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所蔵図書・資料の紹介

VII  その他

マイクロ、現物、画像、音声資料について


 

2 現物資料

 「現資料」と言うと,紙媒体のものに限定しているかの印象を受けるので,研究所内では,紙媒体に限定されない,様々な形態の分類しようのない資料を一括りに「現物」と称している。これらを元に,いずれは電子ライブラリーを構築する構想もあり,現在,一般公開はしていないものの,いずれ展示ケースを設置して広く公開したいと考えている。  これら「現物資料」のなかでも,特筆すべきは,多くの組合旗の類である。まず,戦前の日本印刷工組合信友会の幟がある。信友会の提唱で1920年第1回のメーデーが組織されたといわれているが,これは,戦後復活メーデーに至るまで副幹事長の水沼辰夫の手によって毎年メーデー会場を飾った幟で,赤いラシャ地に黒で字を刺繍した立派なものである。戦後,葛西保氏の仲介により水沼未亡人より寄贈をうけた。また,全日本鉱夫総連合会の旗もあるが,これは紫の房が四方を飾り,下に“働ラカザル者喰フベカラズ”とあり,戦後加藤勘十氏より寄贈された。

 このほか,東京乗合従業員組合本部の旗,全国労働組合同盟の赤旗,出版工倶楽部の紫旗,日本労働同盟の黒旗がある。また農民組合関係では,日本農民組合新潟県連合会,日本農民組合関東同盟新潟県七日町支部(松沢俊昭氏より受贈),全国農民組合,その他各支部の旗なども数多くある。

 垂れ幕や幟では,農民大会の時の垂れ幕,横断幕(いずれも戦前のもの),政党では社会大衆党岡山県支部連合会,全国大衆党青年部,また1928年五党合同の時の垂れ幕などもある。とりわけ珍しいのは,『平民新聞園遊会』の時のもので,「幸徳秋水書,堺利彦識」とある幟であろう。バッジ類では,加藤勘十・下坂正英・北原和夫ら戦前の活動家から寄贈された労働組合員章,農民組合員章,大会記念バッジなどがある。農民組合のバッジには揺れる旗を形取った1928年大会記念のものや鳴子を象ったものなど凝ったものが多い。労働組合では,友愛会の第5,8,10回大会記念章,全国坑夫組合,日本海員組合,電線工組合,新進会,向上会,商船同志会等の会員章の他神戸労働争議の記念バッジもある。

 このほか珍しいものとしては,戦前に大林宗嗣研究員が調査資料として購入した“産児制限器具”の木箱が2つ,農民闘争時の立入禁止の公示札,「解放運動ギセイ者の家族を救え!」と書かれた“うちわ”などがある。看板も「土地と自由発行所」「共営社」の看板等数点あるが,面白いのは「日本農民組合総本部」の看板で,裏返すと「全国農民組合総本部」となっている。その他に,高野所長愛用の瓢,硯,インク壷などもある。戦時中のものでは労務報国会の纏を,1964年5月1日に大阪労働協会より寄贈をうけ,保管している。

 戦後のものとしては,メーデー事件の証拠品(プラカード,赤旗,棍棒,石等),松川事件の行進の時の横断幕,白鳥事件関係の寄せ書き赤旗,行進用のたすき,村上国治被告宛ての手紙,平和のための東京大行進(1982年5月23日)記念ハンカチ・バッジ,東大紛争の時の投石用(?)に安田講堂の壁を砕いたと思われる大理石のカケラ(東大生産技術研究所の人より受贈)や角材などがある。

 また,“首切り反対”,“安保反対”,“被爆者に援護を!”というマッチや「連合」結成大会で配られた立派な箱に入っている記念メダル等もある。

(谷口朗子・遊座圭子)

『大原社会問題研究所雑誌』No.494・495(2000年1・2月)、創立80周年記念号より


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