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所蔵図書・資料の紹介

II  図 書


3 社会運動関係図書

(6) 社会思想関係洋書

 研究所の創立の動機のひとつは社会問題の解決方法をさぐることであった。社会問題解決への関心は,社会思想のコレクションにもっともよくあらわれている。

 近代社会思想の源流である宗教改革については,ルターが高利貸資本に反対した『牧師諸氏へ高利に反対して』(1540年)がある。ちなみにこれは大原所蔵の本の中ではもっとも古い本のひとつである。

 イギリス政治思想ではイギリス革命を理論づけたロックの『統治論』と『教育論』があり,イギリス革命の左派では『通例レヴェラーズと呼ばれている者たちの政治および宗教に関する諸原理』(1659年)というパンフレットとリルバーンの『イギリス人民の法的基本的自由』(1649年)がある。近代アナーキズムの先駆者ゴドウィンは『政治的正義に関する研究』初版と2版,『人口論』など,保守派ではバークの著作集や書簡集がある。ちなみにバークはエルツバッハー文庫では個人主義的無政府主義のなかに分類されていて『自然社会の擁護』の復刻がおさめられている。

 フランス啓蒙思想ではモンテスキューの『法の精神』やルソーの『社会契約論』,コンドルセの『人間精神進歩の歴史』をそれぞれ初版で所蔵している。

 ドイツ哲学も収集していたが残っているのはフィヒテの『自然法の基礎』『ドイツ国民に告ぐ』『人間の使命』等である。へーゲル左派の著作としてはフォイエルバッハの『キリスト教の本質』や全集があり,ブルーノ・バウアーのドイツの階級闘争に関する著書が残っている。アーノルド・ルーゲは『パリの2年間』などがある。ローベルト・ブルムは戦後に復刻を入手した。

 ユートピア思想も系統的に収集されている。モアの『ユートピア』をはじめ,ハリントンの『オシアナ共和国』,イタリアのカンパネラの『太陽の都』の初版がある。

 空想的社会主義の文献ではオーエンの『自叙伝』『新社会観』『新道徳世界の書』等がある。サン・シモンは『新キリスト教』のほか,彼の流れをくむバザール,ビュシェ,ルルーの著作やコントの『実証哲学講義』等がある。フーリエは全集を含め『四運動および一般的運命の理論』『家族的・農業的協同社会概論』『産業的・協同社会的新世界』が初版でそろっている。『ファランジェ』の編者コンシデランの著作もある。ドイツではワイトリングの『調和と自由の保障』『貧乏な罪人の福音書』がある。

 チャーティスト関係は久留間鮫造の紹介によると,『ノーザンスター』以外は主要なものを集めたとのことであるが,戦災で失われたものが多いと思われる。『プアマンズガーディアン』や『レッドレパブリカン』などの新聞,議会改革に関するパンフレット,個人ではウイリアム・コベットのものが比較的残されている。ベンボウの Grand National Holiday はゼネストによる権力の掌握を初めて主張した著作として貴重である。

 その他社会主義,共産主義の著作としては,フランスではバブーフ,ブオナロッティ,ブランキなどのほか,モアの『ユートピア』にならってカベが書いた小説『イカリア旅行記』があり,ジョン・グレーやフランシス・ブレーなどイギリスのリカード派社会主義者の著作も残されている。

 20世紀の社会主義思想関係の図書も少なくはない。イギリスでは,労働党指導者マクドナルドの『社会主義と社会』,イギリスの代表的知識人であるコールの著作,『民主的イギリスのためのプラン』『人民戦線』がある。ドイツでは,社会民主党の代表的理論家カウツキーの『社会主義者と戦争』『プロレタリア革命とその綱領』『労働者革命』『社会革命』,経済理論家ヒルファーディングの『社会化と階級の権力関係』,女性革命家ローザ・ルクセンブルクの『社会民主主義の危機』などがある。オーストリアでは,オーストロ・マルクス主義の理論家バウアーの『ボルシェヴィズムか社会民主主義か』などがある。

 フランスについては,「新社会主義」関係で,フィリップの『アンリ・ド・マンと社会主義の教義の危機』,デアの『社会主義の展望』,モンタニョンの『社会主義の偉大と隷従』などがある。サンディカリスムに関するものとしては,CGTの改良的サンディカリスムを表明したルロワの『サンディカリスムの新技術』がある。ベルギーでは,マルクス主義の批判者ド・マンの『社会主義の心理学』(ドイツ語版と英語版),『建設的社会主義』なども所蔵されている。

(是枝洋・小島英恵・佐伯哲朗)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より


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