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日本労働年鑑 第24集 1952年版
The Labour Year Book of Japan 1952

第二部 労働運動

第四編 その他の社会運動


第二章 婦人運動

第一節 婦人の平和擁護運動(つづき)

 三、国際子供デー 国際民主婦人連盟第三評議会は、六月一日を国際子供デーときめた。これは一九四八年にブタペストでひらかれた、国際民主婦人連盟第二回大会の「戦争より子供を守ろう」の決議を具体化したものである。

 日本にも五月上旬にパリの民主婦人連盟書記長マクークロード・ヴァイヤン・クーチュリェから民主婦人協議会あて、報告と提案の呼びかけがあった。これにこたえ、子供を守る準備会が主催となり、六月三日、東京家政学院で、朝鮮、中国の子供もまじえて、中央大会を開催した。その日、大きなおひめさまと、きれいな花と万国旗が正面にかざりつけられ、まず、日本、中国、朝鮮から一人ずつ議長をえらびつぎのことを決議した。

一、原子ばくだんと戦争反対。一、武器を日本でつくらないで下さい。一、高くてまずいカスミルクはいやです。一、よい先生をやめさせないで下さい。一、なぐったりする先生をやめさせて下さい。

四、平和への希望条項をダレスヘ手交 ガントレット恒子、神代田野、平塚らいちょう、野上彌生子、植村環の婦人運動の長老が提唱し、「単独講和反対、軍事基地化反対、永世中立」を内容とした「非武装、日本女性の平和への希望条項」と題するアピールを作成し、六月二五日午後、神代田野、ガントレット恒子の二氏を代表として、来日中のアメリカ国務省顧問ダレスを訪問、つぎのような英文アピールを手交した、

 平和への希望条項
 われわれは日本国憲法に定められた非武装・非交戦をあくまで守りぬくかくごである。
一、世界平和の実現を使命とするわれわれは、絶対中立を堅持し二つの世界の共存統合にあらゆる平和的手段をもって努力する。

一、こういうわれわれは全面講和によって連合国のすべてから、同時に日本の中立が確認され、不可侵が保障されることを日本のため、同時に世界平和のためまずなによりも希望する。

一、中国とは歴史的、地理的、経済的いずれの面から考えても、こんご友好関係をとくに保っていきたい。そのためだけでも、単独講和をちゅうちょする。

一、非武装国日本不可侵の国際的協約によって、いずれの国も軍事基地をもつ理由と必要を失うことを期待し念願する。

一、いずれの国の戦争にも協力しない。夫や息子を職場におくり出すことを拒否する。
一、講和條約成立後は国際社会の一員として自国のみならず、すべての国の安全と自由と独立のため、国際平和運動にあらゆる面で率先協力し任務を果したい。

 五、婦人の平和運動と社共両党 朝鮮における戦争の勃発した直後の七月一六日、社会党婦人対策部は、全国婦人対策部会議を開き党中央委員会決定の平和国民運動の線にそって具体的な問題を討議し、つぎの平和決議をおこなった。

 平和決議
 第二次世界大戦の傷痕まだいえやらぬ去る六月二五日、隣国朝鮮において突如戦争が起ったことは私達の最も遺憾とするものであります。原子爆弾の最初の犠牲に供せられた日本として「戦争はいやだ」「平和を守りたい」という痛切な願いは全日本大衆の一致した声であります。しかしこれにたいし政府は大衆の要望をふみにじり一方的に日本を戦争にまきこませようとしており、共産党はまたぎまんな平和運動をおこなっております。この情勢の中にあって、私たちは世界のすべての国々と仲よくし中立を堅持する以外に日本の平和を守る道はないという確信の下に、戦争を否定する婦人達の先頭にたって平和を守るために、戦争を防止するために、重大な決意をもって闘うことを決定いたしました。(後略)

 その後、社会党青年婦人部が中心となり、各地において「平和を守る」組織を確立した。たとえば、東京の「青年文化集団」や兵庫の「青年会議」がそれである。また一〇月六日には、党青年婦人部が中心となり「青年婦人文化の夕」をもよおし、平和を守ろうの呼びかけをした。

 一方共産党でも七月一七日つぎのような「平和を愛する婦人の皆さんに訴える」のアピールを発表した。

 アピール
 全日本の平和を愛する婦人のみなさん
 終戦後、わずか五年、焼けあとさえまだ生々しい思い出をとどめているのに、またしても戦争の危機がおそいかかってきました。そしておそろしい原子兵器の犠牲に再びまきこまれようとしています。(中略)

 すでにこの戦争の準備のために職場では首切りと、軍隊式の職階制がおしつけられ、婦人労働者はより悪い條件で仕事にしばりつけられています。夫の失業や生活の不安に主婦は内職を求め職業安定所には毎朝、必死で仕事を求める婦人が押しかけています。また子供の学力の低下と不良化は、忙しい母親の共通の悩みとなっています。

 戦争とファシズムは五年間のたたかいでかちとった婦人のわずかな権利さえも根こそぎ奪おうとしているのです。

 平和を愛する日本の婦人のみなさん
 戦争とファッシズムに反対し、世界の恒久平和と民族の独立のために、母と子の幸福を守るために、日本婦人平和戦線に集って、一人のこらず平和の戦士になりましょう。隣近所のすべての婦人の仲間によびかけて平和投票をいたしましょう。(中略)

 日本民族の完全な独立。私達は、子供を奴隷にしたくはありません。国を売る人々を徹底的に追放しましょう。
 原子爆弾の使用をやめさせましよう。始めに使った政府は戦争犯罪として世界の人民の力で制裁を加えることになっています。単独講和反対、ソ同盟、中国をふくめて全面講和を直ちに結んで下さい。軍需品の生産と外国への輸送反対、一切の戦争協力行為をやめましょう。デモ・集会の禁止反対、憲法で保証された人民の権利を守りましょう。

 平和と婦人の幸福を守る日本婦人平和戦線万才
            −平和綱領にかえて−


 両党とも「全面講和」「再軍備反対」を主張しそれぞれ、平和擁護のために広汎な活動を展開した。

日本労働年鑑 第24集 1952年版
発行 1951年10月30日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 時事通信社
2000年6月1日公開開始


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