OISR.ORG へようこそ 法政大学大原社会問題研究所

日本労働年鑑 第55集 1985年版
The Labour Year Book of Japan 1985

第二部 労働運動

XI 労働組合と平和・社会運動


1 第五五回メーデー

概況

 「働くものの団結で、安心して暮らせる平和な日本をつくろう」のメイン・スローガンのもと、第五五回メーデーは、中央メーデー会場(代々木公園)の約三〇万人(主催者側発表、以下同じ)をはじめ、全国一二二五ヵ所に合計約三八八万三一五〇人が参加してひらかれた。統一集会がひらかれたのは、東京をはじめ北海道、福島、群馬、栃木、埼玉、神奈川、富山、石川、福井、岐阜、愛知、三重、滋賀、奈良、和歌山、兵庫、広島、香川、高知、大分の二一都道県で、これまで最高だった八二年の一九都県に新たに北海道、岐阜、香川の三道県が加わり、史上最多となった。メーデー中央集会は東京・渋谷の代々木公園で午前九時に開会。議長団を代表して黒川総評議長は、メーデー式典の変更にふれ、「労働者の団結を示すという本質はいささかもかわらない」と強調した。また、メーデーの起源に言及しつつ「この日を国民の祝日として勝ち取り、中曽根首相のいう〃花と緑の日〃を五月二日にしてもらって、文字通り大型連休を実現しよう」と労働時間短縮運動の強化を訴えた。つぎに、主催団体を代表して竪山利文中立労連議長があいさつし、一九年ぶりのメイン・スローガンの変更を、「働く者こそが新しい社会や価値を創造する主体だという積極的な意思表示であり、その責任と役割を自覚した労働運動の強化が必要だ」と説明した。つづいて「メーデー宣言」の朗読、メーデーを国民の祝日にしようという「特別決議」の採択がおこなわれ、実行委員会の簡素化方針に沿って、例年一時間半くらいかかるところを約五〇分で終了。参加者は六コースに分かれてデモ行進に移った。

メーデー行事の変更

 第五五回メーデーの第一回実行委員会は八三年九月一九日に発足したが、メーデーの準備と並行して、八四年三月二九日、常任実行委員会のなかに「メーデーのあり方検討委員会」を設一し、「中央メーデー行事の近代化」にむけての検討をはじめた。その結果、つぎの諸点において従来の「あり方」が変更された。(1)一九六五年の第三六回メーデー以来つづいたメイン・スローガン「働くものの団結で生活と権利、平和を守ろう」が、労組の既得権擁護のイメージが強く、もっと前向きの姿勢を示したいとの理由で、一九年ぶりに「働くものの団結で、安心して暮らせる平和な日本をつくろう」に変えられた。(2)従来の「要求と行動目標」二一〜二二項目だったものを、政治色の薄い八項目に整理し、サブスローガンとした。(3)中央大会の前の四月二七日に祝賀式典を開いて、メーデー始まって以来初めて労働大臣と都知事を招くとともに、政党代表のあいさつはこの場でうけ、スローガン、宣言、決議もここで構成団体代表が署名して発表した。(4)中央大会での政党代表のあいさつが長すぎるというので、来賓祝辞は祝賀式典で前もって受け、中央大会では紹介のみにとどめてあいさつを省略、「メーデーのしおり」一〇万枚に野党のメッセージを印刷して参加者に配布した(政党代表のあいさつ抜きはメーデー史上初めて)。(5)これまでの主催七団体に全民労協が初めて加わり、八団体となった。

 このようなメーデーのあり方の変更にたいしては、第二回全体実行委員会で一部から反対が表明され、その後も社会党、共産党や都教組などいくつかの労組から反対や再検討を求める意見が実行委員会によせられた。

【第五五回メーデー宣言(一部省略)】

 働く者の消費購買力を増大し、わが国経済を内需中心の安定成長の軌道にのせることは、今日もっとも緊急な国民的課題である。にもかかわらず、政府・経営者はいたずらに「ガマンの哲学」をふりかざし、健保改悪、大衆増税など働く者に負担と犠牲を強要し、国民的課題にこたえようとしていない。

 われわれは、実効ある男女雇用平等法制定・雇用情勢の改善と生活向上をはかるため、政策闘争を通じて、その目標を実現し、労働組合としての自主的活動を強化する闘いを、精力的に展開していくものである。

 さらに、われわれは、国際労働運動を通じて世界平和の実現を強力に推し進める。核・軍備をもついかなる国家も、核・軍拡競争をいかに正当化しようとしても、このことが国際緊張を高め、世界平和実現の努力を放棄している事実は明らかである。世界で、戦争による最初の原爆被災国民として「非核三原則」を堅持するわれわれは、断固として軍備拡大競争に反対し、核兵器完全禁止の運動を展開する。

 今日、労働運動の社会的責任は益々重大である。職場・地域の具体的要求を解決するため、統一と団結は急務である。われわれは、憲法を擁護し、中曽根内閣と自民党の反動的諸攻撃に対しては、総力をあげて対決するものである。

 第五五回メーデーにあたり、われわれは、一致したスローガンを基本に連帯と団結を強め、働く者の生活を守り、平和な日本を築くために、たゆみなく闘い続けることを内外に宣言する。

  一九八四年五月一日
              第五五回中央メーデー大会
【サブ・スローガン】
一、不公平税制の是正、大衆増税反対、大型間接税の導入反対。
二、内需拡大、生活の安定向上、実質賃金の引き上げ、最低賃金制の確立、人事院勧告・仲裁裁定の即時完全実施。
三、完全雇用の実現、失業対策の強化、定年延長と中高年労働者の雇用確保、職業訓練制度の充実、障害者の雇用拡大。先端技術、M・E等に対応する安全と雇用対策の促進。
四、労働時間の短縮、週休二日制の実現、有給休暇の完全取得。
五、働く婦人の地位向上、雇用における男女平等の実現、優生保護法改悪反対、婦人差別撤廃条約の批准。
六、健保改悪反対、年金制度の抜本改善、高齢者福祉対策の充実、社会保障制度の確立。
七、平和憲法擁護、核兵器の完全禁止、全面軍縮の早期実現、非核三原則の堅持、被爆者援護法の制定。
八、労働基本権確立、労働戦線統一の拡大強化、未組織労働者との提携強化、ILO条約の早期批准、国際労働組織との連帯。
  一九八四年五月一日
              第五五回中央メーデー大会
【都教組の申入れ書(一部省略)】
 三月一五日のメーデー常任実行委員会では、メーデーの歴史と伝統を根本的に変質させるメーデーのあり方、実施要領が決定されました。
 都教組は、輝しいメーデーの歴史と伝統を守るため、三月一五日の「決定」を再検討されるよう、ここに申入れるものです。
 記
一、スローガンから「生活と権利」を削除しないこと。
一、労働者・国民の利益を代表する政党の挨拶並びに実行委員会参加を保障すること。
一、総評内部に多くの異論のある「全民労協」を常任実行委メンバーに加えないこと。
一、メーデー祝賀式典に労働者・国民を苦しめている労働大臣・都知事・新自由クラブ代表などを招待しないこと。
               一九八四年三月二二日
東京地評議長殿
総評議長殿
              東京都教職員組合
               執行委員長 増田孝雄

日本労働年鑑 第55集 1985年版
発行 1984年12月15日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2001年8月21日公開開始


■←前のページ 日本労働年鑑 1985年版(第55集)【目次】 次のページ→■
日本労働年鑑【総合案内】

法政大学大原社会問題研究所(http://oisr.org)