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『日本労働年鑑』第70集(2000年版)
2000年6月25日刊行




 

1920年以来毎年(戦時中10年間を除く)、大原社会問題研究所から刊行されている『日本労働年鑑』の2000年版が、6月25日に刊行されました。本書は、1999年1年間の日本の社会・労働問題および運動の動向、それらとかかわる政治動向、労働・社会政策などを中心に、できるだけ客観的に記録した日本唯一の労働年鑑です。

 

本書が対象としている1999年は、景気低迷が続くなか、1月には自民党と自由党が連立し、10月にはこれに公明党を加えた自自公三党の連立政権が成立しました。通常国会では、事実上、この三党の連携によって、新ガイドライン関連法案、国旗国歌法案、通信傍受法案などの重要法案が、相次いで成立しました。

 

長期不況のなかで、景気対策に重点をおいた政府は、過去最大規模の予算と二度にわたる補正予算によって積極財政政策を実施しました。しかし、民需は伸びず、消費は回復せず、経済成長率は、実質では若干のプラスとなったものの、名目では二年連続のマイナスとなりました。大規模なリストラによって雇用情勢はさらに悪化し、完全失業率は過去最悪の4.7%となって、アメリカの失業率を上回りました。

 

労働政策の面では、女性労働について大きな制度変更が実施され、四月から雇用の全分野での女性に対する差別が禁止されました。同時に、女性の休日労働や深夜労働などに対する規制も解除されました。また、労働分野での規制緩和策として、改正労働者派遣法と改正職業安定法が成立し、労働者派遣事業と有料職業紹介事業が、一部を除いて原則的に自由化されました。

 

これらの法改定には労働組合の反対が強く、労働者派遣法の改定反対運動では、連合や全労連などの事実上の共同行動が実現しています。また、新ガイドライン法案反対運動では、連合や全労連傘下の交通・運輸関連の労働組合が共闘し、国旗国歌法案反対運動でも、異なるナショナルセンターに属する組合の共同闘争の動きが見られました。さらに、暮れの臨時国会の焦点となった年金改革関連法案への反対でも、連合と全労連などの足並みがそろい、法案は継続審議となりました。このような99年の日本を、本書は対象としています。

 

この第70集も、13年前から採用した5部構成をとっています。すなわち、序章と特集を別にして、全体を、(1)労働経済と労働者の生活、(2)経営労務と労使関係、(3)労働組合の組織と運動、(4)労働組合と政治・社会運動、(5)労働・社会政策の5部に分けています。

 

『日本労働年鑑』の詳しい目次については、こちらをご覧下さい。

 

特集では、労働・社会問題のなかでも今の日本が対応を迫られている最大の課題である雇用・失業問題を取り上げ、「現代日本の雇用変動と雇用・失業問題」をテーマとしています。この特集では、90年代の雇用・失業問題の特質が明らかにされ、その背景としての雇用構造の変化と雇用の流動化が分析されています。さらに日本経済の構造転換に伴う雇用管理の変化が明らかにされ、このような状況への政策的対応と雇用創出に向けての新たな可能性が検討されています。

 

同年鑑、または大原社研の出版物のバックナンバー等についてはここをご覧下さい。

 

なお、当研究所では、本年鑑に関連する資料や論文を、当研究所の月刊誌『大原社会問題研究所雑誌』に収録しています。本年鑑とともに、活用していただければ幸いです。

 

『大原社会問題研究所雑誌』の定期購読についてはここをご覧下さい。


『日本労働年鑑』第70集(2000年版)
法政大学大原社会問題研究所 編
旬報社 刊
定価 15,000円+消費税
全国書店で販売予定

『日本労働年鑑』第70集の目次

はしがき

序章 政治・経済の動向と労働問題の焦点
   1 国際政治
   2 世界経済
   3 国内政治
   4 国内経済
   5 労働問題
   6 労働運動


特集 現代日本の雇用変動と雇用・失業問題
   はじめに
 第1章 90年代の雇用・失業問題の特質
   1 悪化する雇用情勢
   2 90年代の失業問題の特質
   3 大企業の人員削減
   4 定年制の空洞化と中高年者層の雇用問題
 第2章 雇用構造の変化と雇用流動化
   1 増大する女性雇用者・高齢雇用者
   2 産業別・職業別の雇用構造の変化
   3 非正規従業員の増加―パート・派遣労働者
 第3章 雇用管理の変化とその背景
   1 フレキシブルな雇用管理
   2 背景としての日本経済の構造転換
   3 日本的雇用慣行のゆくえをめぐって
 第4章 90年代における雇用政策の展開とその特質
   1 雇用政策の展開
   2 労働市場の規制緩和政策
   3 高齢者雇用政策と雇用継続
 第5章 新しい働き方の可能性――雇用創出と立法化のために
   1 雇用におけるセイフティネット
   2 欧米のワークシェアリングの経験
   3 新しい産業的発展と雇用の創出
   4 雇用創出のおける非営利セクターの役割

第1部 労働経済と労働者生活

 T 労働経済の動向
   1 景気動向と労働力需給
   2 就業・雇用構造
   3 賃金と労働時間

 U 労働者の生活と意識
   1 消費者物価の動向
   2 労働者家計の収入と支出
   3 長期不況と生活破壊の進行
   4 労働者の生活意識の変化

 V 女性労働
   1 就業・雇用状況
   2 女性の入職・離職と雇用・失業状況
   3 女子学生の就業状況と女性雇用管理
   4 女性労働者の賃金
   5 非正規労働者の増加と権利

 W 労働災害・職業病
   1 労災・職業病の概況
   2 ウラン加工会社での臨界事故
   3 主な労働災害・職業病の事例
   4 労働災害防止のための重点施策
   5 労働者の安全・健康状況調査と安全・健康確保への取り組み
 
第2部 経営労務と労使関係

 T 経営者団体の動向
   1 労働問題
   2 雇用対策
   3 税制、社会保障制度
   4 教  育
   5 人事戦略,労使関係
   6 産業安全対策
   7 その他

 U 経営労務の動向
   1 経営者の関心
   2 人事労務管理の課題と実施状況
   3 企業のリストラと雇用情勢
   4 賃金制度と年俸制、成果主義賃金
   5 女性の人事・労務
   6 グループ経営と社内分社化、持ち株会社
 
 V 主要産業の動向
   1 全体の動向
   2 鉄 鋼 業
   3 自動車産業
   4 電機・電子産業
   5 造船・重機械産業
   6 商業・流通業
   7 金 融 業
   8 交通・運輸産業
   9 建設産業
   10 医療・福祉
   11 公  務
   12 教  育

第3部 労働組合の組織と運動

 T 労働組合の組織状況と労働争議
   1 労働組合の組織状況
    (1) 労働組合の組織率と組織状況
     (2) 主要連合体の組織状況
    (3) 都道府県別組織状況(1998年)
   2 産業別労働組合組織の動向
   3 労使交渉と労働争議
    (1) 労使交渉の現状と今後
    (2) 労働争議

 U 労働組合全国組織の動向
   1 連合(日本労働組合総連合会)
    (1) 組織状況と概要
    (2) 運動方針と諸課題への対応
    (3) 政党との関係と政治路線
    (4) 国際活動
   2 全労連(全国労働組合総連合)
    (1) 組織状況と構成
    (2) 運動方針と諸課題への対応
    (3) 政党との関係と政治路線
    (4) 国際活動
   3 全労協(全国労働組合連絡協議会)
    (1) 組織状況と機構
    (2) 諸課題への対応と政党との関係
   4 その他の団体

 V 賃金・時短闘争
   1 ナショナルセンターなどの賃金・時短要求、闘争方針
   2 春闘前段の労使攻防
   3 春闘の本格的展開
   4 99春闘の妥結状況
   5 99春闘の総括
   6 99年夏季・年末一時金妥結状況

 W 政策・制度にかかわる運動
   1 連合の政策・制度要求と闘争
    (1) 政策・制度要求の内容と重点
    (2) 政策・制度要求実現の活動
   2 全労連の政策・制度要求と闘争

 X 単産・単組の運動事例
   1 最悪の雇用状態と企業リストラへの対応
   2 行改・労働分野の規制緩和に抗して
   3 組織拡大・強化に向けた取り組み
   5 春闘見直しと賃金・処遇制度の改革
   6 モノづくり基本法の制定と公正取引の確立
   7 日の丸・君が代、新ガイドライン法制化反対の闘い
   8 環境対策・社会貢献の取り組み
   9 その他の運動事例

 Y 国際労働組合運動
   1 ICFTUの諸会議
   2 ICFTU・APROの諸会議
   3 OECD・TUACの諸会議
   4 国際産業別労働組合組織の動向

第4部 労働組合と政治・社会運動

 T 社会保障運動
   1 介護保険法の抜本的見直しを求める運動
   2 年金改定に反対する運動
   3 医療保険制度抜本改定に反対する運動
   4 その他の運動

 U 労働者福祉運動
   1 生活協同組合運動
   2 労働者・高齢者協同組合運動
   3 労働者共済運動
   4 労働金庫運動

 V 社会運動の状況
   1 第70回メーデー
   2 沖縄・基地・平和をめぐる運動
   3 反核・原水禁運動
   4 反原発運動
   5 戦後補償を求める運動
   6 憲法、人権、情報公開などをめぐる運動
   7 公害、薬害、自然災害などをめぐる運動
   8 地球環境・自然保護運動
   9 国際貢献、NPO、NGOの活動

 W 政党の動向
   1 国会と各党の動向
    (1) 第145通常国会
    (2) 第146臨時国会
    2 選  挙
    (1) 第14回統一地方選挙
    (2) その他の選挙
   3 民主党
     (1) 1年間の動き
    (2) 組織・機関紙・財政
     (3) 党大会
    (4) 政策・方針
    (5) 労働組合との関係
   4 日本共産党
     (1) 1年間の動き
    (2) 組織・機関紙・財政
     (3) 中央委員会総会
     (4) 政策・方針
    (5) 労働組合との関係
    5 社会民主党
    (1) 1年間の動き
    (2) 組織・機関紙・財政
    (3) 全国大会
    (4) 政策・方針
    (5) 労働組合との関係
   6 新社会党
    (1) 1年間の動き
    (2) 組織・機関紙・財政
    (3) 大  会
    (4) 政策・方針

第5部 労働・社会政策

 T 労働政策
   1 99年度の労働政策
   2 労働白書の公表
   3 雇用対策と労働市場政策
    (1) 経済政策の一環としての雇用対策
    (2) 99年の労働市場政策
    (3) 高齢労働者の雇用対策
    (4) 終身雇用と企業間移動
   4 職業能力開発政策
   5 労働基準政策
   6 女性労働関連政策
   7 第145国会における労働関連法案

 U 賃金政策
   1 99年度の人事院勧告
   2 99年度の地域別最低賃金
   3 98年度の産業別最低賃金

 V 社会保障政策
   1 社会保障政策全般
   2 所得保障
   3 医療保障
   4 保健・福祉
   5 社会保障財政

 W 労働判例・労働委員会命令
   1 最高裁判所判例
   2 下級審の重要判例
   3 労働委員会命令

 X ILO
   1 第87回総会
   2 理 事 会
   3 産業別委員会などの諸会議
   4 技術協力、その他

●付  録
   1 主要な労働組合の現状
   2 労働組合名簿
   3 労働組合全国組織WEBサイトURL一覧
   4 統計図・表索引
   5 事項索引

社会・労働運動年表(1999年1月1日〜12月31日)

since 2000.5.19


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