OISR.ORG へようこそ 法政大学大原社会問題研究所

日本労働年鑑 第28集 1956年版
The Labour Year Book of Japan 1956

第二部 労働運動

第三編 農民運動


第六章 日農両派全国大会と運動方針

第二節 日農統一派第八回大会
 統一派日農第八回大会は八月二一日から三日間、東京芝中労委会館で開催され、代議員総数三三三名中一八四名出席、中央委員八九名中四四名出席で大会は成立した。

 大会は田上副委員長の司会に始まり、議長団に菊地(茨城)鈴木(秋田)豊田(岡山)喜多(北海道、病欠のため新谷交替)の四名を選出、久保田委員長の挨拶、日本ミチューリン会、総評、共産党、婦人民主クラブ、労農党等各組織代表のあいさつがあり、また農林インターはじめ一五国際団体のメッセージ、国内各団体よりの祝電が紹介された。

 午後は佐藤書記長による今年度活動報告がなされ、つづいて北海道、東北、関東、北陸、東海各地方委員より地方状勢、活動報告がおこなわれた。

 大会第二日は前日にひきつづき中国、四国、九州地方委員の報告が行われた。ついで全農林、全食糧、社会党左派、全農、日農主体性派、全農連、各代表のあいさつがあり、またラテン・アメリカ労働総同盟、ドイツ農林労働組合、ルーマニア農業労働組合等よりのメッセージの紹介があったのち、久保田委員長より本年度運動方針案、斎藤常任より綱領案、本部提出議案が上程され、総括質問が行われた。またこの日、各県代表は農林大臣と面会、基本米価一二五〇〇円等を陳情した。

 第三日は運動方針、綱領、土地問題、米価災害問題、平和婦人の五分科会が開かれた。討議の結果は午後の本会議に報告され、いずれも採択された。なおこの日、松川事件、田口村事件、金田村事件等の被告に対する救援資金の募集、国際農林青年集会の募金等がおこなわれた。

 大会三日間を通じて、日農主体性派、全農、全農連等の農民団体代表は統一と団結による農民要求の貫徹を強調し、農民戦線統一への気運が高まりつつあることが示された。

 第八回大会の大きな成果は、「日本農民組合の要求綱領草案」をきめたこと、「運動方針」において従来の欠陥を自己批判し、具体的な農民の日常的経済的要求にもとづき広汎な統一闘争、労農提携の方針を明確に決定したことであろう。すなわち、「運動方針」の中では、昨年度の成果と欠陥として諸点が指摘されている。

 (一)敵のつかみ方が具体的でなかった。すなわち、地主と呼ばれるものには「名実ともにアメリカに従属して利益をえている半封建的寄生地主」と、「保有小作地をもっているが、完全な寄生地主ではなく必ずしも敵としてあつかうべきではない」小地主の二種類がある。前者の寄生地主は全国で三−四万人で農民の敵であるが、「農民を苦しめている根源はアメリカと吉田であるから」そのために苦しめられている小地主の生活要求をも支持して共同の敵に対し闘うべきであった。この点が不明確なため、多数の農民の統一団結が阻止された。

 (二)セクト的傾向が克服されていない。「昨年度においては、まだ幹部の一人ぎめで高い政治目標をかかげ、一般農民はもちろん組合員の統一と団結を強めることに役立たないセクト的傾向があった。」

 (三)平和運動の立遅れを克服することができなかった。

 (四)諸団体の統一、階層の統一の中において、日農はある程度の主導力を発揮することができた。米価闘争の統一行動に日農は参加し、農林労働者、貧農の立場からの要求と方針を強調し、これを闘争に反映させた。この中で農民諸団体との統一行動を強め労農提携強化の橋渡しとしての任務の一端を遂行した。しかしその統一行動の一層の前進を確保する点で不十分であった。

 (五)労農提携についても日農は大きな役割を果した。労農協議会や労農懇談会、国鉄労組のモデル地区(新潟)、基地反対闘争における労組の指導援助等。しかしまだ労組幹部と日農活動家の話し合いが多く、労農大衆の行動による提携は少く、一時的、非組織的であった。

 (六)日農組織の重要性を痛感した。茨城の常総同盟、群馬県連、東北地協、岩手、高知等の県連準備会等が結成され、日農再建と組織拡大は進んでいるが、まだ大衆諸組織を恒常的なものとし、農村労働者、貧農を中心とする日農組織に高める努力は不十分であり、組識の民主的運営も十分でない。

 組織財政は中央地方ともほとんど未確立である。しかし「農民新聞」を通じての組織の拡大、通信の増大等がみられる。青年部は平和運動統一行動の中核として行動している。

 (七)国際連帯性の強化は「最大の成果」であった。世界農林労働者・農民大会への代表派遣、国際農村青年会議参加の運動など成果をあげ、「この運動は、労働、学生、日農、青年団、民主的青年組織の広い統一行動で進められ、世界民主青年の統一と団結の主要な一環となりつつある。」

 次に「農林インターからのメッセージ」はじめ、大会で決定された「日本農民組合の要求綱領草案」、「一九四五年度運動方針」をかかげよう。
 (農林インターからのメッセージ)
 日農第八回大会議長団へ
 親愛な同志のみなさん
 日本農民組合第八回大会の代議員のみなさんにたいし、わが農林労働組合インタナショナル数百万のあたたかい挨拶をおつたえください。

 貴大会は、農村情勢を検討し、さらに経済的社会的諸権利の擁護、平和と民族独立のために日本農民がたたかってきた諸闘争とその成果を検討して、一そう大きな成功をかちとるためにたたかう決意をつよめられることでしょう。

 ウィーンにおける偉大な世界農林労働者農民大会で表明された全世界の農民の諸経験によって、農民が成功をかちとるためにもっとも重要な武器は、統一であることが確証されました。農民の切実な利益を精力的に擁護するための、全農民とその組織の行動の統一、平和と民族独立と経済的社会的進歩のためのたたかいにおける、全農業勤労者の行動の統一、および農民と都市労働者の同盟こそ、そのもっとも重要な武器であります。

 われわれは本大会において貴組合が、全日本の偉大な、強力な単一の組織となるためにすすむべき道をさししめすことを確信いたします。この組織によって、封建制の残存物と独占資本とに反対し、平和と幸福と民族独立をかちとることができるでありましょう。

 全世界農民の兄弟的団結万才
  一九五四年七月二十一日
      農林労働者・農民組合インタナショナル
               書記長 イリオ・ボッシ

日本労働年鑑 第28集 1956年版
発行 1955年11月20日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 時事通信社
2002年3月5日公開開始


■←前のページ 日本労働年鑑 1956年版(第28集)【目次】 次のページ→■
日本労働年鑑【総合案内】

法政大学大原社会問題研究所(http://oisr.org)