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日本労働年鑑 戦後特集(第22集)
The Labour Year Book of Japan post war special ed.

第二篇 労働組合

第三章 労働組合運動


第一節 組織運動

 敗戦後における驚異的な労働組合運動の進出は、不断に発展する組織運動と相即していたことはいうまでもない。労働組合の増量の過程は同時に組織自体の質的な高度化と相まつていた。このことは、各段階における組織方針と、運動によるそれの具体化を検討することによつて明らかとなるであろう。

 しかし組織運動の窮極の目標が、いずれにしろ労働戦線の統一にあることは、別項の「戦線統一運動」と多少重複することをまぬがれない。たゞしこゝでは戦線統一の問題も、労働組合の主体的な組織運動の観点から検討することにつとめ「戦線統一運動」との重複を避けることに留意した。

 便宜的に敗戦後二二年末までの期間を、(1)敗戦→廿一年二月、(2)廿一年二月→同年九月、(3)廿一年九月→廿二年末の三期に分けて考察してみよう。(戦線統一に就てはその項参照のこと)

第一期 敗戦→二一年二月

 (空白→単位労組の設立→旧指導者の組織化への動き→地区的協議会・同一資本内連合・地方的協議会の発生→産別整理の萌芽)

 敗戦後八・九の二ヶ月は組合の自主的動きは殆んど認められず、僅かに九月上旬、旧日本労働組合総同盟等の幹部の間に戦後の労働組合の再建に就いて協議が行われ、全国各地に準備会の設置がはじめられた程度であるが、十月に入つて戦前最大の組合だつた全日本海員組合が再発足し、月末には社内民主化のスローガンをかゝげた読売新聞従業員組合の設立,闘争が起り労働戦線は活況を呈してきた。かくて年末までには東京ガス労働組合、東京交通労働組合、全日本教員組合などの大組合も含めて、七〇七単位労働組合、三七万八千四百八十一人の組織をみたのである。組織の高度化に就ては、読売争議を契機として十月卅一日、全日本新聞通信従業員組合連合会準備会が結成されたのは産別整理への萌芽として注目に値するが、十二月五日の神奈川県工場代表者会議、一月六日の東京城南地区労働組合協議会は共同闘争のための地方的横断結合機関として大きな意義をもつている。同一資本内の結合についても下丸子工場を中心とする三菱重工業や東芝などにその気運が醸成されつゝあつた。

 廿一年一月廿日には関東地方労働労働組合協議会の結成が行われ、当時漸く盛になつてきた経営者の積極的御用組合設立に明確に反対を表明し、闘争の経験を通じて産別整理、戦線統一の必要を強力に押出した。

 即ち協議会は戦線統一に関して、思想・信仰・政党支持自由の上にたつて労働組合の団結に努力すること。全労働者階級の統一戦線強化のために全国協議会の発展を目標にすることを確認するとともに、執行委員の選出方法を構成各組合の代表者制とすることによつて職業的労働ボスの排除を実質的に行つたのである。

 一方、旧総同盟幹部を中心とする組織活動もこの間に具体化し、全国労働組合総同盟の結成が一月十七日に行われた。総同盟は組織方針としては、(1)産別単一労組とその全国的同盟体を目標にかゝげ、たゞ実践はあくまで我国労働戦線の現状に即応すべきであるとして、(2)府県連合体、(3)地域的協議会、(4)同一資本労働者会議の組織化を活発化すべきことを決定したのである。

 かくて第一期の終には無系統的、自然発生的な各単位組合に地区的、地方的、同一資本内の結合が浸透してきたと云えよう。

第二期 廿一年二月→同年九月

 (産別整理の進行→地方的協議会設立の全国への波及→総同盟の産別整理→産別会議の成立→総同盟全国大会)

 三二組合、二万三百卅五人を支部に組織した日本新聞放送労働組合の結成は二月九日に行われたが、翌二月十日には全国炭鉱労働組合代表者会議が開かれ全国単一化を行うことが決議され、こゝに全国的単一産別への歩みだしが現実化してきた。こゝに全国の各地方に波及した地方労働組合協議会の結成、各産業における萌芽的産別整理を一本にまとめあげようと日本新聞通信労働組合は結成後間もなく全日本産業別労働組合会議の提唱を行つた。この招請に応じて二月廿七日準備会が結成され次の九団体が参加した。

日本新聞通信労働組合

全日本印刷労働組合連合会準備会

全日本映画従業員組合同盟

日本通運関東地区従業員組合

全国逓信従業員組合

日本炭鉱労働組合連合会

関東金属産業労働組合協議会

全日本教員組合

城北化学産業労働組合協議会

 更に四月、五月とたかまつた闘争のなかで、各産業の全国的産別整理は次々と行われた。

三月一五日 国有鉄道労働組合総連合会結成大会

四月四日  全日本鉄鋼産業労働組合結成

四月七日  全日本印刷出版労働組合結成大会

四月七日  日本電気産業労働組合協議会結成

四月十四日 造船労働組合関東地方協議会

四月二〇日 日本通運労働組合結成大会

四月二二日 全日本炭鉱労働組合結成大会

五月二八日 全日本進駐軍要員労働組合準備会

五月三一日 全国逓信従業員組合結成大会

六月二日  日本教育労働組合結成

六月廿五日 全日本産業別労働組合会議結成準備大会

七月一七日 全日本港湾労働組合結成大会

八月一六日 全日本化学産業労働組合結成大会

 労働組合総同盟においても五月廿七、八日拡大中央委員会が行われ、一月十七日の結成大会の組織方針が再確認され、その中、産別整理の具体化として

五月廿八日 総同盟金属産業単一労働組合準備会

五月廿八日 総同盟繊維産業労働組合同盟結成準備会

五月廿八日 総同盟化学産業単一労働組合結成準備会

が時を同じくして開かれた。産別会議、総同盟のこれら組織運動の一応の帰結は八月に相次いで開かれた大会への報告で総括されている。

全日本産業別労働組合会議加盟組合一覧表

 (結成大会で確認された数)

 加盟組合名        組合員数  組合の性質

日本新聞通信放送労働組合   29,184  全国的産別単一組合

全日本炭鉱労働組合      96,000  全国的産別単一組合

全日本通運労働組合      130,000  全国的産別単一組合

日本教育労働組合       117,000  全国的産別単一組合

日本映画演劇労働組合     12,000  全国的産別単一組合

全日本印刷出版労働組合    15,000  全国的産別単一組合

全逓信従業員組合       400,000  全国的産別単一組合

日本電気産業労働組合協議会  95,000  全国的産別連合体

国鉄東京地方労働組合     118,000  地方別産別単一組合

全日本機器労働組合準備会   158,583  全国的産別単一組合準備会

全日本医療従業員組合協議会  18,000  全国的産別連合体

全国水産食糧労働組合準備会   3,500  全国的産別単一組合

全国生命保険従業員組合連合会 10,000  全国的産別連合体

全国化学労働組合準備会    130,000  全国的産別単一組合準備会

関東電気工業労働組合     60,000  地方的産別単一組合

全日本鉄鋼産業労働組合    85,000  全国的産別単一組合

国際電気通信労働組合従業員組合

連合会             3,500  単独組合

全日本進駐軍要員労働組合準備会20,000  全国的産別単一組合準備会

全関西造船労働組合協議会   45,000  地方的産別単一組合

日通自動車工業株式会社労働組合  400  単独組合

全日本港湾労働組合同盟    30,000  全国的産別単一組合

 合計           21組合 1,574,169人

 全国的産別単一組合    10

 全国的産別単一組合準備会 3

 全国的産別連合体     3

 地方的産別単一組合    3

 単独組合         2

日本労働組合総同盟組織現勢

 (二一年八月一日現在)

       組合数 組合員数(人) 代表者

北海道連合会   205  100,513  鈴木源重

宮城連合会     26   9,927  佐々木更三

秋田準備会     18   5,882  宮腰庄太郎

山形準備会     17   1,052  藤巻多一

福島連合会     67   32,881  大井川幸雄

茨城準備会     5   1,530  細井正雄

栃木準備会     11   3,712  雨谷義俊

群馬連合会     38   3,941  湧井寅松

埼玉連合会     28   18,205  井堀繁雄

千葉連合会     10   2,124  横山富治

東京連合会    108   37,972  重盛壽治

神奈川連合会    43   22,620  三木治朗

新潟連合会     11   10,100  長谷川寛

富山繊維労組連合会 15   8,660  黒澤啓旬

石川準備会     19   5,325  北村政一

福井連合会     12   2,986  荒木誠

長野準備会     2   3,323  百瀬文雄

岐阜連合会     27   16,859  大岩清美

静岡連合会     20   11,072  北村一郎

愛知連合会     57   21,503  長瀬繁太郎

三重準備会     5   2,120  近藤信一

滋賀連合会     18   10,239  矢尾喜三郎

京都連合会     45   21,605  辻井民之助

大阪連合会    165   88,847  金正米吉

兵庫連合会    140   60,231  永江一夫

岡山連合会     27   8,234  中原健次

広島連合会     35   9,125  金光平

山口準備会     7   5,733

愛媛連合会     19   18,120  加藤長治

高知連合会     81   10,750  氏原一郎

九州連合会    103   77,146  伊藤卯四郎

長崎連合会     42   24,104  森登守

熊本準備会     3   1,230  佐々木信市

大分準備会     7   2,780  徳光漸次

計 連合会 23 準備会 10

        1,446  660,460

日本交通運輸労働同盟    95  148,320  重盛壽治

全国煙草労働組合      29   13,852  白石傳四郎

全国繊維産業労働組合同盟 128  117,972  松岡駒吉

全国鉱山労働組合同盟   221   27,295  今村等

計            462  401,439

総計          1,909 1,061,899

            1,699  855,399  産業別と県連合会との報告不充分なるものありて上記のとおり訂正す

日本労働年鑑 第22集/戦後特集
発行 1949年8月15日
編著 大原社会問題研究所
発行所 第一出版
2000年2月1日公開開始


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