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日本労働年鑑 戦後特集(第22集)
The Labour Year Book of Japan post war special ed.

第四篇 無産政党運動

第一章 日本社会党


二 社会党と共産党

 社会党の常任委員会は昭和二〇年十一月二十日「共産党との共同戦線に対する基本方針」を次のように決定した。

 一、我党の綱領政策を徹底することが現下の最大急務たるにつき我党独自の方針を以て進み、従つて共産党との共同戦線を持たざること。

 二、日常闘争、労働争議、小作争議等の場合に於ても前項の方針に則ることは勿論なるも、個々の問題又は地方の特殊事情により共同闘争を申込まれたる場合において之を必要と認めた場合においては、支部連合会又は本部の指示を受くべきこと。

 その後十二月六日に、共産党代表が「一、天皇制打倒、人民共和政府樹立。一、寄生的土地所有の無償没収とその農民への再分配」等十二ケ条にわたる行動綱領を内容とする共同闘争を申し入れたのに対して、社会党は右の基本方針にのつとつてこれを拒否した。共産党では更に二六日「現下の食糧事情に鑑み、廣汎な国民運動を展開する」との共同闘争の申し入れを行つたが、之に対し社会党は次のような文書回答をおこなつた。

 

「昨十二月二十六日貴党より申込まれたる食糧問題に関する共同闘争については、既定方針に基き本日左の如く決定せり。食糧問題は極めて重大にして其解決は一刻の猶予を許さざるを以て、我党は既に農民組合と密に連絡し、独自の方針を以て供出促進、主要食糧の確保に邁進しつゝあり。因つて現段階においては両党がそれぞれの立場においてこの問題の解決に進むを以て適当且効果的なりと信ず。右回答す。」

 以上のような状況にあつたため社会党と共産党との共同闘争の実現はきわめて困難であつた。この問題についての社会党の見解は次の片山書記長の談話によつて明らかであろう。

 

共産党の人民戦線運動声明書に対する片山書記長談

 「共産党は昨年再三に亘つて、共同闘争を申し入れてきたが、昨一月七日の声明において社会党幹部を弾劾しているのは信愛と融和の精神を欠いている事実と共に、その指導下の大衆を誘惑せんとする意図に外ならない。之は我党が同党との共同闘争を拒絶して来たことの正しさを証明するものである。我が社会党は一党組織をもつてこの重大時局を乗り切る自信と決意を有しているが、共産党は未だその陣容及び政策が共に整はず、従つて我党は同党との共同闘争の必要を断じて認めない。共産党の云うが如き反動分子は我党には存在せず、我々は社会主義断行のため全員一致結束している。これを要するに共産党の態度は我が社会党の内部撹乱を目途とする卑劣なる戦術と云はざるを得ない。」

 社会党、共産党の共同闘争問題の未解決は終戦以来提唱されていた民主戦線結成の円滑な進行をさまたげることになつた。社会党は民主戦線の結成は選挙後行うという公約にもとずいて二一年の四月以来案を練つたが、その組織について共産党との協約ならず、ついに共産党を除外して民主戦線を結成する方針をたてた。すなわち七月一四日の常任委員会において「日本共産党との交渉は条件未成熟と見做し之を打切る」ことが決定され、かくて両政党はついに袂をわかつ結果となつたのである。

日本労働年鑑 第22集/戦後特集
発行 1949年8月15日
編著 大原社会問題研究所
発行所 第一出版
2000年2月1日公開開始


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