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所蔵図書・資料の紹介

VI  戦後の原資料


2 組合旧蔵資料および裁判資料

 (2) 裁判および救援運動関係資料

 a 松川裁判関係資料  松川事件は,下山事件・三鷹事件とならんで,戦後の社会・労働運動史のなかでもきわめて注目すべき事件である。この事件については,14年間にわたる裁判の結果,被疑者全員の無実が確定した。松川裁判関係の資料は,松川事件の責任追及のための全国連絡会議代表世話人会議が所有していたもので,同会議から一切の権限を与えられた弁護士六氏と当研究所の間で,1971年4月23日,資料寄贈に伴う契約が交わされ,当研究所が所有することになった。これらの資料については,『松川運動全史』(労働旬報社,1965年)の編者であり,松川運動の当初から裁判・救援関係資料の収集と保存に努力された小沢三千雄氏によって「松川裁判と松川運動に関する資料目録」がまとめられている。

 b 60年安保闘争6・15事件国家賠償請求訴訟関係資料  「6・15事件」とは,1960年6月15日深夜,国会前にいた「大学・研究所・研究団体集会」(大研研)のデモ隊に機動隊が襲いかかり,デモ隊側に100名を越える重軽傷者を出したいわゆる「教授団襲撃事件」のことである。この事件に対して,1960年9月27日,被害者のうち24名が都と国を相手取って国家賠償請求訴訟を起こした。この告訴・告発から1968年の裁判終結にいたる記録が,原告の一人であり,訴訟活動の事務局をも担当していた故福井正雄氏(当時東大理学部助手,後明大教授)によって収集・所蔵され,その後当研究所に寄贈された。その後,事件当時東大職組の書記であった川崎忠文氏によって「60年安保闘争6・15事件国家賠償請求訴訟資料目録」(『大原社会問題研究所雑誌』第361号)がまとめられた。

 c その他の資料

 1)レッド・パージに関連した地位保全仮処分申請裁判関係の資料は18ファイルにのぼり,日立電鉄・帝都高速度交通営団・京浜急行・小西六・東京瓦斯・三共・科研・日本鋼管・日本電機・三機工業・大崎電気・結核予防会・新聞通信放送関係・東宝砧撮影所・東京女子医大・旭化成延岡工場・東京鋼材・全逓関東地連・東京日本電線・新理研工業・富士産業・帝国石油・新潟鉄工所等にかかわる裁判資料がある。またこれに関連して,三鷹事件,法政大学三教授解雇事件に関する資料も,それぞれ1ファイル分残されている。

 2)1950年代前半の「騒乱」諸事件または弾圧諸事件の裁判関係資料のいくつかは,対策協議会や国民救援会を通じて当研究所に寄贈された。このうち「メーデー事件」関連の資料は,弁護団のまとめた論告公判調書・意見陳述・起訴状に対する釈明・弁論要旨・控訴趣意書・判決など冊子としてファイルされているものを中心としてかなりまとまっている。この他に手記・獄中書簡・旗・横断幕・テープ・スライド・ネガ・写真などがあり,全部でおよそ10連・60段に及んでいる。

 「辰野事件」は,1952年4月31日,長野県辰野町の警察署などにダイナマイトが仕掛けられたことに端を発して20年の長期裁判の結果無罪が確定した事件である。これに関係する資料は,証拠書類・訊問調書・供述調書・意見要旨・弁論要旨・最終弁論など,弁護団が作成した冊子を中心に3段ほどのもので,それほど多くない。

 「吹田事件」「大須事件」は,いずれも1952年6月24日,7月3日に,大阪の吹田操車場,名古屋の大須球場での集会の後,警官隊と衝突した事件である。「吹田事件」関連の資料は,供述調書・証言録・鑑定書・診断書・公判速記録・弁論要旨・訴訟趣意書・控訴趣意補充書・判決など4段に及ぶ。「大須事件」関連の資料は,弁論要旨などの公判速記録がかなり揃っており,起訴状・公判調書・捜査記録・上告趣意書・最終弁論要旨・判決など全部で3連・18段ほどである。

 この他に,上告趣意書など「平事件」に関する資料が若干(1/2段ほど)あり,「5・30岩ノ坂事件」関連の資料は弁護人弁論要旨や起訴状・控訴趣意書など2ファイル,西尾末広政令違反等被告事件関連の資料は,上告趣意書・答弁書・一審公判調書(1〜6)など3ファイルで,それほど多くない。 1952年7月29日の北海道での鉄道爆破事件で後に無罪が確定した「芦別事件」についての資料もあるが,これはまだ閲覧できるようになっていない。

 3)公判記録や公判闘争資料を含む救援関係の記録は13ファイルあり,電気事業法違反事件・建造物侵入事件・芦田政令違反事件・朝連解散取り消し要求行政訴訟・軍事裁判・各種仮処分申請関係記録・刑事事件起訴状や判決文などが主なものである。

 4)スモン裁判関連の資料は,1984年8月,スモンの会全国連絡会議から「スモン薬害裁判闘争関係資料」として寄贈を受けたもので,福岡・大阪・京都・宮城・札幌等各地の判決などの裁判資料もあるが,それよりも,事務局日誌・会報・ビラ・パンフレット・参加者名簿などの各種集会や会議の記録,新聞記事のスクラップ・ポスター・集会用垂れ幕・横断幕などの事務局関係資料や運動主体の側の資料が多くある。

 この他,源泉徴収制度違反訴訟関連資料3ファイル,所得税返還請求訴訟5ファイル,国税不服審査請求裁判等取り消し請求訴訟・固定資産税違憲訴訟関連の資料が各1ファイルある。

(五十嵐 仁)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より


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