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所蔵図書・資料の紹介

V  戦前の原資料


2 裁判記録

 (1) 治安維持法違反および水平社関係裁判記録

 現在所蔵している裁判記録類は,思想関係・政党関係(治安維持法違反関係),水平社関係,労働争議,小作争議などである。その内容は予審訊問調書,公判調書,捜査報告書,現場見分書,警察官による被疑者あるいは証人に対する聴取書,検事による聴取書,予審請求書,予審終結決定意見書,予審終結決定書,検証調書,鑑定書,上申書,証拠書類写など,かなり多様である。

 思想関係・政党関係は,3・15事件(1928年),4・16事件(1929年)が主で,京大事件(1925年),学連事件(1926年)など併せて47件335冊と写真版4箱,水平社関係は,奈良事件(1923年)と福岡連隊爆破事件(1926年)の2件11冊である。

 これらの裁判記録のほとんどは購入したものである。ちなみに,1927(昭和2)年の研究所の日誌を見ると,「11.11 福岡水平社爆弾事件予審調書 1冊l00枚代5円小為替ニテ福岡市外金平 木村慶太郎氏ニ送金」とある。購入先や入手経路については,『資料室報』第129(1967年4月)号でも紹介されているので参照されたい。

 整理状況は完全とはいえず,板目紙で適度な厚さにくくり,背文字を書いて書架に並べてある。閲覧の手掛りとして,『資料室報」第113(1965年10月)号に掲載された一覧に番号を付し,冊子体目録として利用している。思想関係・政党関係については981人の人名索引を「裁判関係・人名」という形でカード化したので,予審訊問調書,公判調書などは個人名から探すことができる。予審訊問では,出生から活動経歴,親,兄弟,交友関係,思想的背景など,あらゆる面から一個人が調査されているので,効率的に,裁判に関与した者の個人情報を得る手がかりとして,裁判記録の中でも非常に資料価値が高いと思われる。

 1965年現在で所蔵していたものについては,労働争議,小作争議関係も合わせて『資料室報』第113号で紹介されているので,その後に研究所の蔵書に加えられた治安維持法関係のものを以下に列挙する。

 4・16事件関係として九州予審終結決定書写し[前田啓太,佐野義雄等]と横浜予審訊問調書[蔵前光家ほか11人],治安維持法違反判決弁論要旨[阿部勇],出版法違反[河合栄治郎],第一次共産党事件[堺利彦他11名治安警察法違反,調書・判決等(複写)],山川均の聴取書・手記,大森義太郎警察聴取書,上申書[大内兵衛,猪俣津南雄,足立克明,大西十寸男,稲村順三,荒畑勝三,向坂逸郎],治安維持法違反判決(1932年,神戸地方裁判所)[松永太郎ほか8人,渡辺芳太郎ほか2人,樋野忠次ほか9人,伊沢五三郎ほか9人,田中誠之助ほか5人,中島武雄ほか2人,後藤耕作ほか8人,阿部義美],戦時中の治安維持法違反事件(天理教を含む),森戸事件(新聞紙法違反被告事件)(コピー),横浜事件(コピー),軍法会議判決[金沢祐之(新聞紙法違反),吉野源三郎,西氏恒次郎,河田毅,吉原義次],治安維持法違反予審調書記録(全協,1938年)[石上長寿],軍法会議判決[藤田悟,甘粕正彦,平井利一,本多重雄,川内唯彦,森慶治郎,鴨志田安五郎],小林陽之助(コミンテルン派遣員)聴取書,日本共産党治安維持法違反事件予審終結決定書,青柿善一郎聴取書(神戸地検),倉重新の転向手記などがある。

(田沼明子・遊座圭子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より



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