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日本労働年鑑 第24集 1952年版
The Labour Year Book of Japan 1952

第二部 労働運動

第二編 労働組合運動


第九章 平和擁護運動

第四節 日本におけるストックホルム・アピールへの署名運動

 三月一七日「平和を守る会」と民主主義擁護同盟が共催で、講和促進運動委員会をひらき、四月一日から六月末日までの三カ月間、「平和と独立のための講和促進運動」を精力的に展開し、すくなくとも七〇〇万人以上の賛成者の獲得を目標として署名運動をおこなうことをきめ、つぎのような「よびかけ」を決議した。

 第二次世界大戦がすんでまだ五年にもならぬのに、またもや戦争のさけびが世界を圧している。いったい戦争は不可避なものか?日本人民は奴隷にならねばならない運命なのか?いな、われわれは、もう一九一四年のわれわれでも、一九三七年のわれわれでもないのだ。ことに去年のパリ平和大会以来、参加国七二人口一〇億の大平和運動がおこり「戦争反対・平和を守れ」の合言葉は、時々刻々、怒濤のようにたかまっている。世界の植民地解放運動とともに日本民族もまた独立の雄叫びをあげはじめた。

 労働組合は、もっとも積極的に「平和と独立のための講和促進運動」に参加したが、とくに四月一〇目の産別会議第六回執行委員会は、全労働者につぎのアピールを発した。

 日本はいま、闘って独立をかちとるか、坐して植民地へ転落するかの重大な岐路にたっている。帝国主義の日本支配は、ふたたびわれわれの日本を、ソ連、中国、人民民主主義国家にたいする戦争にかりたてるとともに、日本勤労人民の生活と基本人権を破壊し、直接軍事基地、軍事産業基地たらしめている。無謀な単独講和はそのためのたくらみである。いまや日本の勤労階級にとってみずからの生活と権利を守るただ一つの道は、戦争を防止し、平和を守り、民族の独立を守りぬくことである。

 いうまでもなく平和と独立は、ひとりでに訪れてくるものではなく、日本のいっさいの愛国的勢力が大きく結集し、野蛮な戦争挑発者どもの企みをてってい的に粉砕してのみ達成される。

 平和擁護闘争は、もはや宣伝の段階ではなく行動の段階に入った。あらゆる勤労者ひとりひとりが、あくまでも戦争に反対する決意を表明すべきである。

 この四月から三カ月にわたり、民擁同、全労連、平和を守る会が中心となって「平和と独立の月間」がすすめられる。産別会議は、全面的にこの運動を支持し、宣伝に、平和投票にあらゆる努力を払うものである。とくに重要なのは、平和と独立のために真に闘いうる大衆的組織をあらゆる職場に、農村に、学校に、町にも村にも、広汎にうちたてることである。われわれ労働者階級は、この愛国的国民運動の先頭に立ち、ひるむことなき勇気と確信をもって、農民に、市民に愛国的資本家によびかけ訴えよう。

 戦争をのぞみ、戦争を企らむものは、かならず歴史によって裁かれるであろう。


 また共産党は、三月二三日付の中央機関紙主張「大衆的平和擁護闘争へ」において、「労働攻勢の主力になっている電産の労働者とこれに共同闘争している金属その他の労働者は、電気事業の分断に反対し、日本の植民地化と軍事基地化反対の闘争を賃金闘争に結びつけている。また、大牟田では、化学工場の労働者が軍需品生産の暴露と反対の闘争を賃上要求の二万の大衆罷業と結びつけた」とのべ、「日本人民の真の解放は独立と平和擁護の闘争を闘いぬくことなしには不可能である」として、当面の目標をつぎの四点においた。

 1、ストックホルムの世界委員会第三回総会の開催と呼応し、全党が平和擁護の大宣伝活動を行うことが、まず必要である。平和擁護の必要を目的意識的に宣伝するために、平和擁護投票を各地方において計画することは、きわめて有効である。

 2、工場で軍需品生産を大衆的に監視し、暴露することによってポツダム宣言に違反する軍需産業の復活を阻止しなければならない。

 3、工場、職場、学校、研究所をはじめ、農村、居住で多面的な大衆闘争の中から平和擁護懇談会、平和擁護委員会を組織して大衆的平和擁護闘争を発展させねばならない。

 4、ソ同盟、中国の宣伝紹介の活動をますます強化し、東南アジアの民族解放闘争支持の運動を結合しなければならない。

 日本の「平和と独立のための講和促進運動」は、平和擁護世界委員会ストックホルム総会とほぼ時期を同じくして計画され、実行に移ったのであるが、その後、世界各国では労働者階級を先頭に、ストックホルム・アピールヘの署名を集めることを運動の中核とするようになってきた。四月二五日、全労連は世界労連書記長ルイ・サイヤンからつぎのような「要請」をうけた。

 親愛なる同志諸君!ストックホルムで開かれた平和擁護世界委員会総会に参加した世界労連の代表はこの委員会の発したアピールを全面的に支持することを誓った。

 いま世界の労働組合運動のもっとも重要な任務は、平和擁護世界委員会アピールを支持する無数の署名を獲得するために、すべての労組および組合員が平和擁護全国委員会、市町村の平和擁護委員会の活動に積極的に参加することである。世界委員会のアピールは、人種、国籍、信教、政治的意見や社会的条件にこだわらずすべての善意ある人々によびかけられたものである。このアピールに反対できるのは意識的・無意識的な戦争支持者と挑発者だけである。

 各全国中央組織は、全傘下組合と組合員をこの運動にひきいれなければならない。さらにすべての職場で、世界労連未加盟組合の組合員、未組織労働者をとわず多数の労働者のアピール支持署名が集められなければならない。世界労連はすべての組合、誠実な平和擁護者であるすべての労働者がこのアピールを支持し、戦争を根絶し、安定した恒久平和を確立するためのこの人間的な尊い計画の中で、できるだけの指導性と精力を発揮されることを確信している。

日本労働年鑑 第24集 1952年版
発行 1951年10月30日
編著 法政大学大原社会問題研究所
発行所 時事通信社
2000年6月1日公開開始


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