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日本労働年鑑 戦後特集(第22集)
The Labour Year Book of Japan post war special ed.

第四篇 無産政党運動

第一章 日本社会党


六 救国民主連盟

 総選挙後社会党は吉田内閣に対する強力な反対党の立場をとることになつたが、二一年五月十一日の代議士会において森戸辰男氏は救国民主戦線を結成することを提唱し、これが大きな反響を呼んで急速に具体化されることになつた。しかし連盟組織論の問題をめぐつて議論百出し紛糾したが、結局五月一五日の救国民主連盟特別委員会において「指導精神」その他を次のように決定した。

一、救国民主連盟の指導精神

 一、現下民生危機の原因をいかにみるか

 われわれの当面してゐる国民生活の危機は直接的には今次敗戦の結果であり、根本的には没落期に於ける資本主義の矛盾の特殊な爆発である。

 二、保守政権の無能と社会主義的施策の必要

 反動勢力を内包する保守政権はこの危機を資本主義的政策によつて克服しようと試みるが、却つてそれを激化するばかりである。これを匡救する大道は迅速且つ強力に実現する以外には存しない

 三、民主々義政権樹立の要請

 以上の政策を実現するためには国内における民主的勢力を基盤とする真実の民主々義政権の樹立が要請される。而して『民主々義体制の確力』と『社会主義の断行』とをその立党の精紳とする吾党こそが、かゝる祖国匡救の大任を担当し得べき最大の適格者である。かゝる党として吾々は政治、経済、文化の諸領域に於て民主々義的、社会主義的変更を強力に推進しなければならぬ。

 四、革命は建設的にして無血革命たるを要す

 この変革は極力混乱と破壊をさけ、秩序的建設的に行はるべきである。変革の手段として、独裁を斥けて民主々義を採り暴力革命を排して建設的無血革命の道を堅持しなければならぬ。その理由は逼迫した我が国の現状、反動保守勢力の弱化等々にかんがみてその可能と妥当とを確信するからであり、さらに占領軍治下に於て民族の自主と名誉を保持せんとする時、特にこのことが要請されるからである。

 五、救国民主連盟提唱の理由

 われわれは、現下の祖国危機に慮つて国家を背負ふ責任ある政党として、民主々義的建設革命の大義を高くかゝげ、一は以て党の主体性を確立する指導精神とし、一は以て廣汎なる民主的大衆運動を迅速且強力に展開する旗幟たらしめんとする。人間的条理と社会的正義と国民的衿持とに立つて民主主義革命に邁進する我党こそ、国民大衆の真実の支持を期待し得、我党の展開する民主的建設的革命運動こそ真実の救国建国の運動たり得ると信ずる。

二、救国民主連盟の目的及指導方針

 一、我党は食糧問題を中心とする国民生活の危機突破の運動を通じて社会主義的政策の遂行と民主主義体制の確立とを期し、民主主義勢力を基盤とせる真実なる民主政府の樹立を目標として救国民主連盟を提唱する。

 二、連盟は我が国が占領軍の治下におかれ且敗戦の為窮乏と疲弊のどん底にある特殊なる情勢に鑑み独裁と暴力を排し建設的無血革命によつて民主々義革命を達成することをその指導精神とする

三、組織

 三、連盟は加盟団体が協定された特定の共同目標に対する共同闘争に関して厳格な統制に服すると共に、それ以外の点に於いては自主権と独自の運動を妨げられることのない弾力性のある組織とする。

 四、連盟はその主要目的が政治的であるに鑑み政治団体を以てその構成上の基幹とする。然し我が国に於ける組織の現状を考慮し経済団体に対して積極的な参加を要請する。尚連盟は、加盟団体との支持関係なく又は多数の中立組合員を含む経済団体が、この際支持関係の設定強化、組合員の政党加入等の方法によって政治団体に対する正常な協力関係を促進するよう勧請する。

 五、連盟の中央組織は議会部と大衆運動部より成る。

 六、議会部は議院内に於ける政党政派を以て構成す。議会部の幹事を十名とし各派間の配分は院内勢力を基準とし得票数等を勘案して定むる。

 七、議会部及大衆運動部の連絡をはかり共通事項につき協議する為連絡委員会を設ける。連絡委員は十名の委員を以て構成し、各部は夫々五名の委員を選出する。

 九、連盟の地方組織については連盟の目的並に指導精紳を体し中央の指導に従ひ地方の情勢を考慮しつゝ結成に着手する。

地方連盟の組織及方針の具体案は迫つて協議の上決定す。

地方連盟の組織を困難とする特殊の事情ある地方に於て相当の準備期間を認める。

 一〇、加盟団体は一切の共同運動に於て協定された範囲と準則とを厳守して之等を脱退せざる義務を負ふ。

 一一、加盟団体は連盟の活動の効果が協同、信義、友愛の原則に基いてのみ可能である所以を確認し、之に背反する一切の言動を慎むべき義務を負ふ。

 一二、現下に於ける時局の逼迫と民心の不安とを考慮し、加盟団体は単にその指導精神に於てのみでなく、その一切の現実活動が混乱、破壊の契機たることを厳にいましめ、秩序ある建設的民主的性格のものであることに特別の注意を払ふことが要請される。

日本労働年鑑 第22集/戦後特集
発行 1949年8月15日
編著 大原社会問題研究所
発行所 第一出版
2000年2月1日公開開始


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