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日本労働年鑑 第54集 1984年版
The Labour Year Book of Japan 1984

第二部 労働運動

VII 公害反対闘争


9 原発反対闘争

原発反対闘争の位置づけ

 総評・原水禁国民会議、社会党の中央三団体と原発立地県評代表者は、一九八二年一二月二四日、合同会議を開催し、原発反対闘争の位置づけや当面の方針について、つぎのとおり決定した。

【原発反対闘争の位置づけ】
 (1) 政府自民党は、原子力の平和利用として、原子力発電所の増設、原子力船、高速増殖炉「もんじゅ」、第二再処理工場の設置などの建設強行の策をとっている。

 (2) 世界的運動に発展した反核、軍縮、平和運動の高まりの中で「核」と「人類」の共存はあり得ない。とくに日本は、核兵器使用による世界で初めての被爆国である。原子力発電所は、原子爆弾の生産源であり、非核三原則に反し、将来日本の核武装化を促進し、極めて危険な軍拡路線に通ずる。

 (3) 米連邦最高裁は、スリーマイル・アイランド原発事故以来、一九七八年以降、原発の発注を一基も認めていない。一方、日本政府は、敦賀事故以来、社会問題に発展した事故の原因、社会的安全保障責任(放射能汚染、周辺環境汚染、健康被害、原発労働者、被爆者、廃棄物処理)を未解決のままにしている。

 (4) 政府は、石油危機の代替エネルギー政策を打出しているが、まったく虚構であり、レーガン大統領の「原爆製造施設」原発推進の政策である。同時に「電力資本」の設備投資、電力開発費等巨大な開発は、電力料金の値上げになる。

 (5) 原発反対闘争は、新潟県柏崎(一九八〇年一二月)、巻(八一年八月)、共和・泊(八一年一二月)、敦賀高速増殖炉もんじゅ(八二年七月),玄海(八二年七月)、保方(八二年一一月)などで闘われたが、公開ヒアリングの非民主的、まやかし、不当性を明らかにし、地元住民、周辺住民をはじめとする反対運動を社会問題に発展させた。

 (6) 科学技術庁、原子力安全委員会は、原発推進政策を強行する手段として反対闘争のしめ出しを意図的に行ない、第二次公開ヒアリング方式を「文書・聴取併用方式」に改めることを一方的に通達した。

平戸第二核燃料再処理工場設置反対闘争

 日本原燃サービス株式会社は、使用済み核燃料を再処理する我が国初の商業用工場の立地選定をつづけてきた。そして、有力候補地として長崎県平戸に焦点をあて、県議会を動かし、地元の漁協・農協役員、商工会議所、地方議員などに働きかけ、東海村再処理工場の見学をさせるなど、活発な動きを示し、九州電力も誘致に積極的であった。

 長崎県評、県原水禁は、こうした動きにたいし、被爆者手帳友の会とも連帯して、一九八二年九月二二日、「反核・核燃料再処理工場誘致阻止平戸現地闘争本部」を設置、さらに一〇月五日には県共闘会議を結成し、講演会などの教宣活動、パンフ・ビラの配布などの活動を展開した。そして九月二七日にひらいた講演会では、人口三万人の平戸で、一〇〇〇人が集まるなど、平戸全島に再処理工場反対の機運が急速に盛り上がった。

その結果、一一月一一日には、ついに平戸市長が「将来にわたって誘致には反対する」と公式に全面拒否の態度を表明するにいたった。これで、工場設置計画は白紙撤回となった。

伊方原発増設公開ヒアリング阻止闘争

 四国の県内で唯一の原発設置地域である愛媛県西宇和郡伊方町には、すでに一号機、二号機があり、それについては地元住民が裁判で係争中である。しかし、その決着をみないうちに、四国電力の要請に応じ、三号機増設の承認がなされ、一九八二年一一月一八日に、第一次公開ヒアリングが伊方町の町見体育館でひらかれた。

 これにたいし、地元反対住民、愛媛地評などよる「公開ヒアリング阻止闘争共闘会議」は、中国四国ブロックを中心に、約二〇〇〇人を動員し、前夜から徹夜で公開ヒアリング阻止闘争をおこなった。当日の早朝からは、ヒアリング会場まで波状デモを繰りかえすとともに監視体制をしいた。

 一方、政府、四国電力の要請を受けて出動した機動隊は、四国初の二〇〇〇人規模の大型警備陣で厳戒体制を敷き、デモ行進中の男性一人を公務執行妨害罪で逮捕した。

 ヒアリングでは、資源エネルギー庁や四国通産局などの役人を議長団にして、地元の伊方町や近隣市町から選ばれた陳述人が原発の安全性と安全対策などについて型どおりの質問をして終わった。

【参考資料】(1)「昭和五八年版環境白書」、(2)「第六九回総評定期大会各局報告書」、(3)「公害弁連第一二回総会議案書」、(4)「公害弁連ニュース」、(5)「環境週間・第八回全国公害被害者総行動デー報告書」、(6)「全水道第三五回定期大会議案書・報告資料集」、(7)「きれいな水といのちを守る合成洗剤追放全国連絡会・森と土と水を守ろう」、(8)「日弁連・水俣病害態調査報告書――水俣よみがえれ」

日本労働年鑑 第54集 1984年版
発行 1983年11月30日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 ●
2001年8月28日公開開始


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