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日本労働年鑑 戦後特集(第22集)
The Labour Year Book of Japan post war special ed.

第二篇 労働組合

第三章 労働組合運動


第六節 示威運動(つづき)

4、復活第一回メーデー(第十七回メーデー)

 昭和二十一年の復活第一回のメーデーは次のような状勢下にひらかれた。すなわち第一回総選挙後の政局も依然として混迷をつゞけ、自由、進歩、社会の三党首会談、政策協定は順調にすゝまず、その間国民の生活は益々窮乏化しつゝあつた。四月七日の幣原内閣打倒人民大会もそのあらわれの一つであつた。復活第一回メーデーの準備は以上のような状勢下における国民の窮乏化とそれにともなう運動の昂揚を結集すべくすゝめられたのである。

 一方「メーデーを休日に!」の闘争もひろく展開された。全国官業労働組合のこの申し出は政府から「公務に差支えない限り非公式参加は差支えない」とのあいまいな回答を受け朝日、毎日等大新聞はメーデーのれきし、意義に豊富に紙面を提供した。更に廿六日は内務省警保局がメーデー不干渉の方針を声明した。

 五月一日予想の三〇万をはるかにこえる五〇万の大衆が宮城前広場につめかけた。「働けるだけ喰はせろ」「馘首反対」等のプラカードがかゝげられる中に午前十時、東京交通同盟の重盛壽治氏は開会の辞を行つた。ついで交通同盟の島上善五郎、全逓信従組土橋一吉、総同盟山花秀雄、国鉄青山源助、関東労働組合協議会伊藤憲一、婦人代表矢島文子、産別会議準備会聴濤克己、農民代表中村高一、朝鮮人連盟金基澤、社会党加藤勘十、共産党徳田球一等の諸氏がそれぞれ代表演説をおこなつた。このメーデーで採択された決議、大会スローガン及び宣言は次の通りである。

決議

一、保守反動政権反対、社会党を首班とする民主人民政府を即時樹立せよ

一、戦争犯罪人を根こそぎ追放しろ

一、食糧人民管理、働けるだけ食わせろ

一、隠匿物資の摘発、大邸宅を開放せよ

一、強権発動絶対反対、自主的供出の促進

一、生産管理弾圧絶対反対

一、罷業権、団体交渉権の確立

一、労働関係調整法絶対反対

一、生産即時再開、失業者に食を与へよ

一、クビキリ絶対反対、工場閉鎖反対

一、失業手当法、失業保険法の制定

一、七時間労働、週休制の確立

一、働く母性を保護せよ

一、同一労働、同一賃銀

一、生活費を基準とする最低賃銀制の確立

一、勤労所得税を即時撤廃せよ

一、戦災者、引揚者に仕事と住宅を与へろ

一、産業別単一労働組合の結成、労働戦線統一

一、民主人民戦線即時結成

一、世界労働組合連盟への参加

一、在留朝鮮人、台湾省民に対する政治、社会、経済、文化的行動の自由

一、人民の手による人民の憲法

一、民主的平和日本の建設

 一九四六年五月一日 十七回東京地方メーデー

宣言

わが日本の労働階級は十一年ぶりでメーデーに参加した。今日のメーデーこそ日本に初めての大きさと、初めての自由とに輝く歴史的メーデーである。だが同時に現在のわれわれは歴史上はじめての苦しみをも味わつてゐる、住むに家なく、着るに衣服なく、食うに米はない。しかも戦争をたくらみ、戦争で儲けた憎むべき資本家、地主、官僚どもは、われわれの苦しみを平然と眺めて何の手も打とうとしない。政府は明らかに勤労者の要求を邪魔しようとしているのだ。現に生産管理に反対して、労働者を苦しめ、強権を発動して正直な農民を苦しめてゐる。

 われわれは政府をとりかえなくてはならない。働く者の民主人民政府を打ちたてなくてはならない。これはまた万国労働者の最も期待するところなのだ。なぜならそれだけが戦争の惨禍を防ぎうる保障となるからだ。そのためにまづわれわれは労働戦線を強固に統一しよう。

 そして世界の労働階級と手を握つて、その固い団結のもとに再び世界に戦争の種をまく専制主義、封建主義、ファツシズムを叩きつぶすのだ。

 かくしてのみわれわれ勤労大衆は飢餓と窮乏から解放され、世界は平和と栄光に充たされるであうう。歴史的メーデーに際し、われわれ全日本の労働者は高らかに宣言する。このやうな正しい世界の完成の日まで、ゆるぎなき団結と鉄の意志をもつて闘争を押し進めることを。

 一九四六年五月一日 第十七回東京地方メーデー

 メーデー歌の大合唱の後、デモンストトレーションにうつゝたが、四隊に別れた六列の歌声は全都にみなぎつた。尚このメーデーは我国メーデー史上初めての無検束メーデーであつた。

 地方に於て、メーデーが祝われた主な所を拾うと、北海道地方 札幌、夕張、東北地方 秋田、横手、仙台、酒田、山形、米沢、青森、黒沢尻、盛岡、常盤炭坑、関東地方 木更津、銚子、千葉、八王子、浦和、横須賀、川崎、藤沢、宇都宮、足利、古賀、前橋、中部地方 甲府、長野、上田、諏訪、静岡、岐阜、岡崎、名古屋、富山、近畿地方 大阪、神戸、京都、四日市、宇治山田、津、奈良、和歌山、中国地方 岡山、広島、三原、島根、四国地方 高松、高知、松山、宇和島、九州地方 福岡、鹿児島、延岡、宮崎、飯塚、佐賀等があげられる。

日本労働年鑑 第22集/戦後特集
発行 1949年8月15日
編著 大原社会問題研究所
発行所 第一出版
2000年2月1日公開開始


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