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日本労働年鑑 第55集 1985年版
The Labour Year Book of Japan 1985

第二部 労働運動

VI 権利闘争


4 不当労働行為事件の概況と審査促進を求めるたたかい

不当労働行為事件の概況

 昭和五八年に係属した初審の不当労働行為事件数は、新規申立てが一三三三件、前年繰越しが一七四六件、合計三〇七九件である。うち八〇四件が絡結し、二二七五件が次年に繰り越された。

 昭和五七年の新規申立てが五七六件であるのに比べると昭和五八年は新規申立て件数が大幅に増加しているが、これは地方公務員関係事件の申立てが八五〇件(うち山形七九三件)によるものであり、民間企業関係事件についてみると、五八年の新規申立ては四八三件で五七年の五二四件より四一件減少している。

 新規申立て事件のうち複数組合併存下の不当労働行為事件の占める割合が高いのが最近の傾向であるが、昭和五八年の場合新規申立て件数四八三件中、同一企業内に二以上の組合が併存する複数組合併存事件は一七七件(三七%)となっている。

 初審事件の終結件数のうち命令・決定による終結件数は一一六件であり、全部救済五四件、一部救済四九件、棄却一三件である。

 労委別に救済状況をみると、東京都労委命令一三件中棄却命令六件という救済率の低さが目立っている。

審査の遅延
 初審の命令・決定事件の平均処理日数をみると、平均八八五日と前年の六八一日をかなり上回る結果となっており、審査の長期化・遅延が目立っている。
 再審査についてみると、昭和五八年に保有した再審査事件数は、前年からの繰越しが三六件、新規申立てが六六件の計三〇二件である。

 終結事件の平均処理日数をみると、命令・決定事件が八七九日、取下げ・和解事件が一三四六日となっており、総平均処理日数は一二一五日と異常な長期化傾向を示しており、再審事件の審査遅延は深刻な様相をおびている。

 このような不当労働行為事件の審査の遅延にたいし、労働委員会に係争中の組合から審査の促進・改善を求める声が高まっている。

総評等の審査促進要請

 総評、東京地評および中労委で係争中の争議組合は、八三年七月七日東京地評会館における「中労委関連争議組合交流会」にひきつづいて、七月二〇日、各事件の早期公正命令を要求して、中労委にたいし、八七団体、三八四名が参加して審問・命令促進の要請行動をおこない、総評議長槇枝元文、東京地評議長佐野城次名で中労委平田冨太郎会長宛に要請書を提出した。

【要請書の内容】
 現在、使用者による不当労働行為は相変らず激発しており、一向に後をたたない。

 「組合づくりをした」「労働組合活動をした」あるいは「労働組合員である」というただそれだけの理由で、差別されたり解雇されたり、はなはだしきに至っては「書泉」に見られるように正真正銘の暴力団を労務担当として雇いいれ、組合員を物理的に職場から排除してしまっていることも平然と行なわれている。

 労働者の団結する権利、闘う権利を保障した憲法・労働組合法の精神は利潤第一を考える使用者の前に無残にも蹂躙され、多数の労働者が泣寝入りさせられ法の保護を受けることなく権利侵害をほしいままにされている。

 貴委員会は、このような使用者の法違反を取締まり労働者を保護・救済するために設けられた制度であり、使用者の不当な攻撃を止めさせ、攻撃以前の状態に速やかに回復させることを、その主要な任務にしていることは論を待たない。

 しかしながら、貴委員会がその制度の精神を充分に生かしきっていないことに、我々は重大な疑念を感じざるをえない。すなわち、貴委員会に再審査が申立てられてから結審に至るまで、さらには、結審してから命令交付に至るまで、異常に長期の年月を費し不当労働行為が継続し、地労委に申立てられてからの年月を通算すれば五年以上かかるのは普通になっており、なかには一〇年、一五年という事件も少なくないのである。

 この間、労働者は不当労働行為が行なわれたままの状態が継続し、なんらの防御手段も購じられないのである。そのため、日常の攻撃にたえかねて組合員が辞めてしまったり組合自体が消滅してしまった例も多い。労働者と労働組合がいなくなってしまってから救済命令を受けても何の意味もないのである。

 我々は、貴委員会が最近の裁判所の動向や、政府の財政政策の為の人員不足によって慎重にならざるをえない事情も理解しないではないが、貴委員会はあくまでも労働組合法にもとづいて裁判所とは独立して判断を下さなければならない立場にある。

 とくに、事実問題でほとんど労使間に争いのない、言い換えれば貴委員会の判断のみが問われている、例えば『日本鋼管』の解雇事件ですら結審してから一年半以上も経過していまだに命令の交付がされていない現状に強い不満をおぼえるものである。

 貴委員会が不当労働行為から労働者を救済する本来の役割を果すため、具体的に次の事項を実施するよう要請するものである。
     記
1 現在、結審し命令を待っている事件について、速やかに公正な命令を交付すること。

2 調査の段階で事実関係について労使の間で争いのないことが明らかになった場合、または争いがあっても事実関係が客観的に明白な場合は、審問を取止め書証審査のみによって命令を交付すること。

3 結審時に命令交付の時期を明確に指定すること。

日本労働年鑑 第55集 1985年版
発行 1984年12月15日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2001年8月21日公開開始


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