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日本労働年鑑 第28集 1956年版
The Labour Year Book of Japan 1956

第二部 労働運動

第三編 農民運動


第六章 日農両派全国大会と運動方針

第二節 日農統一派第八回大会
 (五)米価供米の闘い

 吉田政府は既に二十九年度生産者米価を低く抑え、供米の反別割当制または予約出荷制のギマンによって一層重い供出を農民におしつけ、しかも消費者米価の値上げのたくらみを進めている。

 (イ)生産費をつぐなう米価、自主供出、消費者価格引上げ反対の三点を実質上闘いとることを最低の目標とする。さらに貧農の保有米絶対確保、米価算定中の雇傭労賃および自家労賃は都市労働者なみとすることを付加して闘う。

 (ロ)早場米奨励金をかちとることは実質的には地域によって多くかかっている生産必要費を獲得することであるから、現在の基本米価獲得の闘いとともに全農民の統一行動によって闘うこと。

 (ハ)中央では総評はじめ各単産、府県において県評と各労組との間に前年より以上に強固にして巾の広い食糧対策連絡会議をもち、低米価、低賃金をうち破るために二重米価制のための労農共闘を進める。

 (ニ)部落を土台として実行委員会を広はんに組織し、この部落実行委を主体とする町村実行委を作って闘争を有効に発展させるため日農はその中核として推進力の役割りを果すことが必要である。その際農協、農委、町市長を巻込むよう努力する。

 (六)営農資金かく得の闘い

 吉田内閣の金融引締政策は農村の金詰りをひきおこし、営農資金を著しく枯渇させ、凶作災害地の中貧農を極度に苦しめている。このなかでわれわれは、農手の返済その他農協関係の借入金の返済延期、必要なだけの農手その他の短期融資、畜産導入、機械導入その他の中期低利の政府融資のワクの大巾増額、長期低利の農地金融制度の確立、凶作災害地には特別の長期低利の融資の実施を要求して闘う。

 (七)経営技術改善の闘い
 新技術、機械を導入し経営を改善して、増収を図ることは、すべての農民の強い要望であり農業生産を高める一つである。
 (イ)酪農、新しい機械などの導入のための中期低利の政策資金の増額かく得のために努力する。とくに中貧農の協同購入、協同使用の実現に留意する。
 (ロ)ミチューリンなど農民の自主的な技術の普及を一そう促進するとともに、改良種子など、予算を多く獲得して、農民の役に立つよう規模を拡大してゆく。
 (八)農協民主化のたたかい

 農民の経済生活は農協の購買、販売、信用事業とかたくむすびついており、農協は農民の大衆的経済団体として組織されている。米日反動はこの農協を農民の収穫と支配の道具にし、低米価強権供出の下請機関にしている。しかし、農協と、農民の生活がはなれがたく結びついているから、農業と農民生活を守る闘いは農協を民主化し、敵の道具にさせず、農民に役立つものにする闘いなしにはすまされない。

 (イ)あらゆる経済的要求を農協にもちこみ、これを実行させ、農協を収奪と支配の道具とする敵政策を統一行動によってはねかえすこと。この際とくに農協を利用することが少く、かつ農協にしばりつけられている貧農層の要求を重視し、この層が積極的に統一行動に参加するようにすること。

 (ロ)農民の窮乏にもとづく農協経営の危機と、これに便乗する官僚支配の強化(再建整備、農業団体再編成によるしめつけ)にたいしては、農協役職員をふくめた統一行動で、長短期低利資金の獲得、下に厚い手数料の獲得などの闘いを組み、県連、中央へとつきあげ、農協の自主制を守る闘いを展開すること。

 そのために、あらゆる農業、農民団体、および良心的分子の結集と統一行動をはかること。
 (ハ)農協に巣くう買弁的地主勢力の不正腐敗を追及し、彼等を孤立させて追放するとともに、不正利得を完全につぐなわせる闘いをくむこと。
 (ニ)農協従業員の要求の獲得と組織化を援助すること。
 (九)仕事と生活保障の闘い

 (イ)農村労農者、貧農を中心として農村自由労働組合、雇傭人組合、職人組合その他を組織し主として市町村当局を相手として仕事と生活保護、医療保護などの社会保障のかくとくのために闘う。

 (ロ)災害復旧、土地改良などの要求、仕事よこせの要求として統一して闘いをすすめる。
 (十)住民税のたたかい

 吉田政府の緊縮予算(とくに農林予算の削減)は各種補助金の打切り、平衡交付金の削減となり、職員、吏員の給料さえ遅配する自治体が続出している。このために市町村民税、固定資産税、遊飲税の引下げ、独立税の設置による税収入の増加の負担を住民におしつけ、生活必需品、農地の差押えが強行されている。これにたいし、すでに各地では労働組合が問題をとりげ、労、農、商、市民が共闘にたっており、成功的にたたかわれている。

 (イ)郡連、支部は、税金差押え反対、納入延期闘争を土台に労働者とともにたたかいの規模をひろげ、民主的議員を動かし、税率引下げ、差押え禁止、平衡交付金増額の闘争をすすめる。

 (ロ)市町村内に労働者を中心とした広範な各階層を、住民税民主化協議会に結集してたたかう。
 (十一)軍国主義反対、反ファッショのたたかい

 暴力的土地取上げ、土地公買、強権発動、合法的諸権利の圧迫、思想調査、人権じゅうりんなどは激増している。日農その他の民主団体の運動にたいする圧迫と干渉は、いよいよ強くなっている。また農村における消防団、防犯協会などを利用し、これを足場とするボスの軍国主義、ファッショ組織の活動も活発になってきた。

 (イ)日農、在村労働者、その他の村内民主勢力、青年婦人組織と共同し、軍国主義思想の普及活動、催しなどに反対する話しあいをねばりづよくつづけ、反戦平和の統一の拡大と、宣伝活動、催しを多様に発展させる。

 (ロ)ファッショ的暴力、民主的権利の抑圧に反対して、農村労働者、貧農、二三男を中心とした自覚と統制ある自衛行動の組織をかためてゆくこと。
 (ハ)各機関団体をにぎる官僚、ボス、地主らの不正フハイをどんな小さいものでも、徹底的にバクロして大衆闘争を展開し、これを孤立させる。
 (十二)平和をまもる闘い
 ビキニ事件以来農村における反戦平和の風潮は高まっている。農村における平和運動を高めることは全日本の平和運動を強めるための重要な仕事である。
 (イ)当面の運動の目標は (1)原水爆禁止 (2)国際緊張緩和の二つであり、さらに同提案五原則にもとづくアジア集団安全保障の確立である。

 (ロ)原水爆の破壊的威力、アメリカの反共原水爆報復戦略と日本との関係、ビキニ水爆実験による日本の被害状況、放射能の灰と雨と日本の農業とくに今年の悪天候と凶作との関係、世界における平和運動の実情などについての正しい知識とともに原水爆戦争が「戦争か平和か」ではなく「平和か人類滅亡か」であることの理解を普及徹底させることに努めること。

 (ハ)宗派、政党、政派、人種のいかんにこだわらず、たえずねばり強く広はんな人々によびかけることが大切であるが特に青年団、婦人会、仏教会、学校教師、在村工場労働者および農村労働者の組織などに重点をおくとともに、そこに多くの平和活動家、平和の集会、サークルをつくり出すようにする。

 (ニ)十分な話しあいに裏づけられた署名運動を行い、それをもととして町村議会、その他の機関、団体の原水爆禁止決議を成立させ、これをさらにひろめることに努め、決議を県、中央政府に要請させるように努める。

 (ホ)憲法ヨーゴ国民連合に各級日農組織は積極的に参加し農民の間に憲法ヨーゴの思想と運動を普及することに努め、これをたえず国際緊張緩和の要求と運動に高めることを目ざすことである。

 (ヘ)平和運動を強めるなかで、平和なくして、農民の日常要求の実現もできないとの考え方をひろめ、大衆の身近かな日常的諸要求をつかみ、これを発展させねばならない。
 (十三)国際連帯の強化

 われわれの敵アメリカ帝国主義は世界各国の労働者、農民の共通の敵であり、その力と戦争政策は世界的な大きさと強さをもっている。その支配をうち倒すためには、日本の農民や労働者の力だけでは困難である。どうしても全世界の平和愛好勢力とくに民主的な農民団体や農林労働者団体とかたく手をにぎることが絶対に必要である。

 昨年われわれは久保田委員長以下四名を農林インター大会に送って多くの教訓を得たが、これからはもっと積極的に全世界の農民団体、農林労働者団体などと緊密に手をにぎる仕事をやらねばならない。

 (イ)われわれは日農組合員をはじめ、すベての農民に国際連帯の必要なことと重要なことを理解させねばならない。それも単に話すだけでなく、これから開かれるいろいろの民主的な国際会議に日本の農民代表を真に下部からの民主的選出によって送るための運動を通じて理解を深めることである。

 (ロ)近く開かれる国際農村青年会議、アジア社会保障会議、アジア平和大集会、ソ同盟農業博覧会には是非とも日本の農民代表を送るように闘いをすすめる必要がある。それも日農だけでなく広く農民諸団体その他との統一行動でやらねばならない。

 (ハ)国際的諸決定、アピールなどの普及活動ならびに日本のわれわれの闘いを世界の兄弟に知らせる運動をより広範に大衆的基礎の上に立っておこなうことが必要である。特に世界農林労働者農民大会の諸決定を日農新綱領普及活動と結合して普及することが重要である。

日本労働年鑑 第28集 1956年版
発行 1955年11月20日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 時事通信社
2002年3月5日公開開始


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