OISR.ORG へようこそ 法政大学大原社会問題研究所

大原社会問題研究所五十年史

V 戦後


〃社会運動の半世紀展〃開かる

 社会運動資料展示会の開催を決定していらい、展示品の選定、排列、説明文案作成等々、所員はその仕事に忙殺されて来たことは前述の通りであるが、四月一六日東急百貨店、朝日、研究所の三者会談の結果、展示会の名称を〃社会運動の半世紀展−圧制と民衆の抵抗〃として開催することが最終的にきまった。展示の内容は、わが国に始めて労働組合の結成された一八九七(明治三〇)年いらい半世紀−労働運動の黎明期から明治末期の幸徳事件とそれにつづく暗黒時代、やがて大正デモクラシーと労農運動、社会主義運動の高揚期を経て、恐慌と戦争とファシズムの昭和期にいたる社会運動の歴史を、その運動の渦中において作成されたナマの資料、物品類を展示することによって示そうとするものである。

 展示品は主として研究所が五〇年間にわたって集収保存して来たものを使用したが*、一部は各地の所蔵者に出品を依頼して充実を期した。このような資料類の全面的公開は研究所として始めての試みであるばかりでなく、その内容からしてわが国では最初の展示会ということができる。

*展示品選択のために、東京柏木の土蔵に保存されていた文献、資料、物品等がくまなく点検された。この作業中、半世紀前に故櫛田民蔵研究員の執筆した「共産党宣言の研究」の原稿が発見された。これは『櫛田全集』にも採録されず、その行方がわからぬまま今日にいたったものである。ちなみにこの原稿は大内兵衛氏の解説を付して青木書店から刊行されることになった。

 展示品の準備と併合して、展示会説明資料(カタログ)が作成された。これは主要展示品の写真とともに「大原社会問題研究所の五十年」「社会運動の半世紀」「出品目録」「社会運動略年表」等を収録したものである。

 さて、五月二三日午前一〇時、東急デパート日本橋店七階グランドホールに〃社会運動の半世紀展−圧制と民衆の抵抗〃が開催された。開幕に先だち開場式がおこなわれ、朝日新聞社牧田茂企画総務、研究所大島所長、森戸辰男評議員のあいさつのあと、久留間元所長によって会場入口のテープが切られた。

 六日間にわたる展示会は予想をこえて盛況を呈した。連日二、〇〇〇名前後の入場者があり、ことに最後の二日間は三、〇〇〇名以上の勤労者、学生、市民が熱心に展示品に見入る姿が見られた。会場の一隅に映写された記録映画「灯をかかげた人びと」(神戸、川崎造船所スト実写フィルム)には常時入場者が群がった。また、用意したカタログ三、〇〇〇部は全部売切れ、増刷り予約を受付けるほどであった。大阪、三重はじめ遠い地方から来た人もあり、展示品説明文をノートする熱心な学生、婦人もあった。

 展示会の開会中および終了後、貴重な社会運動資料を研究所に寄贈する人もあらわれ*、この点でも展示会は大きな収穫をおさめることができた。

*たとえば北原和夫氏は戦前の労働組合バッヂおよび写真、大阪の西尾治郎平氏および後藤貞治氏未亡人より戦前の研究所関係写真アルバムが寄せられ、渡辺潜氏よりは日農大会で議長の使ったギアベルが寄贈された。さらに水沼美津子氏(故水沼辰夫氏夫人)より信友会旗の寄贈をうけた。また加藤勘十氏からも全日本鉱夫総聯合会会旗が寄贈された。

法政大学大原社会問題研究所五十年史
発行 1970年11月
編・発行法政大学大原社会問題研究所



前のページ← 法政大学大原社会問題研究所五十年史【目次】 →次のページ

研究活動・刊行物 OISR.ORG全文検索

法政大学大原社会問題研究所(http://oisr.org)