二 村 一 夫 著 作 集



《編集雑記》3 (2000年9月〜2001年3月)


この1年──刊行開始3周年にあたって

  本サイトを開設してから満3年がたちました。開設当初は、既発表論文のテキストファイル化からタグつけまで私ひとりでやっていたのですが、テキストファイル化にあまりにも時間がかかるので、昨年秋からテキストファイル化だけはリブロ電子工房にお願いすることにしました。おかげで、昨年暮から本年春にかけ論文約30本のテキストファイル化が完了し、これを掲載することができました。有難うございました>リブロの皆さま。
 また自分でスキャナーで読み込み、OCRを使ってテキストファイルを作成した既掲載論文は、OCRの際の誤変換の多いことが気になっていました。がこれについても香取治良、佐方信一の両氏に校正していただきました。お二人とも知る人ぞ知るフリーの名編集者であり、厳密な校訂校正で知られたこの道のプロです。まだ全部を終えたわけではありませんが、主要論文については安心して読んでいただくことが出来るようになりました。どの論文が校正済みかは「更新履歴」に記してあります。
 前にもこの欄の「編集者・校正者の役割再認識──本サイトの作成経過(2)」で書きましたが、Webで公表されている論文等は、元原稿として筆者の手許にある草稿段階のテキストファイルを使用することが多いようです。このため、活字メディアと違って、編集者や校正者のチェックを経ていないため、誤記や自分勝手な表現が少なくないように思われます。こうした問題点も本著作集の場合は、香取・佐方両氏のお力添えで、大幅に改善されました。 有難うございました> 香取、佐方さま。
 もうひとつこの1年間で特記すべきことは、オンライン書き下ろしという新方式で『高野房太郎とその時代』を連載し始めたことです。1月に書き始め、現在まで20回を掲載することが出来ました。色彩つきの画像を使うことができることなど、Web上での刊行ならではの利点がいくつもあります。これについては、すでにこの《編集雑記》でもしばしばふれていますので、繰り返しません。
 色彩といえば、昨25日、トップレベルのデザインを少し模様替えし、秋冬バージョンにしました。といっても、背景を変え、タイトル部分の色を変えただけですが。これも「色はいろいろ(本サイトの作成経過 3)」で書いたことですが、色彩はモニターやブラウザーによって見え方が違うので、迷いながらの変更です。印象はいかがでしょうか? 壁紙の素材を提供してくださったLITTLEHOUSE、佐々木工房、木工房の皆さまにお礼申し上げます。
 もうひとつ、これまで別巻2は『労働史研究の諸問題』(仮綴じ本)として、労働史に関連する文献で、未刊分に含めていたものを、一時的にそこに収めていました。しかし刊行作業が急速にすすみ、いずれも本巻の方に収録することができましたので、この刊行は中止しました。代わって別巻2は『さまざまな出会い』のタイトルで、人や本などなどについてのエッセイ類を収録することにしました。なお一部は『大原社会問題研究所をめぐる人びと』から、こちらに移しました。気軽に読んでいただける、短いものばかりです。いずれは書き下ろしエッセイも加えて、仮綴じ本ではなく、本巻の1冊にしたいと思っています。
〔2000年9月26日記、27日追記〕


リンク集のこと ──『高野伝』連載遅延の言い訳け

 この1月ほど、さまざまな事情で本著作集の追加・更新があまり進みませんでした。なかでも『高野房太郎とその時代』は、第21回から1ヵ月近く経った11月12日にようやく第22回「アメリカへ」を掲載しただけで、次回は何時掲載できるかまだ見通しさえたっていません。ようやく舞台がアメリカへ移り、新たに調べなければならないことが増えているからでもありますが、10月下旬以降、あまり愉快でない雑事続出で身辺多忙、加えてややスランプ気味で、執筆に集中できずにいます。そんな時ほど雑用が増えます。なかなか書けないのでついつい他のことに目が向き、それに時間がとられるといった悪循環です。
 そんな「他のこと」のひとつに各種リンク集のメンテナンスがあります。いま私は、社会政策学会のサイトを担当しているほかに、OISR.ORGつまり法政大学大原社会問題研究所のサイトで《学術研究関連リンク集》《E-textリンク集》《マルチメディア・データベース》などを担当しています。どれもこれも、作るのはもちろん、維持するだけでもけっこう時間を喰います。たえずチェックしていないとリンク切れ続出ということになりかねません。先日も、たまたま──この「たまたま」がこのところ多いのですが──《社会政策学会リンク集》を調べてみたところ、デッドリンクが相次ぎました。独自のドメインネームに切り替えるサイトが増えていることも、リンク切れの原因のようです。《社会政策学会リンク集》は、会員のサイトこそしばしば探索してきましたが、他はネットサーフィン中にたまたま見つけたものを追加する程度の小規模なリンク集です。それでも4年近く続けているので、サイト数は300に近づいています。リンク切れを探すのは容易ですが、移動先を明示していないサイトの行方を調べるのは文字どおりtime-consumingです。
 もうひとつ、私が担当しているリンク集に、大原デジタルライブラリー内のE-textリンク集があります。これは自分で勝手に始めたものですし、後を引き受けてもらえる人もいないので、週に1回ほど、各種の検索エンジンを使って、WWW上で読める研究論文を探し出して掲載してきました。それも作成を開始した1999年1月頃は論文の数も少なかったので《社会・労働問題関連学術論文E-TEXTリンク集》と銘打ったものひとつだけでした。それも、論文を著者名の五十音順に並べただけの単純なリンク集ですから、最初はそれほど負担にも感ぜずにすませていました。そのうちに分量が多くなりすぎ、使い勝手が悪くなったので、社会編、労働編ジェンダー編と3分割しました。ところが、最近になってE-textを公開される方が急増し、なかでも社会編は80キロバイトを超えるほどになったので、これをさらに分割して「社会学、社会問題編」「社会政策、社会福祉編」に分ける羽目になりました。しかし、検索エンジンの性能がアップしたこともあり、多くの方がご自身の論文などを掲載される事例が急増しているらしいこともあって、これはとんでもないことを始めてしまったらしいと感じ始めています。
 もうひとつの《学術研究関連リンク集》は、二村一夫が「独断と偏見」で選ぶ厳選リンク集です。コメントをつけていますが、これも単なる紹介ではなくかなり辛口の評論を含んでいます。これもしばらく手を抜いていたのですが、この機会に選び直し、コメントも書き直しました。
 以上、『高野房太郎とその時代』の連載が滞りがちになっていることの言い訳のお粗末でした。
〔2000年12月4日記、5日追補〕




英文小著への書評

 このところリンク集のメンテナンスに各種のサーチエンジンをせっせと使いましたが、ついでにリンク集とは無関係な主題についてもあれこれ検索してみました。そのひとつが、英文の小著The Ashio Riot of 1907:A Social History of Mining in Japanに対する書評の探索でした。友人のTerry Boardman と Andy Gordonの2人の翻訳で1997年の暮にデューク大学出版部から刊行された本です。刊行後ほぼ3年経ちましたから、書評に時間がかかる海外でも、そろそろ出揃う頃だと思ったからでした。デューク大学出版部は、書評が出るたびに著者にコピーを送ってくれます。おそらく出版部内にきちんと調べる体制ができているのだろうと思い、自分ではあまり探さずにいました。しかし先日友人がSocial History誌に書評が載っていると教えてくれ、また図書館でたまたま見つけたMonumenta Nipponicaの書評も出版社からは連絡がなかったことに気づき、やはり一度は自分で調べてみる必要があると感じたからでした。
 私がリンク集の作成やメンテナンスの際に愛用しているサイトは検索デスク−SearchDeskです。〈bookmark〉や〈お気に入り〉だけでなく、デスクトップにショートカットまで作ってあります。便利なサイトですからご愛用の方も多いと思いますが、ここは内外の検索エンジンを1ヵ所で使いこなせる優れものです。このサイトのトップページに一度件名を入れさえすれば、あとは並んでいる各種検索エンジンのボタンをクリックするだけでいいのです。しかも独自に開発された「検索力」の測定結果順に並んでいるなど、便利なしかけがいくつもあります。
 実は昨年も同じようなことを調べたのですが、その時はDuke University Pressのサイトの新刊紹介のほかはamazon.comなどのオンライン書店、それに図書館の新着情報ばかりでした。しかし、さすがにインターネットの世界、どんどん成長しており、なんと今回は5点もの拙著への書評・紹介がオンラインで読めることを発見したのでした。ひとつは、当然のことながらDuke University Pressのサイトの刊行書紹介です。books→ Books searchでキーワードに「nimura」と入れ、出てきた書名の箇所をクリックすれば紹介文が出てきます。
 あとの4点はつぎに掲げるとおりです。最初の2点は、FindArticles.comのサイトで読むことが出来ます。このサイトは何と300タイトルの雑誌に収録されている論文を、オンラインで、しかも無料で読めるサービスを提供しています。まだ使いこなしていないので全貌は分かりませんが、いずれ調べて紹介したいと思います。

1)評者:F. G. Notehelfer,
Journal of Social History, Summer, 2000, June 22 2000
 これこそ、友人が教えてくれた書評で、今度図書館に行ったら探さなければと思っていたものでしたが、それが何とオンラインで読めるようになっていたのでした。
2)評者:W. Dean Kinzley,
The Historian, December 22 2000
 これは日付を見るかぎりではまだ刊行前です。オンラインの方が活字のものより先に出るということでしょうか。
3)評者:William M. Tsutsui,
The American Historical Review, June 1999
 これはアメリカ歴史学会(the American Historical Association)、アメリカ歴史家協会(the Organization of American Historians)、イリノイ大学出版部、およびthe National Academy Press the History Cooperativeの4団体が2000年の3月30日に創設したThe History Cooperativeのサイトです。American Historical ReviewJournal of American Historyがオンラインで読めます。
4)The Association of American University Presses
 これは書評ではなく、アメリカ大学出版部協会(the Association of American University Presses)のオンライン・カタログの紹介文です。

 このほか、テキストこそ読めませんが、つぎのような小著に対する書評が出ていることが分かりました。
5)評者:Stephen S. Large
THE JOURNAL OF JAPANESE STUDIES, Volume 25, Number 1, Winter 1999
6)評者:Crump, John
Japan Forum, 11, 1, Spring 1999, pp 127-8
7)評者:Janet Hunter
Journal of the Royal Asiatic Society,THIRD SERIES, VOLUME 9, PART 2, JULY I999

 ことのついでに、これまでDuke University Pressが知らせてくれたりして、分かっている限りの書評も記しておきましょう。順不同です。
8)評者:Sally A. Hastings
Monumenta Nipponica,Vol.53 No.4
9)評者:Gary P. Leupp
Journal of Asian History, 32/2, Winter 1998
10)評者:W. Donald Smith
Labour History Review, Vol.64,No.2, Summer 1999
11)評者:C. L. Yates
Choice, Vol.35 No.11/12, July/August 1998
 以下は書評というよりは、紹介です。
12)Japan Quartery Vol.46 No.2, April-June, 1999.
13)Journal of Economic Literature Vol.36, No.3, September 1998

 以上です。いずれも予想以上に好意的な評価をしてくださっています。もし私が書けば、もっとずっと辛口のものを書くでしょう。なお、多くは日本研究者が執筆されたもののようです。私としては、欧米の労働史研究者の意見も聞きたいと思うのですが。
〔2000年12月5日記〕





 

読者各位への年賀状

読者各位への年賀状




お詫びと言い訳

 節分はとっくに過ぎ、春分の日も間近いというのに、編集雑記の冒頭が「読者各位への年賀状」というのでは、いくらなんでも様になりません。実は、その年賀状でもちょっと書いたのですが間もなく約1年間の予定でアメリカへまいります。その準備に追われ『高野房太郎とその時代』の連載の筆もとまってしまったという次第です。
 それと2月の末に大阪市立大学大学院で、ちょっとした報告をさせていただきました。そのテーマがなんと「日本における職業集団の比較史的特質──戦後労働組合から時間を逆行しつつ考える」というもので、その最後の部分では近世の職人集団についてもふれるというものでした。これまで近世史をきちんと勉強して来なかった者が、近世史の専門家もふくまれる人びとの前で報告するということで、柄にもなくやや緊張し、その準備もあって房太郎の伝記の方はしばらくお休みということにしてしまったのでした。この報告はすこし手を加えて、『大阪市立大学経済学雑誌』に載せていただくことになっています。いずれ、本著作集にも掲載することになろうかと思います。
 3月28日には出発し、シカゴ郊外の娘のところにちょっと立ち寄って、4月上旬には目的地であるマサチュウセッツ州のケンブリッジに到着予定です。落ち着き次第、『高野房太郎とその時代』も再開するつもりです。今は房太郎がアメリカ生活を始めたばかりのところで中断していますから、アメリカ時代をアメリカで書くということになります。いましばらくご猶予ください。
〔2001年3月15日記〕




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【最終更新:
Written and Edited by NIMURA, Kazuo
『二村一夫著作集』
The Writings of Kazuo Nimura
E-mail:
nk@oisr.org

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