また、二月二〇日には、星野安三郎立正大教授ら約一〇〇人の教育学者、法学者が「中野区教育委員準公選の第二回区民投票を支持する声明」を発表するなど、運動は全国的にも広がった。

 投票率は二七・三七%で前回を一五%下回ったが、青山中野区長は「今後もつづけていくことになるだろう」と評価。なお、区民投票の上位一名は三月七日に正式任命され、残りの上位二名は三月二六日区議会本会議で、共産、社会、新政クラブ、公明各党の賛成で承認され、二八日任命された。

指紋押捺制度廃止・外国人登録法改正を求める運動

 八三年七月に、金明観京都精華短大非常勤講師が指紋押捺を拒否し外国人登録法違反容疑で逮捕されて以来、指紋押捺や外登法への関心が高まってきた。八四年一〇月一二日、総評・日朝国民会議などは「指紋押捺制度廃止!外国人登録法を改正させよう!集会」を開催、また外登法改正を求めるー〇〇万人国会請願運動にもとりくんできた。

 八五年七月の外国人登録の大量切り替え期を控えて、とくに在日韓国・朝鮮人のあいだでいっせい拒否で臨もうとの動きにたいして法務省は、指紋押捺拒否者への制裁措置や告発の徹底などを求めた通達を出し、五月八日には川崎で、六月一二日には高槻で拒否者が自治体の告発を待たずに逮捕されるなどの事態もおこった。

 こうしたなかで、四月二四日、社会党、総評、日朝国民会議など一〇団体で構成する「外国人登録法の改正を求める中央集会」実行委員会が主催する集会が、東京・日本教育会館において七〇〇人の参加で開かれた。また、五月七日から九日まで、日韓両国のキリスト教者が共同して「人権と指紋押捺制度シンポジウム」を開き、声明を発表した。日韓条約調印日にあたる六月二二日には、在日韓国人グループ主催の「指紋押捺大量拒否実現集会」が開かれる(四五〇人)などしている。

北方領土返還要求運動

 同盟は、八四年一〇月九日、北海道根室市で「'84同盟『返せ北方領土』根室セミナー」を、また一〇日には同地で「第一四回同盟北方領土返還要求全国納沙布集会」を開催した。さらに、「北方領土の日」の八五年二月七日には、東京・日本青年館において、同盟などが加盟している北方領土返還要求運動連絡協議会(北連協)、総務庁、全国知事会など地方六団体で構成する実行委員会主催で「北方領土返還要求全国大会」が開催され、一三〇〇人が参加した。

「国家機密法案」に反対する運動

 八五年四月、自民党が「国家機密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案(試案)」を国会上程する動きを強めたのにたいし、四月二三日、国家機密法阻止各界懇談会、憲法会議、自由法曹団など五九団体八四人が参加して「国家機密法案に反対する緊急各界代表者会議」が開催された。その後、四月二八日にはアムネスティ・インターナショナル日本支部、五月二日には自由人権協会(清水英夫代表理事)が反対の意見書を発表、また各地の弁護士会でも反対表明が相ついだ。京都市議会が六月五日に撤回決議を採択したのを皮切りに地方自治体でも反対決議をするところが増えてきた。

 六月一一日には、社会党、総評、護憲連合、中立労連、新産別が主催する「『スパイ防止法』粉砕緊急各界代表者会議」が開かれた。また同日、共産党、統一労組懇など六七団体一〇〇人が参加して「国家機密法阻止各界代表者会議」もおこなわれた。

日本労働年鑑 第56集 1986年版
発行 1985年12月5日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2001年8月15日公開開始


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