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日本労働年鑑 戦後特集(第22集)
The Labour Year Book of Japan post war special ed.

第四篇 無産政党運動

第二章 日本共産党


十一 第二回総選挙対策

 議会解散確定後、昭和二二年四月に行われる予定の総選挙に対し、共産党は第二回全国協議会で「議会及び選挙対策」を決定し、それにもとずいた選挙闘争方針を二月二六日附「アカハタ」に発表した。

 先ず選挙對策の重点としては第一に衆議院選挙、第二に市町村会および府県会選挙におかれて居り、選挙闘争の目標として「基本的には日本の民主化は、はたらく人民の手によつてのみ実現され、吉田内閣や反動政党やそれと妥協する政党の手では日本は亡国のふちにしずむことをはつきり自覚させることが大切だ。政府資本家の生産サボタージュを打破し、勤労者の手で経済復興をはかるためには、ヤミとインフレを退治しなければならない。インフレの政治は今日のくされ切つた資本主義の政治である。やみとインフレのない人民の政治、これが社会主義へすゝむ前提条件であり、この人民の政治、民主人民政府こそ、選挙闘争の基本目標である。全党員は各地における民主化と復興とをいかに反動分子がさまたげているかという実例を勇敢確実にとりあげて、この目標を達成するようにつとめるべきである」とし、更に「きがと失業との重圧にたいする人民の大規模な反対闘争は選挙闘争の基盤であるとともに、選挙闘争自体が逆にこの闘争を組織させ前進させることゝなる」と選挙闘争の基本方針を示している。

 

わが党の選挙スローガン

=一般スローガン=
 働くものの民主政治
 明るく豊かな独立日本
=基本スローガン=
 一、国をほろぼす政治を倒せ
   人民の手による経済復興
  1、金融機関の統合と国営人民管理
  2、国鉄、逓信の人民管理
  3、主要産業(電産、石炭、海運、主要交通機関−私鉄、トラック運送などをふくむ)の国営
  4、財閥の徹底的解体と財閥企業の国営人民管理
  5、官僚統制の撤廃、人民統制の実施
  6、大金持に財産税、戦時利得税、高度累進税を
 二、ヤミとインフレの政府を倒せ
 はたらくものの生活安定、失業、戦災、引揚者に職を与えよ
  1、最低賃金手取七〇〇円、平均賃金手取二○○○円の即時実施
  2、拘束八時間労働制
  3、勤労所得税の撤廃、総合所得税の免税点を五万円に引上げよ
  4、七〇〇円のワクを外せ
  5、首切り反対、一切の失業者をなくせ
 三、働く農民の解放と向上、米と土地との農民管理
  1、土地の国有(山林原野をふくみ自作地を除く)
  2、耕作権の確立と土地の農民管理
  3、政府の援助による共同経営と機械化
  4、乙種事業所得税の撤廃
  5、強権供出絶対反対、農産物の農民管理と米価千五百円
  6、肥料、農具の公正配給と農業会を農民の手ヘ
 四、婦人と青年に自由と文化を
   楽しくきれいな家庭を
  1、遅配欠配反対、ヤミのない公正誠実な配給
  2、十分な燃料と電力罰金の廃止
  3、家なきものに家を、大邸宅の解放
  4、悪税廃止と不当利得の高率課税
 五、中小業者に資材と資金を
 六、天皇制反動勢力の一掃、民主人民政府をつくれ
     われらかく公約す
       日本共産党の政策
 政治外交政策
基本策。民主々義の徹底的実現、民主的平和的国際機構への参加
具体策。一、ヤミとインフレの政府打倒民主人民政府樹立
 二、戦争犯罪人の徹底的追放
 三、新憲法その他一切の法制に温有された封建的専制的残がいの一掃と人民主権の完全確立
 四、民主革命の完遂と人民の手による経済復興
 五、すべての民主国家の公正不偏なる外交の樹立
インフレ対策
基本策。巨大資本擁護の官僚統制の撤廃、民主的人民統制の実施そのもとで主要生産物と消費を一定のワクに入れ、およそ給料の八〇%を現物給与とし、残りの二〇%は自由市場で扱わせる(経済安定にともないこの統制を解除してゆく)右のため次の諸政策を実行しインフレを完全に克服する
具体策。一、銀行の統合と全融機関の国営人民管理
 二、重要産業の国営人民管理
 三、最大の擬制資本たる公債の買上償却
 四、戦時利得、大ヤミ利得者に対する第二次財産税の徹底徴収、高率累進所得税の徴収
 五、賠償撤去補償、在外資産補償の打切り
 六、巨大資本擁護の石炭、肥料等の価格補給金を廃止し二重価格制度を撤廃する
 七、終戦処理、公共事業等の国営人民管理
 八、隠匿物資の徹底的摘発、軍特殊物件の人民管理
 九、価格差益金の全額徴収
 十、不急不要のヤミ建築、高級料理店、自家用自動車等に対する高率課税
 十一、大衆負担の間接税、消費税の撤廃
 十二、全融機関の不当貸出禁止
 産業復興対策
基本策。人民のための人民の手による経済復興
具体策。一、金融機関の統合と国営人民管理
 二、重要産業(石炭、鉄鋼、電力、肥料)および主要交通、運輸、通信機関(国鉄、逓信を含む)の国営人民管理
 三、財閥の徹底的解体、財閥企業の国営人民管理
 四、賠償撤去事業および公共土木事業の国営人民管理
 五、科学技術の動員による大規模電力の開発、干拓、開墾事業の急速実施
 六、隠退蔵資材の摘発と特殊物件の活用により重要生産(鉄、石炭、肥料)と同時にその他の生産を急速に増強する
 七、中小企業への資金資材の供給確保と協同組織の促進
 八、官僚統制の廃止、人民統制の実施
 九、労働時間短縮と隠退蔵物資の摘発、未利用資源の全面的活用による完全雇よう
 十、労働階級を主体とする産業復興
 労働対策
基本策。労働者の一切の権利の基本的確立
具体策。一、生活費を基準とする最低賃金制の実施(当面最低八○○円、平均手取二〇〇〇〇円)
 二、七〇〇円のワクの撤廃、所得税の免税点を五万円にする
 三、拘束八時間、実働七時間労働制の実施、一週間一回、一年二週間の有給休暇
 四、隠匿物資を摘発し、その活用によって重点生産と同時にその他の生産も平衡的に発展させ、これにより完全雇ようを実現する
 五、同一労働に対する同一賃金
 六、婦人および青少年に対する重労働、危険作業および坑内労働禁止
 八、産前産後各二ケ月の有給休暇および生理休暇
 九、各工場、経営内における妊産婦および母親に対する保護施設を完備する
 十、資本家全額負担による完全な社会保険(失業、疾病、養老年金を含む)の実施
 十一、労働階級の手による産業復興
 十二、労働戦線の即時統一
 十三、世界労連への参加
 農民対策
基本策。農民の一切の封建的搾取と圧迫からの解放、地主勢力をのこすゴマカシ土地改革反対、農民の手による徹底的土地革命
具対策。一、全小作地の国有とその下での農民管理、土地不買の自由
 二、大地主、戦犯人の土地没収、小地主の土地に対する累進的補償
三、耕作権の完全な確立、八・一五以後の一切の土地取上、売逃げ、名儀変更の取消
四、山林原野等の国費による大開拓と貧農、戦災者、引揚者、失業者への民主的分配
五、強権供米制の廃止、自主性割当と農民管理による供米促進
六、生産費を償い利潤ある農産物価の確立、当面米価千五百円繭価二千五百掛
七、肥料農具、生活必需品の公定価格による配給と農民管理
八、農民に対する悪税反対、乙種事業所得税の撤廃
九、農地委員会、食料調整委員会、農業会の農民組織による運営
十、実例と説得による協同経営と農業近代化の促進、有畜化、機械化、電化のための国家の経済的技術的援助
十一、国営による農村文化、娯楽施設の普及、農村青年に自由と文化を (以下略ス)

日本労働年鑑 第22集/戦後特集
発行 1949年8月15日
編著 大原社会問題研究所
発行所 第一出版
2000年2月1日公開開始


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