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所蔵図書・資料の紹介

II  図 書


4 特色ある図書

(3) 伝  記

 伝記類は,分類289にまとめておいてあるが,哲学者,芸術家,文学者はそれぞれの主題のもとに配架され,3人以上の伝記も主題別にしてある。他に,マルクス,エンゲルス,レーニンは,社会科学のなかに項目をもうけて別置してある。労働運動史や社会運動史に分類されているものも多い。

 また,分類049の随筆のところにも伝記に関連するものがいくつかはいっている。随筆は〈思い出〉が書かれることが多いから,自伝・他伝に関連するものが意外とある。一例をあげれば,『金正米吉遺稿・年譜』は049随筆にはいっている。また,堺利彦の『楽天囚人』(1911年)は,新聞紙条例違反・赤旗事件等で巣鴨・千葉監獄に入獄したおりのことを書いた文集だが,それなどは自伝を補完している。こうしたことがあるから,関連分野についても,充分な目くばりが必要となる。

 289に分類されている伝記は,和書2,800冊余,洋書約1,100冊である。洋書では,例えばP・A・クロポトキンの『ある革命家の思い出』は英・独・露語版がある。ちなみに,ローザ・ルクセンブルグのものは,和・洋とりまぜて30冊ばかりみうけられる。洋書のうち,575冊は向坂文庫にある。これはデータベース化されていないので,利用に際しては目録を参照していただきたい。すると,*印が目立つ(31冊ある)ことに気がつかれるであろう。*印は堺利彦旧蔵図書であることが確認された図書の意である。向坂文庫は和書にも伝記が860冊ほど含まれているが,こちらはデータベースでも検索できる。  古いもの(戦前発行本)は,量的にはやはり少ない。片山潜,堺利彦,大杉栄など一部の伝記をのぞけば,もともと書かれることが少なかったからである。ただ,なかにはいいものがある。我が国の社会運動の先駆者である村井知至の自伝『蛙の一生』(1927年)などは珍重されていいし,鈴木文治の『労働運動二十年』(1931年)も参考度の高い伝記の一つである(これは復刻本が出ている)。麻生久の文学的自伝作品『濁流に泳ぐ』(1923年)等もある。

 近年,特に注目されるのは,草の根運動家たち(社会・労働・農民・平和運動家等)の,その多くは非売品,私家版である伝記類・回想集・追悼記の収集であろう。これは,現在かなりの量をもっている。しかし,おそらくは全国いたるところで発行されるであろうこれらすべてを収集しきることは不可能である。その意味で,いま一歩の感がないではない。江湖の寄贈をお願いしたい次第である。

(立花雄一・松尾純子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より


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