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日本労働年鑑 戦後特集(第22集)
The Labour Year Book of Japan post war special ed.

第二篇 労働組合

第二章 主要なる労働組合


7 日本電気産業労働組合

日本電気産業労働組合(略称電産)

  (All Japan Electric Workers Union AJEWU)

◇結成 廿一年四月七日

 単一体として五月六日発足

◇組織 中央本部 東京都中央区築地五丁目一番地

 地方本部 各行政地方にあり。

 支部 各都道府県にあり。(北海道は別に定める)

 分会 本店、支店、支社、電力所、特定火力発電所、営業所、配電局、或はこれらに準ずる単位におく。

 総計 五三支部 一一九、二三二名

◇役員 (廿二年六月大会で決定)

 中央執行委員長 川口孝治 (大阪)

 副執行委員長  竹内七郎(東北) 小野憲司(福岡) 植松信秀(関東)

◇綱 領

 一、国籍、人種、信仰、政見等にかゝわらないで電気事業に従事している全労働者の団結をはかる。

 一、団体交渉権を確立し、賃金、労働時間、その他の労働条件を改善し、組合員とその家族との文化的生活の向上をはかる。

 一、電気事業の社会化につとめ、全勤労者と共に民主々義日本を建設し、全民衆の完全な解放をはかる。

 一、世界の全労働者と協力して世界平和の確立につとめる。

◇廿一年結成以来、単一として再発足するまでに電産は廿一年秋、産別十月攻勢の実質的中核として、当時としては画期的な賃金体系を獲得し、電産の名を轟かしたが、廿二年秋再び闘争に起ち上った。その内容を次のビラにみよう。

  一九四七年一〇月

   電産は何を要求するか

                 日本電気産業労働組合

   電産は何を要求するか これを一言でゆうなら

   「電気を国民の手へ」である

 今日市民諸君の生活は、連日の停電、電気の不公平な配分によつて如何にも暗いものとなつている

 中小企業の工場主も労働者も週数回にわたる停電日のため全く破滅に瀕している状態である

 重要産業の生産は石炭・鉄鋼・肥料なども電力制限のために著しく低下している

 農民諸君もその家庭の電燈ばかりでなく、灌漑用・脱穀用電力も思うように得られない

      *       *        *

 こうして電力危機が単なる渇水時だけでなく、恒常化し、国民生活が、電気の面からしても脅威にさらされている

 電産はこうした事態の来ることを既に予想し、昨秋争議でも特にこの点を強調し、電力復興のために

  1 電気事業の民主化

  2 最低賃金制の確立

  3 退職手当制の確立

の三つの要求をかゝげて闘った

 (1)の要求は、長年電気事業を支配し、今日のような危機の状態に導いた金融資本の支配と官僚統制を廃止することで、これによって電気事業を国民の手に取り戻し其の復興を計らうというのである

 (2)及び(3)の要求は電産の労働者が、電気事業の民主化と復興との為に続いて働いてゆける条件を確立したい為であった

      *       *        *

 こうして一年近く経った、しかしその間に電力危機の状態はいよいよ悪化し、発電所や変電所、又工場、家庭に至る迄すべての電気設備は老朽の儘放置され、故障が続出し、しかもこれが修理保守の材料も政府会社に委しておいては何時入いるか見込も立たない状況である

 また電気労働者もインフレとヤミに追われ、折角昨秋獲得した生活費を基準とする最低賃金制も会社側は全く履行せず、吾々は辛じでスヰツチを守つて電気を送っている現状である

      *       *        *

 電気産業がこのようにその根抵から動揺し、崩れようとしている事態に直面し、電気労働者はこの四月以来先づ会社に対し、昨秋の組合と会社との協定・実行を要求し、交渉を重ねて来た 爾来六ケ月に亘る交渉も現在政府の電気事業に対する依然たる官僚的独善政策、又労働者に対する賃金ストップ政策にわざわいされ電力危機は一電産の問題だけでなく、全国民の死活の問題となって来た。

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 ここに於てわれわれ電気労働者は、国民諸君の「電気をよこせ」という要求をそのまゝ我々の要求とし、電力復興のための基本的な要求を政府・会社側に提出し交渉を続けたのであるが容れられる所とならず遂にこれが調停を中央労働委員会に提訴したワケである。

      *       *        *

 今次闘争に於ける電産の主な要求は

  一、電来事業の民主化の具体化

  二、賃金スライド制の協定履行

  三、労働協約の締結

の三つとなっているが、これらすべでが電力復興のための要求である 先づ第一に

  イ、官僚の独善による不合理な電気の割当ての是正と進駐軍の専用線を別にひくこと

  ロ、資材の獲得闘争を活発に展開し、これを確立して既設電気設備を応急修理し発電力を増加する

  ハ、燃える石炭の配給を確保して遊休の火力発電所を運転し

  ニ、同時に他の燃料も確保すると共に

  ホ、電源の開発を積極的に行い

  ヘ、国民の声が電気事業の隅々までとゞくように組織替をする

ことを要求している

 だが働くものが、毎日働いてゆけないような賃金や配給生活ではいくら資材をつんでも、いくら組織を替えても電気は出来ない

 そこで第二に働けるだけの賃金、くってゆける賃金、則ち生活費を基準とする最低賃金を要求する、物価が昂つて今日のようにヤリ切レなくなった時物価昂騰に応じて賃金も昂つてゆくようにと要求するのである、この要求は結局吾々が生きてゆくための基本的要求である、国民諸君すべて「ヤミ生活」から解放されたいという要求をもっていると同様に、電気労働者も勿論「ヤミ生活」よりの解放を根本的要求としているのである、しかし今日政府の政策が悪いために日毎に激しく成るインフレとヤミとに追われている吾々は働く為にまた生きる為に食える賃金を要求せざるを得ないのである

 更に第三の要求として電気労働者はこうした吾々の働ける為の色々の条件をはっきりと会社側と結んでおかねばならない、これが労働協約の締結である

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 これらはすべて電気労働者がその職場で後顧の憂いなく、ひたすら電気事業の復興とその民主化の為に邁進できる様にしたいという要求に外ならない

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電力復興のために資材・資金を、電力復興のために働ける賃金を、電力復興のため電気事業の民主的組織を

 これが電産の要求である

 国民諸君の暗澹たる生活を電気の面から明るくする、それが電気労働者の闘いつゞけて来たそしてこれからも闘いつゞける要求である

◇産別会議に加盟→全労連

◇機関紙「電産闘争ニュース」週刊 三万部

日本労働年鑑 第22集/戦後特集
発行 1949年8月15日
編著 大原社会問題研究所
発行所 第一出版
2000年2月1日公開開始


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