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日本労働年鑑 第53集 1983年版
The Labour Year Book of Japan 1983

第一部 労働者状態

IV 合理化の現状と労働災害・職業病


2 主要産業における「合理化」の実態

公務員

 公務員に関しては、八二年七月三〇日に出された臨時行政調査会の第三次答申(基本答申)において、そのあり方、範囲、種類の再検討等が盛りこまれ、「合理化」としての役割を担おうとしている。以下、答申第三章、公務員に関する改革方策の一部をかかげておく。

【臨調・第三次答申、第三章・公務員に関する改革方策より】
1 公務員の在り方〔(1)〜(3)、(6)、(7)略〕

(4)各級管理者が特に留意すべきことは、人事管理の重要性である。すなわち、それぞれの職場において、常に職員の士気高揚に努めるとともに、信賞必罰を中心とする成績本位の人事運用を実現しなくてはならない。

(5)健全な労使関係の確立は、円滑な行政運営に不可欠である。このため、職員の処遇、福利厚生等について、職員又は職員団体との積極的な話合い等による労使相互の意思疎通が図られるべきである。

2 給与の在り方
(1)基本的考え方
 ア 労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度、公共企業体等労働委員会(以下「公労委」という。)仲裁制度等は、維持され、尊重されるべきである。
 イ 公務員の給与は、民間賃金準拠を基礎とするのが適当である。
 ウ 公務員の給与は、人事院勧告等を受けた政府及び国会が、国政全般との関連において、財政事情を考慮し、責任をもって決定すべきものである。

 エ 人事院勧告等の実施に伴う総経費の膨張は、新規採用の抑制、事務・事業の整理、民間委託、定員削減の励行、定員増加をもたらす施策の抑制、人事管理の適正化等行政の合理化、能率化の積極的推進等により、極力、抑制すべきである。((2)以下、略)

3 中央人事行政機関の機能の充実(略)
  ――人事局を中心に――
4 公務員の範囲、種類等の検討
(1)公務員の範囲、種類等
 公務員の範囲、種類及び職務の態様、責任の度合いに応じての服務規制、身分保障等の在り方については、今後当調査会において引き続き検討する。
(2)事務・事業の整理、民間委託の推進等

 ア 国家公務員の中には、例えば技能・労務職員のように、民間と同様の業務を行う者が含まれているが、特別の必要がある場合を除き、当該業務について事務・事業の整理、民間委託等を積極的に推進する。

 イ 上記の業務について、整理・民間委託を実施する時期、従事していた職員の扱い等についての計画を作成する。
 ウ 地方公共団体においても、国に準じた措置を講ずべきであり、国は地方公共団体がこれらを円滑に実施できるよう配慮する。

5 その他の人事管理の改善(略)

国鉄

 国鉄「合理化」に関しては、臨調第三次答申がもっとも大がかりな内容を盛りこんで登場している。したがって、その実施をめぐって、今後、重大問題化しよう。ここでは答申の第五章・公社、特殊法人等に関する改革方策のうち、国鉄に関する部分をかかげておこう。

【臨調・第三次答申、第五章・公社、特殊法人等に関する改革方策より】
(2) 日本国有鉄道
ア 基本考え方〔(ア)〜(オ)省略〕
 (カ) 新しい仕組みについての当調査会の結論は、現在の国鉄を分割し、これを民営化することである。その理由は、次のとおりである。(略)
 (キ) 分割・民営化に当たっては、分割後の各会社が経営努力をし、創意工夫をすれば、採算性を回復し、自立できるという目途と自信をもち得るよう配慮する必要がある。
 そのため、長期債務、国鉄共済年金制度等の諸問題を、新形態移行に際し解決しておく必要がある。

 (ク) 一一〇年の歴史をもつ国鉄の経営形態を抜本的に変更して、その再生を目指す道は容易ではない。解決しなければならない問題が余りにも多いからである。したがって、政府全体としてこの問題に取り組むための推進機関を設け、明確な手順の下でこれを進めるべきであると考える。

イ 新形態移行までの間緊急にとるべき措置

 (ア) 職場規律の確立を図るため、職場におけるヤミ協定及び悪慣行(ヤミ休暇、休憩時間の増付与、労働実態の伴わない手当、ヤミ専従、管理者の下位職代務等)は全面的に是正し、現場協議制度は本来の趣旨にのっとった制度に改める。

 また、違法行為に対しての厳正な処分、昇給昇格管理の厳正な運用、職務専念義務の徹底等人事管理の強化を図る。
 (イ) 新規採用を原則として停止する。

 また、業務運営全般について、私鉄並みの生産性を目指すこととしそのため、作業方式、夜間勤務体制、業務の部外委託、職務分担の在り方等の抜本的な見直しを行い、実労働時間の改善を図るとともに、配置転換を促進し、各現場の要員数を徹底的に合理化する。

 (ウ) 設備投資は、安全確保のための投資を除き原則として停止する。
 なお、整備新幹線計画は、当面見合わせる。
 (エ) 貨物営業は、鉄道特性を発揮できる拠点間直行輸送を中心とし、業務の在り方を抜本的に再検討し、固有経費における収支の均衡を図る。

 (オ) 地方交通線の整理を促進するため、遅延している特定地方交通線対策協議会の早期開催を図るとともに、残余の対象路線についても昭和六〇年度まで結果が得られるよう早急に選定を行う。

 なお、対策が進まない場合、例えば特定地方交通線対策協議会開始日の義務付け、協議期間の短縮等の改革を行う。
 また、上記以外の特定地方交通線を含む地方交通線についても、私鉄への譲渡、第三セクター化、民営化等を積極的に行う。
 (カ)分割会社との関係を配慮しつつ、自動車、工場及び病院の分離等を推進する。

 (キ)永年勤続乗車証、精勤乗車証及び家族割引乗車証を廃止する。その他職員にかかわる乗車証については、例えば通勤区間に限定するなど業務上の必要のためのみに使用されるよう改める。

 また、国鉄以外の者に対して発行されているすべての乗車証についても廃止する。
 なお、他の交通機関との間に行われている相互無料乗車を是正する。
 (ク)期末手当、業績手当等の抑制について検討する。
 (ケ)国鉄運賃については、当該地域における私鉄運賃、線区別原価等をも十分配慮して定める。また、安易な運賃改定は行わない。
 なお、文教政策、社会福祉政策等の観点からの通学定期割引等の運賃上の公共負担については、国として所要の措置を講ずる。
 (コ)兼職議員については、今後、認めないこととする。
 (サ)資産処分の一層の促進を図るとともに、関連事業についても営業料金等の見直しを行う等積極的な増収に努める。
 ウ 経営形態の変更
 (ア)国鉄の事業を分割し、各分割体を、基本的には民営化する。
 分割は、地域分割を基本とし、各分割地域内においても機能分離及び地方交通線分割を推進する。
 @)国鉄を7ブロック程度に分割する。

 分割は、以下の基準を参考とし、「オ 改革の推進体制及び手順」の項で述べる国鉄再建監理委員会(以下「監理委員会」という。)が次の諸条件を勘案の上、最適な分割案を決定する。

 (1)分割体は、独立の経営体にふさわしい業務の内容を有すること
 (2)地域経済の単位に対応したものであること
 (3)経営の適正な管理限界内の規模であること

 (4)今後の鉄道需要が都市間旅客輸送、大都市圏旅客輸送、大量定型貨物輸送に更に特化していくものと見込まれることから、これらの需要の各分割体への配分が適切であること

 A)各分割地域内においては、自動車、船舶、工場、病院等について極力分離等を図る。
 また、特定地方交通線を含め地方交通線の私鉄への譲渡、第三セクター化、民営化等を図る。
 B)分割は、五年以内に速やかに実施する。

 (イ)各分割体は、当初、国鉄が現物出資する特殊会社(以下「分割会社」という。)とし、地方公共団体及び民間の出資をできるだけ受ける。将来、分割会社の採算性の程度に応じ、国鉄は逐次持株を公開し、民営化を図る。

 (ウ)分割会社への移行に伴う主要な措置は、以下のとおりとする。
 i)分割会社は、私鉄と同様に幅広く事業活動を行うこととし、政府規制も私鉄に対する規制の程度とする。
 A)監理委員会の定める再建計画により、引き続き新規採用を抑制し、要員の合理化等を行う。
 B)分割の当初、助成が必要な場合は、分割会社ごとに定められる再建計画に基づいて行うものとし、かつ、終期を付す。
 C)労働関係は、労働三法による。
エ 新形態移行に際して解決すべき諸問題(略)
オ 改革の推進体制及び手順
 (ア)推進体制

 @)国鉄に係る事業の分割・民営化による再建を図るため、内閣に内閣総理大臣を議長とする「国鉄再建関係閣僚会議」(仮称)を設置するとともに、総理府に「国鉄再建監理委員会」(仮称)を設置し、強力な実行推進体制を整備する。

 (監理委員会の任務及び権限)
 (1) 分割・民営化のための再建基本計画の企画、審議及び決定
 (2) 基本計画に基づき国鉄の作成する具体的再建計画の審査及び決定
 (3) 国鉄の長期債務、年金等新形態移行のために必要な施策の調整及び決定
 (4) 「新形態移行までの間緊急に措置すべき事項」の執行に関連する国鉄の業務の管理・運営に関する重要事項の同意

監理委員会は、上記の任務を行うに当たり、必要に応じ、関係行政機関等に対し報告、資料の提出、説明等を求めるとともに、国鉄に対し実地に調査し、経営改善を求めることができる。

 (決定の尊重義務)
 内閣総理大臣は、監理委員会の決定を尊重しなければならない。
 (監理委員会の組織)
 (1) 監理委員会は、委員若干名をもって組織する。
 (2) 委員は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する。
 (3) 監理委員会の事務を処理させるため、事務局を置く。
 (4) 監理委員会は、国鉄が新形態への移行を完了したとき、廃止されるものとする。
 A) 国鉄に係る事業の分割・民営化による再建を円滑に実施するため、国鉄の執行体制を強化する。
 (イ) 手順
 @) 政府は本答申を受け、速やかに次の措置を講ずる。
 (1) 国鉄に係る事業再建のための緊急事態宣言
  国家的急務である国鉄再建に当たり、当事者、関係者の意識を喚起し、広く国民全体の理解を得る。
 (2) 新形態移行までの間緊急に措置すべき事項の決定
 (3) 答申に係る「国鉄に係る事業の分割・民営化による再建の基本方向」の決定
 (4)「国鉄再建関係閣僚会議」及び「国鉄再建監理委員会」の設置
 A) 国鉄は、速やかに、「新形態移行までの間緊急に措置すべき事項」を織り込み、現行経営改善計画を改正する。
 B) 政府は、新形態移行のための計画を策定するとともに、所要の立法措置及び予算措置を講じ、国鉄を新形態に移行させる。

日本労働年鑑 第53集 1983年版
発行 1982年11月30日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 労働旬報社
2001年9月4日公開開始


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