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日本労働年鑑 第26集 1954年版
The Labour Year Book of Japan 1954

第二部 労働運動

第四編 その他の社会運動


第三章 人権擁護運動

第六節 諸団体の動き
自由人権協会

 自由人権協会は四七年五月にアメリカ自由人権協会の理事ボ−ルドウィン氏が訪日してアメリカにおける自由人権運動の状況を紹介したのに、端を発し、弁護士海野晋吉、京大教授滝川幸辰らが中心となって国際人権連盟やアメリカ自由人権協会との密接な連絡の下に四七年一一月二三日に設立された。事務所は東京都千代田区麹町一丁目四番地竹工堂ビルに在る。役員は理事長海野晋吉以下多数かつ広汎な法曹、学者、文化人、政治家を擁している。設立趣意書によるならばその活動の目標を次のように記している。

 

新憲法には基本的人権について詳細な規定が設けられ、それが中心的骨格をなしている。われわれの防衛し展開せんとする自由はそこに規定されておるものに外ならないが、特にわれわれが最も基本的なもの又当面緊切なものとして採り上げるのは、(一)言論出版の自由、検閲の排除(二)集会、結社の自由(三)人身の自由及公平な裁判をうける自由(四)労働者の諸自由(五)婦人の諸自由(六)信教、思想、良心、学問についての自由(七)公務員の選挙及罷免についての自由等々である。更に憲法の規定にはないが国際的場面における民族の平等、人種の平等の要求は憲法における戦争放棄の国民的誓約と相俟って今後の課題となるであろう。

 事業は、官憲の職権濫用に関する事件処理、人権問題についての一般的見解の発表、啓蒙等、国際人権諸団体との連絡、交流、等、人権問題の調査研究、等である。

 五一年度においては特に講和問題、破防法反対の運動、人権じゅうりん事件の訴訟処理等について活躍した。五〇年一一月一三日には海野晋吉、牧野英一、堀真琴、戒能通孝、川島武宜、鵜飼信成、神近市子等をあつめて治安関係諸法案についての座談会を催し、破防法案、ゼネスト禁止法案、集団示威取締法案等一連の治安関係法案について反対の批判をあつめ、これを機関紙人権新聞その他を通じて発表した。五二年一一月二九日には東京神田の専修大学講堂において自由人権協会創立第五周年及世界人権宣言第四周年記念講演会を開催し、海野晋吉、阿部行蔵、鈴木安蔵、羽仁説子、戒能通孝の諸氏が人権問題について講演した。

 五二年一二月一〇日、世界人権宣言記念日に第二回総会を開き、特に「言論出版の自由に関する特別委員会」の設置が可決されたのは注目された。
 尚同協会は京都、大阪、長野他一八の地方支部をもって全国的に活動しており、特に総評の破防法反対ゼネストを機に誕生した労働弁護士団とも密接に提携している。

日本労働年鑑 第26集 1954年版
発行 1953年11月20日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 時事通信社
****年**月**日公開開始


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