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日本労働年鑑 戦後特集(第22集)
The Labour Year Book of Japan post war special ed.

第二篇 労働組合

第二章 主要なる労働組合


2 全日本産業別労働組合会議

全日本産業別労働組合会議(略称産別又は産別会議)

 (Congrees of Industrial Unions of Japan:C.I.U)

◇結成 昭和廿一年八月廿一日

◇組織 本部 東京都港区芝新橋七の一二産別會館内 電話 芝三三〇五

 参加組合(廿二年十月卅一日現在)      加盟月日

 全日本新聞通信放送労働組合        四六、二、二〇

 全日本炭礦労働組合(十二月十五日全石炭結成で脱退) 四六、二、二〇

 全日通労働組合             四六、二、二〇

 日本映画演劇労働組合         四六、二、二〇

 全日本印刷出版労働組合        四六、二、二〇

 全逓信従業員組合            四六、五、三一

 日本電気産業労働組合         四六、六、一二

 全日本機器労働組合           四六、六、二七

 全日本医療従業員組合協議會     四六、三、三一

 全日食糧労働組合             四六、六、 四

 全國生命保険従業員組合協議會    四六、六、 四

 全日本化學産業労働組合        四六、五、二七

 全日本電気工業労働組合        四六、四、一二

 全日本鉄鋼産業労働組合        四六、六、一五

 全日本進駐軍要員労働組合       四六、七、二五

 全日本港湾労働組合同盟        四六、七、二七

 全國車輌産業労働組合          四六、九、 三

 全日本木材産業労働組合        四六、一〇、一〇

 *加盟月日が結成日以前のものは準備會として加盟したものである。

 計 一、三〇三、〇二七名 全日本炭礦をを除くと 一、一七五、九九五人

◇役員(廿二年十一月定期大會で決定)

 議 長 管 道(機器)

 副議長 亀田東吾(化學)光村甚助(全逓)

 事務局長 吉田賢治(機器)

 幹 事 喜多康二(印刷出版)松村弘(全鐵労)高山慶太郎(全炭)中原淳吉(電工)川畑静二(電産)大野健三(日通)菊池隆吾(食糧)田井増五郎(港湾)古川致福(木材)柳澤恭雄(新聞)荒賀文吉(車輛)嵯峨善兵(日映演)金山敏(全生保)清澤宗司(全逓)湯澤喜一(全逓)

◇執行委員會(規約参照、各単産執行委員から)

◇綱領(一九四六年八月二十一日採択)

一、われわれは労働者と労働組合の基本的権利をまもるために闘ふ

  ──労働組合を結成して自由に活動すること、団体契約を結ぶこと、罷業を行ふこと、言論・出版・集會・結社・示威運動を自由に行ふこと、働きたいものは誰でも就職できること、働くものが正当な休養をとること、誰でも平等に教育をうけられること、これらはすべて労働者の基本的権利である。そしてこの権利を確認することこそ真の民主主義であり、労働階級の解放を保障する唯一の基礎である。もし、それをおさへつけ、それに制限を加へるものがあれば、それは労働者の解放を遠ざけおくらせる、階級の敵である。われわれは、われわれの解放のために、このやうな一切の敵に對し、全力をつくして闘ふことを本領とする。しかるに支配階級は、ほしいまゝに法律をつくりあげ、規則をおしつけ、われわれの権利を最小限度におさへつけてゐる。われわれはこれら不当なる抑圧諸法令の完全なる撤廃を要求し、さらに労働者の権利をまもるための積極的労働立法の制定を要求する。

二、われわれは封建的・植民地的労働條件を一掃するために闘ふ──いままで日本の労働者は、極めて劣悪な、封建的、植民地的労働條件の下で苦しめられてきた。われわれはそれを一掃することを目標とする。われわれは、まづ、封建的雇傭制度の撤廃と実質賃銀の大巾引上げを要求し、文明國民としての生活を保障する最低賃銀制を要求する。またわれわれは、諸手当を基本給に繰りいれること、同一労働について同一賃銀を与へられること、昇給査定に労働組合代表を参加させることを要求し、工場職場の安全施設、衛生施設、休養施設、医療施設、文化施設などを設けること、それらの施設が労働組合代表による監督委員會によつて監督されることを要求する。

三、われわれは一週四十時間労働制獲得のために闘ふ

 ──われわれは労働時間の短縮を要求する。いままでの長時間労働は、われわれを疲労におとしいれ、健康を害し、文化的生活の余裕を奪ひ、文明人としての生活を妨げ、そのためにわれわれ労働者は教養さへもひくめられてゐた。また長時間労働は労働者の就業人数をおさへつけ、失業者の数を大きくし、そして労働者の賃銀を低下させてきた。われわれはこのような労働者の生活を根本的に改善するために、労働時間の徹底的短縮を要求する。われわれは一般的に一日七時間・一週四十時間労働制を要求し、坑内作業、高熱作業、健康上有害な労働についてはさらに短縮すべきことを要求する。

四、われわれは婦人・少年労働者の完全なる保護のために闘ふ――次の時代の労働階級を担うべき少年労働者と、次の時代の労働者を生み育てるべき婦人労働者とは、われわれの手によつて安全にまもられなければならない。われわれは、婦人・少年労働者の有害作業・坑内労働・深夜業等の禁止を要求し、十六歳未満の少年・少女の雇傭労働禁止を要求し、さらに婦人・少年労働者を雇傭契約外の雑役・私役に使ふことの禁止を要求する。われわれは十八歳未満の少年・少女労働者について、その労働時間を一日六時間以内に短縮することを要求する。そして婦人労働者については産前産後各五十六日の有給休暇と、毎月三日の有給生理休暇を要求し、また工場職場に完備した託児所と授乳所を設け、一定の授乳時間を設定することを要求する。

五、われわれは資本家全額負担の失業保険をふくむ社会保険獲得のために闘ふ

 ―─日本の労働者の極めて多くが失業に悩んでゐる。そのために生産は縮小し、賃銀はひくめられ、労働階級のすべてが苦しめられてゐる。しかも支配階級は自己の利益をまもるために、いつでも、ほしいまゝに、われわれ労働者を馘首しようとする。もとよりわれわれは、これらの馘首と闘ひ、失業反対のために闘ふものであるが、それとともに、働らく意思と肉体をもちながら仕事とパンを得られぬすべての失業者のために、資本家全額負担の失業保険の即時実施を要求する。またわれわれは、失業だけでなく、疾病、傷害、老齢などの危険に對する全般的な社会保険の獲得にむかつて努力する。

六、われわれは経済の再建のために闘ふ

 ――経済復興の基礎は労働力にある。それゆえわれわれはすべての労働者に仕事と十分な賃銀とを保証されることを主張する。資本家の利益をまもるための賃銀引下げ、馘首、工場閉鎖などは、経済復興に逆行し、生産を押しつぶし、民族を破滅に導く行為である。われわれは産業を転換し、戦争中の損耗と荒廃を恢復し、すべての失業者をなくし、完全雇傭と完全操業によつて日本経済を再建することを要求する。そのためにわれわれは、われわれ自身の手で、あらゆる産業の転換計画と復興計画の立案に努力し、その実行を政府に要求する。

七、われわれはファシズム・軍國主義の残存勢力を撲滅するために闘ふ

 ──犯罪的侵略戦争は世界の労働者をこの上ない不幸におとしいれた。その計画者であり、遂行者であつたファシズム・軍国主義こそは全世界労働階級の最大の仇敵である。われわれは永遠の平和を確立し、労働者の利益をまもるために、彼らが変装し仮面をかぶつて生き残り、再び戦争をたくらむ残存勢力を撲滅しなければならない。われわれは、あらゆる経営面から反民主主義的幹部を追放し、さらに政治・経済・文化の各分野の指導的地位から追放することを強く要求する。

八、われわれは労働戦線の完全なる統一のために闘ふ

 ―─いかなる場合にも、われわれは全労働階級の戦線の統一を忘れてはならない。敵階級の陣営は整備されつゝあるにもかゝわらず、われわれ労働階級の戦線が分裂してゐることは絶對に許されないことである。それは敵に利益を与へ、われわれに致命的弱点を負はせることである。完全に戦線を統一し、すべての労働者を組織し、かくしてのみわれわれは、敵に對して妥協することなく果敢な闘ひを進めることができる。われわれは、このような労働戦線の完全なる統一のために、不撓不屈の忍耐と努力を集中する。

九、われわれは働らく農民との同盟結成のために闘ふ

 ─―日本の農民は貧困の中で苦しんでゐる。それは収穫の半分ちかくまでも地主が収奪するといふ封建制度によつて、惨酷に搾取されてゐるからである。そして農村の貧困のために、われわれ労働者もまた、低賃銀に釘づけされ、馘首の危険にさらされ、ひいては全人民の生活が圧迫されてゐるのである 農村の封建性こそ農民と労働者と、働く人民すべての共同の敵である。それゆえ、われわれは農民とともに、封建制を清掃するために努力しなければならない。民主主義革命の中心勢力である組織労働者われわれは、彼ら農民と固く同盟し、同盟軍の先頭にたつて闘ひ、そして農業革命の達成へ誠実な協力者としての任務務を遂行する。

十、われわれは世界労働階級と提携し、永久の平和のために闘ふ

 ──世界平和をを保障する最大の力は、全世界の労働者のゆるぎなき團結である。それゆえわれわれは階級的良心をもつて、世界の労働者との提携に努力する。われわれはポツダム宣言を尊重し、かつ諸國の民族的独立運動を支持し、労働階級の国際的組織である世界労働組合聯盟に參加し、そして永久にかわることなき平和のために、全日本労働者の名誉にかけて努力する。

◇第一回大會宣言

 米英ソ中をふくむ民主主義連合諸国によつて野蛮な侵略戦争から解放された日本の労働階級は、自由と民主主義的権利の獲得のため偉大な前進を開始した。

 戦争による犠牲と負担を人民に転嫁し、低い植民地的労働條件を維持、強化しようとする官僚や資本家地主の政策に対する闘争,労働者の生活権とその根本権利を擁護するための闘争は全国各地に展開され、この闘争を通じて労働組合は真に大衆的組織運動に発展してきた。工場労働者も、一般勤労者もこれに参加し、全労働者を網羅する運動として進む大勢にある。

 これは我国労働運動史の上で画期的な事実である。全日本産業別労働組合会議は、この戦後日本の労働運動に正しい方向を与へ日本の労働階級を全国的な単一組織に結集して、労働階級の最も強力な団結と組織を実現しようとするものである。その標語は産業別単一組合の組織による労働戦線の統一にある。それは労働組合運動におけるあらゆる分裂主義を清算し、政治的信條やイデオロギーを超越した労働者の大同団結を齎し、完全なる労働戦線統一の理想に邁進するものである。まさに労働階級の力を一躍偉大ならしめる歴史的事業といはねばならない。

 全日本労働者の統一的組織を目標とする我々は、また日本労働階級の前途に横はる英雄的な任務の遂行を期してゐる。我々は、官僚や資本家の妨碍とサボタージュを排し、日本の経済復興、文化建設のため闘ひ、また日本民主々義革命の推進力としての役割を果さねばならない。我々はそのため、戦争によつて破壊された民族経済の復興、軍需産業の平和産業への転換、全労働者に對する食と職場の保証のため闘争し、民主戦線に參加して封建主義、軍國主義、ファシズムと徹底的に抗争し、人民の支持する民主政府の樹立に努力することを宣言する。

 我々は更に進んで世界人類の強い要望である永続的平和の実現を目標とする。我々は『東亜の盟主』といふ獨善的な考へを覆滅し、民族同権の原則に基き善隣民族と提携し、民族革命運動を支持し、労働者の国際的団結である世界労働組合連盟に参加することによつて日本労働階級の世界平和に対する共同の努力をつくさんとすることを宣言する。

   一九四六年八月二十一日

            全日本産業別労働組合会議結成大会

日本労働年鑑 第22集/戦後特集
発行 1949年8月15日
編著 大原社会問題研究所
発行所 第一出版
2000年2月1日公開開始


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