OISR.ORG へようこそ 法政大学大原社会問題研究所

日本労働年鑑 第28集 1956年版
The Labour Year Book of Japan 1956

第二部 労働運動

第四編 その他の社会運動


第二章 人権擁護運動

三鷹事件

 一九四九年七月一五日、三鷹駅構内で無人電車が暴走して通行人六人を轢殺した、いわゆる三鷹事件については国鉄三鷹電車区を中心に一〇名の労働者が電車てん覆致死罪容疑で起訴され、その一審裁判の公判過程で二人の労働者が偽証容疑で起訴された。五〇年八月一一日に東京地裁は竹内景助被告に無期懲役、他の一一名被告に全部無罪の判決を宣告し、共同謀議は空中楼閣である旨を明らかにしたのであるが、東京高等裁判所は五一年三月三〇日に、一審無罪の被告については一審判決をそのまま維持したが、竹内被告に対しては何らの実事審理を行うことなく、書面審理だけで検事控訴を容れ死刑の判決を下した。

 かくて事件は最高裁にもちこまれ、その後三年半にわたって最高裁は弁論を開いて弁護人の主張を直接にきこうとせず、秘密裡に審理を続けて来たが、突如として五四年一二月一四日に、判決宣告を同月二二日に行う旨を通知し、ここに三鷹事件は再び大きく世間の耳目をあつめることになった。

 この通知に接した弁護団、自由法曹団、国民救援会、その他の民主団体は、一せいに宣告期日の取消と弁論開始を要求して立上り、抗議、要請を行う民主団体は最高裁につめかけた。弁護団もまた各裁判官を歴訪して要求し、一二月二二日を迎えたのであるが、開廷冒頭、弁護団は宣告期日の取消と弁論をひらくことを請求して最高裁に迫ったところ、全裁判官は長時間の合議の末、遂に当日の裁判宣告を取止め、追って期日を指定する旨を宣して閉廷した。問題は五五年にもちこされたわけである。判決延期は救援にたちあがった人たちを勇気づけ、闘いに確信をもたせる結果となった。

日本労働年鑑 第28集 1956年版
発行 1955年11月20日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 時事通信社
2002年3月5日公開開始


■←前のページ 日本労働年鑑 1956年版(第28集)【目次】 次のページ→■
日本労働年鑑【総合案内】

法政大学大原社会問題研究所(http://oisr.org)